俺、俳人っつっても許されなかったよ(筆・觜川おん)

誰れも愛さないと決めた日の午後

公園のベンチに坐りながら 詩を書いてた

足下からのびる影の うっとうしさを見詰めながら

 

時間はもうすでに 南を遥かに過ぎ去ってしまい

雲は夕刻をすぎてから

機嫌をそこねてしまったために足首を紅潮させている

 

今すこし たったら

君の処へ行こうと思う

皮革の手帖を閉じて

そして聞かせてみせよう 愛の無い午後のうた

 

雨にふられた かたつむりの

抜け殻に響く鐘の音はもうすでに消えてなくなった

 

 

 

(『蓄音機』収録)

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