100円ショップで丼(大)とカラーコーン、セメントを準備した私は、さっそく製作に取りかかりました。
(その後、この丼はスピーカースタンドの胴体部分として、有効活用されました。)
(これは魁1b型(密閉型仕様)の裏側用なので、ユニット取り付け穴が開いていません。)
(こうなるはずだった。つわもの共の夢の跡····南無。)
まず、丼の中心をくりぬいて、スピーカー取り付け穴を開けます。
当時、何も電動工具を持たなかった私は、この作業にもかなり手こずりました。
仕上がりも素人感満載、ガタガタの仕上がりでしたね。
そしてセメントを水で溶いて、丼の内側に貼っていきます。
Trial 1
ここで私は重大な見落としに気付きました。
セメントは粘性があっても〝液体〞なのです。
つまり、下に垂れるのです。
形を作っても、しばらく目を離すと下がぶ厚くなっている。
修正しても、当然また同じ結果に。
結局、完成してみると、下が異常にぶ厚い、まるでショートホーンのような内部形状に···。
(その後、この丼はスピーカースタンドの胴体部分として、有効活用されました。)
Trial 2
それでは、とセメントの水分量を減らして(硬くして)丼の内側に薄く貼っていくという作戦に。
一応成功しました。
形にはなったのです。
ですが、問題は硬化した後でした。
セメントは硬化すると、収縮するのです。
(当然、知らなかった。)
セメントに亀裂が入って次第に拡大、最後には剥落していきました。
Trial 3
これはいけない、根本的に対策を講じなければ、ということで、私は
コンクリート建築と同様の型枠構造で作ることにしました。
具体的には、当初用意した大丼とは別に小丼を用意、この2つを重ねてその隙間にセメントを詰めることにしたのです。
そしてセメントも収縮しないように、砂を混ぜてモルタルにしました。
(これは魁1b型(密閉型仕様)の裏側用なので、ユニット取り付け穴が開いていません。)
さすがにこれは成功、理想スピーカーの前半部分は無事完成しました。
そして次に後半のカラーコーン部分に取り掛かりました。
前半丼に懲りた私は、最初から型枠構造で製作しました。
ただし、コーン形状の理由で隙間が大きくなり(およそ1cm)、モルタルが厚くなりました。
かなり重量級にはなりましたが、無事作製完了です。
こうして前半も後半も無事揃い、もうすぐ完成だ、というところで、極めて重大な事に気付きました。
この丼とコーンを、どうやって接合する?
ユニット取り付け穴は小さくて手が入りません。
つまり内側からはどうしようもない。
頭をひねりましたが、何も名案が浮かばない。
結局、丼とコーンの接合部にモルタルを盛り、モルタルの接着力(?)
に期待するしかない、となりました。
何とか2つを接合、コーンの上に丼を乗せて放置、硬化させました。
そして翌日、完成した理想スピーカーを、そろりと横に倒してみました。
すると、簡単に丼とコーンが2つに分離。
以上。THE END。
(こうなるはずだった。つわもの共の夢の跡····南無。)
その後、丼にユニットを取り付け、(やはりウン十年前の)グラスウールを詰め、手で押さえ付けて形を作り、試聴しました。
もし完成していた時の音の傾向を確認、同じコンセプトで製作して良いのかの指標とするためです。
その結果はというと、全くダメ。
痩せて平板、無機質さを感じる音。
これは多少の改造では取り戻せない。
結果、「私の理想スピーカー」計画は、本当に完全終了となりました。
後日談
理想スピーカーの、全く期待を裏切る結果に、当時の私は材料に使用したモルタル(コンクリート)が原因だろうと、単純に思っていました。
実際、コンクリートで箱を作った場合、痩せた音になる場合が多いようで、エンクロージャー材の主流にはなっていません。
しかし、現在は私の見解は異なります。
失敗の主な原因は、材料のコンクリートではなく、グラスウールを詰め込んだ事だろうと考えています。
吸音材に関しては、いずれ所見を述べようと思います。
あまり期待しないでお待ちください。
NEXT 次のスピーカーの模索と、新しい閃き。(仮)