それでは私の主観による、魁1a型の音の評価をします。
まず、すぐに気が付くのは歪感の少なさと解像度の高さ。
実に生々しい音がします。
リラックスできる ウォームサウンドではありませんが、デジタル的な高解像度音です。
このあたりは、箱がプラスチック+コンクリート製であることと関係ありそうです。
では、痩せた冷たい音なのかというと、そんな事はありません。
音が美しい。
実に伸び伸びと鳴る。
尖った音の再生にも強く、ダイナミックレンジの広さを感じる。
「この音は何かに似ている。」ずっとそう感じていました。
最近になって、ようやく思い当たりました。
このスピーカー、ヘッドフォンのような音なのです。
こう書いてくると、まるで理想のスピーカーのように思うかもしれませんが、もちろん完璧であるはずはなく、欠点もあります。
レスポンスの良い低音が軽々と出て来ますが、良く聴くと100㎐以下(私の聴感上です:測定機は所有してません。)の低音が減衰しています。
このスピーカー、重低音は苦手、軽低音(?)なら得意です。
少し先の話になりますが、このスピーカーにスカートをつける(バッフルボードですね。)実験を行いました。
結果、低音が伸びることが確認できました。
ということは、音の回り込みによる位相干渉が起きている、となります。
対策は色々考えられます。
でも、そこまで書いていくと長文になりますし、本題から外れますので、後日にしたいと思います。
(ネタの都合もありますし···)
次の欠点は、音像定位があまり良くない、という点です。
後方に音を放射しているのですから、これはやむを得ない欠点といえます。
これも対策は色々考えられ····(以下同文。)
そして次に、極めて高い周波数、1万㎐近くでしょうか、このあたりに少し癖があります。
ハイ上がりとは思いませんが、これがこのユニット、M800のキャラなのかな、と当時は思っていました。
この魁スピーカー、それまでメインスピーカーだった FW168HR+FT57Dと比べて、全ての点で優れていた訳ではもちろんありません。
本職の16㎝ウーファーですから、当然低音では圧倒しますし、高域の癖もなく、自然です。
でも、決定的だったのは中音、ボーカル領域の箱鳴りです。
魁スピーカーを作るまでは気にならなかったのですが、聴き比べてみると箱の共振が明確に感じられ、我慢できなくなりました。
実はこの魁スピーカー、なぜここまで高音質なのか全く理由がわかりませんでした。
ついでに言うなら、弾性振動板を用いたこの方法で、なぜ低音が増強されるのかも全くの謎でした。
この魁方式とでもいうべき構造、もともとバックロードホーンからの発想だったので、当然バックロードホーンの原理で低音を増強していると思っていました。
でも、そうではない事が判明したのです。
少し未来の話になります。
行ったのは、魁スピーカーの後方、低音を放射するゴム部分を覆ってしまう、という実験です。
一般的なバックロードホーンの場合、音道出口を塞いでしまえば厳重な補強をした密閉型となってしまい、当然低音の出方が変わります。
ところがこの魁スピーカー、音道出口を塞いでも、ほとんど音が変わらなかったのです。
魁スピーカーはバックロードホーンではない!
この事実は私を混乱させました。
魁スピーカーは、正体不明の謎スピーカーとなってしまったのです。
次回 魁スピーカーの音の秘密。(謎解明?)
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