インテリアの書

文字を「書く」のではなく「表現」する

迷うより、書くこと

2012年10月30日 | インテリアの書
                          「春山如笑」  (半紙)


すっかり更新が遅くなりましたが、前回の教室のレポートをば。

教室を始めてから、まだまだ試行錯誤のところが否めないのですが。

というのは・・
どこかの書の会に所属していらはる方、ほとんど初めての方、等々があり、
また、それぞれの表現の好みというか、個性もあり、
同じスタートラインではないということ。

基本はしっかり臨書をして、基本的な学びが不可欠であるということ、
その先で、それぞれの世界を表現していこうということ、そして
どちらかを優先すると、片方がわからなくなったりもするわけで。

つまり、お習字ではなく、「表現する」ということは、
自分とどれくらい向き合えるかという、苦しい作業でもあるということなのでして 

そうなると、月に2回、1回2時間の教室ではとてもとても・・・なのでして。


つまりつまり、答はそうそうすぐには、見つからないということ。
古典をしっかり学びつつ、表現を遊ぶというのは難しいのかもしれない。
迷ったり、焦ったり、諦めたくなったりするかもしれない。

そんな時、何が一番大事かっていうと、
自分はどんな書風が一番好きで、どれだけそれを追いかけたいのかを探すこと、かな。

正しい文字を書いていたら、なかなか「はずせなくなる」というのはあるかもしれない。
でも正しい文字を知らなければ、はずしたときにただ、俗っぽくなってしまうと思う。
そこには、品位とか心地よさとか、いつまで見ていても飽きない何かがなくなってしまうと思う。

だからやっぱり、自分らしい表現を探したければ、まずはきちんと古典を学ぶべし。
な~んて、偉そうに言いつつ、はい、自戒も込めて、でございます。

そういう意味では、「春山如笑」は、遊びすぎで格調はないですね 
お正月に飾る作品を、ということで、Aさんが選んだことば。
笑の終筆を思い切り伸びやかにしたいがために、全体を左に寄せてみましたが。


で、これは教室で書いた、暴風と空っ風をイメージして書いた「風」。 どないでせう 




そしてこちらは、左利きのKさんが書かれた「風」。どっしりしていておおらかで、私は好きです。




ということで。
迷ったら、自分に言い訳を考えるよりも、書いて書いて書きまくれ~でござる。
・・と、柿沼康二氏 もおっしゃっておられる。
人よりも1枚でも2枚でも、1分でも2分でも多く臨書するべし、と。

あ、今月曜夜9時半~Eテレで、柿沼氏の書道やってますね~。
再放送も週に3回?あるそうですよ~。



講師ブログはこちらから → 心の免疫力~書とことばから

教室第5回目 木簡集字千字文から学ぶ

2012年10月07日 | インテリアの書
                    「天地玄黄」 (半紙)


10月からは、集漢簡千字文の臨書を始めました。
なぜこの臨書を選んだかというと、この木簡の中には、創作のヒントがたくさん隠れていると思うからでして。

たとえば、この原本から



天:左払いをちょこっと上向きにすることで、軽やかで明るい印象にして
  終筆の右払いはたっぷりと重厚感ある力強い線にすることで、格調を保ってる
  横画の間隔はなるべく狭くすることで、両払いのスケールを出している

地:土は小さく、也の一画目も小さめにして中心より左に寄せることで
  終筆の払いの大胆さをより演出している

玄:幺はなるべく幅を狭くすることで、横画の伸びやかさを助けてくれてる

黄:ちょっと右肩下がりの逃げるような表情を、10画目の左側のノの角度で引っ張って、
  田は丸めにおっとりとすることで、どことなくおとぼけな表情にしてる

・・・と、私は感じるのでして。
そして、ほんとはこれは縦に1列なんだけど、その字と字の間の字間、行間、
両隣、上下の響き合い、そんなのも意識しながら臨書をしていくのでして。

それぞれの文字が、どこを一番アピールしたがっているのか、
その話を聞いてあげながら、遠慮がちな文字には、その思いを汲み取ってあげながら。

そうして、一字一字と向き合い、語り合っていると、今度は自分なりに
その文字を開放してあげたくなってくるというか。
つまり、そこからは創作という作業。

たとえば「天地玄黄」の四文字を、いろんな表情で書いてみる。
大胆にとか、丸っこくとか、筆を変えてみたり構図も色々と。



荒々しくしてみたり、円の中に入れてみたり、紙を横にしてみたり。




やみくもに書こうと思っても、浮かんでこなかったり統一感がなかったりするので、
まずは「どんなイメージ」で書きたいか、を考えてみる。

でも、その「どんなイメージ」も浮かばない場合、それはもう、ただひたすら
展覧会に行ったり、本を眺めたり、それは書に限らず、絵でも音楽でも、料理でも
なんでもいいから、自分の「好き」「嫌い」「しっくりくる」「居心地がいい・悪い」とかを
どんどん体感していくこと、これ大事!

まずは、自分を知ること、そうでないと創作はできないって思う。
もちろんその中には、数ある古典を臨書していく作業も大事。

でもね、古典は膨大すぎて、どこから手をつけたらいいかわからないって人は、
まずは、臨書しなくてもいいから、どんな書風、書体が好きかを探してみて下さいまし。

何をするにも、時間と根気と労力は必要で、簡単にできるものなんてないわけで。
まずは、とにかく書いて書いて、書きまくる。
そんなところから、ぜひご一緒に~。

教室はいつでも見学、体験できます。
興味を持たれた方は、コメント欄か右バーの「メッセージを送る」からお気軽にお問合せ下さい 


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