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魁スピーカー、高音質の理由 ①

2022-12-29 21:03:44 | 日記
 正体不明の謎スピーカーとなってしまった魁1a型を抱えて、私は途方に暮れました······なんて事にはなりませんでした。
目の前に、新方式の高音質スピーカーがあるのです。
例え原理が不明でも、それがどうした、と改良を進めていきました。

 時系列的にはこうなります。
でも、現在では謎スピーカーではなく、分析ができています。
順を追うよりも、先に高音質の理由を書いておいた方が良いかと思いました。
その方が話を進めやすいかと思ったからです。


    高音質の理由① 箱内定在波が存在しない

 まず、物理の法則のおさらいをしておきます。
この世の質量があり、かつ自由振動できる全てのものには、それぞれ固有の共振周波数があります。
最低共振周波数(fο)と言われているものです。
そしてその上に2次、3次、4次······と高次共振が重なります。
なお、最低共振周波数以下では共振は起きません。

 この物理法則を、箱内定在波にも適用できるでしょうか?

定在波は、ユニットの放射音(箱から見れば入射音)と箱内部の反射音の干渉で発生します。
そして箱の大きさによって周波数が決まります。
ユニットの大小は関係ありません。
大型の箱に小口径フルレンジを付けても定在波は低くなりますし、逆もしかりです。
定在波の周波数をユニットの低音再生限界付近に設定して、うまく低音を伸ばすというチューニングもあるようです。

 では、定在波の発生周波数以下でも定在波が存在しているのでしょうか?
逆に高い周波数では発生しています。
リスニングルームの定在波がその代表例です。
では低い方は?

 思考実験として、次の様な例を考えてみましょう。
例えば20㎝ウーファーを、1リットルくらいの極端に小さな箱に入れたと想定します。

(物理的に無理です、なんて答えたらダメですよ。想定ですからね。)

その場合、例えば100㎐くらいの箱内定在波が発生すると思いますか?

答えはNOです。
定在波は数千㎐の高い周波数で発生し、箱内では100㎐は音ではなく、単なる空気の揺らぎでしかありません。
つまり、空気が1秒に100回圧縮されるだけです。
当然、定在波の発生のしようがない

 結論として、箱内定在波にも自由振動の物理法則が適用できる、となります。
最低共振定在波数(?)以下では定在波は発生しないのです。

 さて、本題の魁スピーカーです。
これは元々はプラスチック製の丼です。
その上、コンクリートの充填で壁が肉厚になっているため、内容積が非常に小さくなっています。
一般的な8㎝フルレンジユニットでは内容積3リットル程度の推奨が多いようですが、魁スピーカーでは750㏄くらいしかありません。
(実際に水を入れて量りました。)

 もうわかりましたね。
魁スピーカーは内容積が極端に小さいため、内部定在波の周波数が非常に高い。
よって実質的に定在波が存在しなくなっているのです。

 一般的なエンクロージャーでここまで内容積を小さくすると、まず低音が出ません。
さらに影響は中高音にも及び、押さえつけられたような窮屈な音になります。

 ユニットのすぐ裏がゴム板である魁スピーカーではそんな事はなく、実に伸び伸びと鳴ります。
フォーカスがぴったり合った、純度の高い音、そんなイメージでしょうか。

 定在波が無い、という事は他にも大きなメリットをもたらします。


   次回  高音質の理由② 吸音材の不使用


 (余談)
定在波が無い、と少し大袈裟に書きましたが、実は魁スピーカーの高域の癖が定在波の影響なのではないかと睨んでいます。
これについての対策は······(以下同文。)


 (おまけのアイデア)
定在波の周波数が高い。
これが高音質の理由ならば、箱の中に窒素ガスを充填したらどうなる?
さらに周波数が上がって、音がピュアになる?
もしかしたら友人が来た時だけ注入して、よそ行きの音にする、なんて事になるかもしれません。
誰か実験してくれないかなあ。(完全に人任せ。)








魁スピーカーの音。

2022-12-24 18:51:25 | 日記
 それでは私の主観による、魁1a型の音の評価をします。
まず、すぐに気が付くのは歪感の少なさと解像度の高さ。
実に生々しい音がします。
リラックスできる ウォームサウンドではありませんが、デジタル的な高解像度音です。
このあたりは、箱がプラスチック+コンクリート製であることと関係ありそうです。
では、痩せた冷たい音なのかというと、そんな事はありません
音が美しい。
実に伸び伸びと鳴る。
尖った音の再生にも強く、ダイナミックレンジの広さを感じる。

 「この音は何かに似ている。」ずっとそう感じていました。
最近になって、ようやく思い当たりました。
このスピーカー、ヘッドフォンのような音なのです。

 こう書いてくると、まるで理想のスピーカーのように思うかもしれませんが、もちろん完璧であるはずはなく、欠点もあります。

 レスポンスの良い低音が軽々と出て来ますが、良く聴くと100㎐以下(私の聴感上です:測定機は所有してません。)の低音が減衰しています。
このスピーカー、重低音は苦手、軽低音(?)なら得意です。

 少し先の話になりますが、このスピーカーにスカートをつける(バッフルボードですね。)実験を行いました。
結果、低音が伸びることが確認できました。
ということは、音の回り込みによる位相干渉が起きている、となります。
対策は色々考えられます。
でも、そこまで書いていくと長文になりますし、本題から外れますので、後日にしたいと思います。
(ネタの都合もありますし···)

 次の欠点は、音像定位があまり良くない、という点です。
後方に音を放射しているのですから、これはやむを得ない欠点といえます。
これも対策は色々考えられ····(以下同文。)

 そして次に、極めて高い周波数、1万㎐近くでしょうか、このあたりに少し癖があります。
ハイ上がりとは思いませんが、これがこのユニット、M800のキャラなのかな、と当時は思っていました。

 この魁スピーカー、それまでメインスピーカーだった FW168HR+FT57Dと比べて、全ての点で優れていた訳ではもちろんありません。
本職の16㎝ウーファーですから、当然低音では圧倒しますし、高域の癖もなく、自然です。
でも、決定的だったのは中音、ボーカル領域の箱鳴りです。
魁スピーカーを作るまでは気にならなかったのですが、聴き比べてみると箱の共振が明確に感じられ、我慢できなくなりました。


 実はこの魁スピーカー、なぜここまで高音質なのか全く理由がわかりませんでした。
ついでに言うなら、弾性振動板を用いたこの方法で、なぜ低音が増強されるのかも全くの謎でした。
 この魁方式とでもいうべき構造、もともとバックロードホーンからの発想だったので、当然バックロードホーンの原理で低音を増強していると思っていました。
でも、そうではない事が判明したのです。

 少し未来の話になります。
行ったのは、魁スピーカーの後方、低音を放射するゴム部分を覆ってしまう、という実験です。
一般的なバックロードホーンの場合、音道出口を塞いでしまえば厳重な補強をした密閉型となってしまい、当然低音の出方が変わります。
 ところがこの魁スピーカー、音道出口を塞いでも、ほとんど音が変わらなかったのです。

 魁スピーカーはバックロードホーンではない!
この事実は私を混乱させました。
魁スピーカーは、正体不明の謎スピーカーとなってしまったのです。


    次回  魁スピーカーの音の秘密。(謎解明?)








2式魁1a型誕生へ。

2022-12-18 20:02:59 | 日記
 ダメ元の軽い気持ちの実験で、信じられない結果を得た私は、前半丼の裏に貼る弾性材に、何が適しているのかを試してみる事にしました。
ティッシュの箱は中高音がやや透過していて、あまりよろしくなかったからです。
(厚紙だから、当然です。)
でも、どのようなものが適しているのか皆目見当がつきません。
とりあえず、とにかく手に入れやすいものを適当に揃えました。

(まだ他にもあったと思います。

 細かい試聴結果を記しても仕方がないでしょうから、結論を言います。
最も高得点を上げて採用されたのは、ゴム板、3㎜厚です。
中高音の透過が最も少なく、低音増強効果も優秀でした。

 ちなみに、ゴム板は100円ショップでは手に入らず、仕方なくホームセンターで購入しました。
高価なものでは全くないので、良しとします。

 こうして形になった魁スピーカー1a型ですが、実は大きな問題を抱えていました。
「スピーカースタンドをどうする?」問題です。
何せ形状が丼です。
これを横に立てようというのです。
大変困難なことは、容易に想像できると思います。
後方に低音を放射するので、後ろも塞げません。
頭をひねりましたが、適当な方法が思い浮かばない。
仕方がないので、とりあえずは円形に切り取ったゴム板の残り、切れ端を下に挟んで立てました。

(再現したもの。ユニットは異なります。不恰好でしたね。)

 少し考えればわかると思いますが、この方法は極めて安定性に欠けます。
つまり、勝手に倒れるのです。
仕事から帰ってみると下に落ちていた、なんてことが何度かありました。
おかげでユニットの(おそらくアルミ製の)振動板に、へこみができました。
音への影響は感じませんが、精神衛生上よろしくない。
世のオーディオマニアの諸兄が見たら、目を三角にして怒るかもしれません。


 それでは本題である、魁1a型の音の評価を言いましょう。
実は、「感動モノの音の良さ!」(当社比)なのです。
おかげで、それまでの私のメインスピーカーであった、フォステクス FW168HR+FT57D(普通の2Way、バスレフ:当時はお金があったのです!)を倉庫送りにしてしまいました。
雑誌の付録ユニット+1000円もしないBOXのスピーカーが、です。


  次回  魁スピーカーの音。(手前味噌)







次の閃き、そして魁スピーカー誕生へ。

2022-12-11 15:38:40 | 日記


 このスピーカーのイメージを思い浮かべていて、次に閃きました。

これを、バックロードホーンに使ってみればどうなる?

 ここで思い出したのは、故長岡鉄男先生の言葉です。
「バックロードホーンとは、ユニット振動板の小口径・大振幅の振動を、大口径・小振幅の振動に変換する変換器である。

 ちなみに、私は長岡鉄男派ではなく、江川三郎派でした。
当然、長岡先生の著作など持ち合わせてはいませんので、これは書店での立ち読みの記憶かもしれません。
記憶違いがあれば謝罪いたします。

 話を戻しますが、長岡先生の言葉に従うならば、これでバックロードホーン動作が成立するはずです。





    スピーカー振動板の小口径・大振幅の振動を、
    弾性振動板の大口径・小振幅の振動に変換する。

 仮にこれでバックロードホーンが成立するとしたら、超ウルトラベリーショート音道なバックロードホーンとなり、位相の問題が発生するかもしれません。
でも、これは実際に試してみないと何とも言えない。

 さっそく試してみようと思いました。
というのも、私には最適な試験体があったからです。
そう、見果てぬ夢に終わった、理想スピーカーの前半丼です。

 たまたま目の前にあったのは、 ティッシュの空き箱。
これを開いて、円形に切り取り、前半丼に貼り付けました。

そして、これをアンプにつないで、音楽再生。
その結果は?

 《低音が出るじゃないか!!》




(始めのスピーカー。再現したものです。)


   次回  2式魁1a型誕生へ。Coming Soon!(本当か?)


次のスピーカーの模索と、新しい閃き

2022-12-06 19:07:21 | 日記
 理想スピーカーの失敗を受けて、次のスピーカーをどうするのかを私は考え始めました。
ちょうどこの頃、私はタブレットを手に入れました。
実は私は、それまでネット環境にいなかったのです。
 さっそく、世間の人たちがどういうスピーカーを作っているのか、検索を始めました。
バックロードバスレフ! 何じゃそりゃ?
こんな感じですね。
ウン十年のブランクがあるから、当然です。

 そんな中で、私が注目したスピーカーがあります。
Jazzman というスピーカーです。
これは球面波の再生を追及した、点駆動スピーカーです。
内部損失の大きな、弾性のある平板振動板を一点で駆動、たわみ振動で音楽を再生しようというスピーカーです。



興味のある人は検索してみてください。

 ここからは私見となります。
このスピーカーの最大の利点は、フリクションの少なさではないかと、私は思います。
一般的なエンクロージャーは、箱内の空気バネの反発力を利用して低音を増強します。
後面開放型であるジャズマンは、この空気バネによる制動がありません。
抵抗が大きいであろう、重い振動板もありません。
微妙なニュアンスの表現に優れた、伸びやかな音がするのではないかと想像します。

 さて、気になるスピーカーを見つけた私は、このジャズマンを自作できないかと、少し考えました。
そして、すぐに断念しました。
問題はこの弾性振動板です。
最適な内部損失と、適度な弾性を両立した振動板を、何で作る?
相当なトライ&エラーが必要でしょう。
「根性」という言葉が辞書に載っていない私は、すぐに匙を投げました。


 では、次にどうする?
そこで私はアイデアが閃いたのです。
この弾性振動板を、ユニットの振動板ではなく、エンクロージャー(箱)の方に使ったらどうなる?



(こんなイメージです。)

 音圧が外に逃げるのですから、fο(最低共振周波数)が下がります。
ということは、Qを確保して、十分な低音を再生するためには、箱を小さくする必要があります。

(申し訳ありません。専門用語が初心者の方にはわからないと思いますが、読み飛ばしても全く問題ありません。)

箱を小さくできる、という利点の他には、音圧を逃がすことで、内部定在波を抑制するという効果も期待できます。
うまくチューニングすれば、fοとQをコントロールして、低音を伸ばす事ができるかもしれません。

 すごく良いアイデアのように思えますが、このアイデアに基づくスピーカーは試作されませんでした。
なぜなら、すぐに次の閃きがあったからです。


  次回  次の閃き。そして魁スピーカー誕生へ。(予定)