懐中をまさぐれば
銭は無いが時計在り
懐中をまさぐれば
友は居ないが敬愛が在り
懐中をまさぐれば
色慾は無いが慈愛が在る
俗世を捨てれば、社会に捨てられ
銭は無く、他人はあますぎると妬みを云ふ
他人の起ち上げた訳の分からぬ秩序を担ぐ、末端に成らねば、人として扱れず
愚生をお零れの分配に組み込んで下せえ、と嘆願せねば
(或いは、せめて其の格好を認めさせねば)
価値を受容されぬ
懐中を飽和する程の紙幣で、
もうまさぐれんよ
しかしわたくしは 道に迷うた人の為に是れに地図を書いて渡してやり、
人生に迷うた人の為には是れに詩を書いて渡してやり
愛に迷うた人の為ならば、是れにラヴレターを書いて与えてやり
銭が無い者には何も書かずに渡してやる
厖大な富を失った所で、
懐中をまさぐり、まさぐって、やっとの
一粒の飴を行き摩りのこどもにあげてやり
人は空虚と嗤うだろうが
捨てられたとて
此処をまさぐって、生きてゆきたい。
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