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wordスタイルを利用した「改ページ」の自動挿入

2021-04-29 16:10:42 | word

wordスタイルを利用した「改ページ」の自動挿入

今回は、スタイルを使って「改ページ」を自動挿入する方法を紹介してみよう。また、似ているようで微妙に異なる「ページ区切り」と「改ページ」の違いについても触れておく。特に「見出し番号」を自動入力している場合は、両者の違いをよく把握しておく必要がある。

改行を連打した改ページの問題点

「見出し」をページの先頭に配置するときに、「改行」を連打してレイアウトを調整している方もいるだろう。特にWordの初心者は、このような方法でレイアウトを整えているケースが多く見受けられる。

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改行の連打による見た目上の改ページ

2~3ページ程度の短い文書であれば、このような直感的な操作で改ページを行っても構わない。しかし、10ページ以上にも及ぶ長い文書を作成するときは、「改行」の連打は避けるのが基本である。

というのも、後から文書を編集したときに本文の行数が変化してしまうと、そのつど「改行」の数を調整しなければならないからだ。たとえば、先ほどの文書の冒頭に本文を3行追加すると、以下の図のような結果になる。

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編集作業により行数が変化した場合

本文を3行追加したことにより3個の「改行」が次ページに送られてしまい、レイアウトが乱れてしまう。これを直すには手作業で「改行」を削除しなければならない。

こういった無駄な作業をなくすためには、「改ページ」を挿入する方法を覚えておかなければならない。なお、「改ページ」の編集記号を画面上で確認するには、「編集記号の表示/非表示」をクリックしてONにしておく必要がある。

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編集記号の表示/非表示

「ページ区切り」と「改ページ」の違い

「改ページ」の挿入は特に難しい操作ではないため、すでに操作手順を知っている方も多いだろう。ただし、Wordには2種類の「改ページ」が用意されていることに注意しなければならない。

1つ目の「改ページ」は「挿入」タブに用意されている「ページ区切り」だ。次ページに送りたい文字の先頭にカーソルを移動し、このコマンドをクリックすると、そこに「改ページが挿入され、以降の文字を次のページに配置することができる。

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「挿入」タブにある「ページ区切り」

今回の例では、word「新しいアウトラインの定義」を使って「見出し番号」を自動入力しているため、カーソルを移動する位置は上図のようになる。

※「見出し番号」の自動入力については、第28回の連載を参照してください。

「改ページ」を挿入すると、文書のレイアウトは以下の図のようになる。これで、「改ページ」より前の部分で本文の行数を変化させても、「第2章の見出し」は常にページの先頭に配置されるようになる。

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挿入された「改ページ」

続いては、もう一つの「改ページ」について解説していこう。こちらは「レイアウト」タブの「区切り」の中に用意されている。使い方は「ページ区切り」と同じで、次ページに送りたい文字の先頭にカーソルを移動し、「区切り」→「改ページ」を選択すればよい。

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「レイアウト」タブにある「改ページ」

すると、以下の図のような結果になる。「改ページ」が挿入され、以降の文字が次ページに送られることに変わりはないが、「改ページ」の編集記号が表示される位置が少し異なる閣下となる。さらに、次ページに送られた「第2章の見出し番号」が、勝手に「第3章」に変更されてしまうのが大きな問題といえる。

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挿入された「改ページ」

このような結果になってしまうのは、word「レイアウト」タブの「改ページ」が書式を引き継ぐ仕様になっていることが原因だ。つまり、「第2章の見出し」に適用していたスタイルが「改ページ」の部分にも引き継がれていることになる。その結果、「改ページ」の編集記号は「中央揃え」で配置されることになる。

さらに、どちらの段落にも「見出し」のスタイルが適用されており、それぞれが別の段落になるため、「見出し番号」の自動入力により、「改ページ」の段落が第2章、その次にある「今後のスケジュール」の段落は第3章になってしまう。これが、勝手に「見出し番号」が変更されてしまう原因となる。

このような問題を解消するには、「改ページ」の段落に「標準」のスタイルを適用して、本文と同じスタイルにしなければならない。これで「見出し番号」が変更されてしまう不具合を解消できる。

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「標準」スタイルの適用

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「標準」スタイルが適用された「改ページ」

このように、word「ページ区切り」と「改ページ」は、似ているようで少し異なるコマンドとなる。どちらも「以降の文字を次ページに送ってくれる機能」であることに変わりはないが、書式(スタイル)の引き継ぎが異なる点に気を付けなければならない。特に「見出し番号」を自動付加している場合は注意が必要だ。

見出しの前に「改ページ」を自動挿入

スタイルを使って「見出し」の書式を管理している場合は、「改ページ」を手作業で挿入するのではなく、「見出し」のスタイルに「改ページ」を含めてしまうのが効果的だ。こうすることで、先ほど示したような問題も自然と解消されるようになる。

※スタイルの使い方は、本連載の第19回を参照してください。

今回の例では、ページの先頭に配置する「見出し」を「01-大見出し」という名前で作成している。よって、このスタイルの書式を変更する。「01-大見出し」のスタイルを右クリックし、「変更」を選択する。

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「見出し」のスタイルの変更

「スタイルの変更」が表示されるので、「書式」ボタンから「段落」を選択し、「段落」ダイアログを呼び出す。

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「段落」ダイアログの呼び出し

「段落」ダイアログが表示されたら、「改ページと改行」タブを選択し、「段落前で改ページする」のチェックボックスをONにする。

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「段落前で改ページする」の指定

あとは「OK」ボタンをクリックしてダイアログを閉じていくだけだ。これで「01-大見出し」のスタイルに「改ページ」を含めることが可能となる。つまり、自分で「改ページ」を挿入しなくても、「見出し」が自動的にページの先頭に配置されるようになる。

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自動的に改ページされた見出し

この場合、画面に「改ページ」の編集記号は表示されない。よって、この機能を知らない人が文書を編集しようとすると、「どうやって改ページしているのだろう?」という疑問を抱くことになる。


「段落」ダイアログでも改ページできることを知らなければ、「どうやっても削除できない改ページが存在する・・・」という状態に陥ってしまう。1つの文書を共同編集するときは、こういった点にも留意しておく必要があるだろう。


今回の連載では、「見出し」のスタイルに「改ページ」を含める方法を紹介したが、ほかにも追加しておくと便利な書式がいくつかある。そこで次回は、「見出し」の配置を自動調整してくれる書式について紹介していこう。


word見出しの配置を自動調整するテクニック

2021-04-29 15:05:48 | word

word見出しの配置を自動調整するテクニック

スタイルを使って文書を管理している場合は、フォントや文字サイズなどの書式だけでなく、今回の連載で紹介する書式もスタイルに登録しておくと、文書を編集する際に無駄な作業を行わなくて済むようになる。些細な話ではあるが、意外と作業効率に関わる問題なので、この機会に覚えておくとよいだろう。

word改行による間隔調整の問題点

「見出し」の前に適当な間隔を設けるために、「改行」を挿入してレイアウトを調整している方もいるだろう。たとえば、以下に示した文書では、「改行」を2つ挿入することで「中見出し」の前の間隔を調整している。

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word改行による間隔の調整

このような調整方法は、ときに小さな問題を引き起こす可能性がある。それは、直前の本文がちょうどページの末尾で終わった場合に、余計な改行が挿入されてしまうことだ。たとえば、以下の図のような配置になった場合、「2.4節の見出し」の前に余計な空白(2つの改行)が挿入されてしまうことになる。

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改行の挿入により生じる問題点

このような問題が編集中のページ内で発生したのであれば、すぐに気付いて「改行」を削除することも可能であろう。しかし、この問題は必ずしも編集中のページ内で発生するとは限らない。

いちど文書を作成した後で、前のページに戻って本文を追加したり、削除したりする場合もあるだろう。このとき、行数が増減したことにより、後のページで問題が発生する可能性もある。これを解消するには、以降のページで「余計な改行が挿入されていないか?」をいちいちチェックしていかなければならない。

さらには、「余計な改行」を削除した後に本文を再び修正すると、今度は「削除した改行」を復活させる必要がある・・・、という事態に陥ってしまう可能性もある。このような作業はムダ以外の何物でもない。そこで「段落前」の書式を使って間隔を自動調整する方法を覚えておくとよい。

見出しの前の間隔を自動調整

ここでは、「中見出し」の前に2行分の間隔を確保する場合を例に、具体的な操作手順を紹介していこう。今回の例では「02-中見出し」という名前でスタイルを作成しているので、このスタイルを右クリックして「変更」を選択する。

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「word見出し」のスタイルの変更

「スタイルの変更」が表示されるので、「書式」ボタンから「段落」を選択し、「段落」ダイアログを呼び出す。続いて、「インデントと行間隔」タブにある「段落前」の項目を2行に変更する。これで「見出し」の前に2行分の間隔を自動的に確保することが可能となる。

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「段落前」の指定

「OK」ボタンをクリックしてダイアログを閉じていくと、設定変更が完了する。この時点で、間隔調整用に挿入していた「改行」は削除しておくとよい。「改行」を挿入しなくても、「中見出し」の前に2行分の間隔を確保できることを確認できるはずだ。

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自動調整された「段落前」の間隔

「段落前」の書式の便利なところは、ページの先頭に配置されたときだけ「段落前の間隔」がゼロになることである。このため、本文の修正により「見出し」の位置が変化しても、常に最適なレイアウトを保つことが可能となる。

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「見出し」がページの先頭にきた場合

「改行」の挿入により間隔を確保していたときのように、無駄な調整作業が発生することはない。そのぶん、文章の作成に集中できるようになる、といえるだろう。

「見出し」がページの末尾に配置されるのを防ぐ

何ページにも及ぶ長い文書では、「見出しの前の間隔」のほかにも、さまざまな問題が発生する。その一例が「見出し」だけが前ページに取り残されてしまう、印刷用語で「首吊り」と呼ばれる状態だ。

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「見出し」と「本文」が別ページに配置された例

こちらも文書の作成時であれば、すぐに気付く問題といえる。しかし、本文の修正により行数が変化した結果、運の悪いことに何ページも後で上図のような配置になってしまうケースもある。この場合、問題の発生に気付かずに見逃してしまう恐れもある。

このようなミスを防ぐには、「次の段落と分離しない」の書式を指定しておくのが効果的だ。こちらも「見出し」のスタイルに登録しておくとよいだろう。「見出し」のスタイルを右クリックして「変更」を選択する。

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「見出し」のスタイルの変更


「スタイルの変更」が表示されたら「書式」ボタンから「段落」を選択し、「段落」ダイアログを呼び出す。続いて、「改ページと改行」タブにある「次の段落と分離しない」のチェックボックスをONにする。

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「次の段落と分離しない」の指定

これで「見出し」だけが前ページに取り残される状態を回避できるようになる。もしも「見出し」がページの末尾に配置されるレイアウトになったときは、その「見出し」ごと次ページに送る処理が自動的に行われる。

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自動的に次ページへ送られた「見出し」

よって、先ほど示したような問題は発生しなくなる。こちらも便利に活用できる機能なので、その仕組みをよく理解しておくとよいだろう。

「1行残し」は格好悪い!?

最後に、もうひとつ「見出し」の配置に関連する問題を紹介しておこう。それは、ページの末尾に1行だけ本文が配置されてしまう状態だ。

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「1行残し」の配置

このような状態は、決して格好のよいレイアウトとはいえない。絶対にダメという訳ではなく、趣味の問題になるが、改善するための対策法を紹介しておこう。

この対策には、「改ページ時1行残して段落を区切らない」という書式が活用できる。ただし、この書式は「見出し」ではなく、「本文」の段落に指定しなければならない。よって、「標準」のスタイルを右クリックし、「変更」を選択する。

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「標準」のスタイルの変更

「スタイルの変更」が表示されたら「書式」ボタンから「段落」を選択し、「段落」ダイアログを呼び出す。続いて、「改ページと改行」タブにある「改ページ時1行残して段落を区切らない」のチェックボックスをONにする。

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「改ページ時1行残して段落を区切らない」の指定

これで、ページの末尾に本文が1行だけ配置される状態を回避できるようになる。もしも、そのようなレイアウトになったときは、段落全体を自動的に次ページに送る仕組みになっている。すると、「見出し」だけが前ページに取り残されることになるので、結果的には「見出し」ごと次ページに送られることになる。

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自動調整されたレイアウト

今回の連載で紹介した書式のように、「段落」ダイアログには「あまり知られていないが、使い方を覚えておくと便利」という書式がいくつかある。些細な問題かもしれないが、作業効率に影響を与えるものなので、この機会に活用方法を学んでおくとよいだろう。