未来を拾いに

aikoのことしか頭にないひとのブログ

ラグビーW杯 日本×南アフリカ

2015-09-20 18:49:07 | 雑記

日本 34-32 南ア

昨日深夜のことでした。すごかった。すごい試合をやりました。「すごい」しか形容詞がないのが情けない。

NHK BS1で生中継がありました。
私は前日までの仕事疲れと土曜日早朝からゴルフいってたのもあって眠くて眠くて。W杯に備えて寝たのですが寝坊してしまい!テレビをつけたのが後半開始直後くらいでした。

目を疑いましたよね。

まぁ、日本負けてるんですけど、2点差なんですよ。後半開始直後で2点差のゲームをやっている。相手は南アです。「スプリングボクス」っていってね、世界ランキング3位。世界のラグビー界の強豪中の強豪なわけだ。

勝ったのも未だに信じられないくらいだけど、そのこと自体よりも、試合の内容がすばらしかった。シーソーゲームでね。後半は一時9点差くらいついたんじゃなかったでしたか。五郎丸のペナルティゴールで3点差に追いついたけど、すぐにトライで突き放されて。

やっぱり相手が強いなと思いました。そして、そのまま点差を広げられて、「よく頑張ったけどなあ」っていう試合になるのかなと思ってみていました。

そこからですよね。信じられない展開が待っていました。すぐにトライを返す!
繰り返しますが相手は南アです。


日本のメディアはそうでもないのでしょうが、世界のメディアの興奮と驚きを伝えるニュースがそれを物語っています。

「W杯史上最大の衝撃」。

ね。

日本代表がスプリングボクスに勝った。テストマッチとかじゃないですよワールドカップですよ!

日本のW杯の成績みたらわかりやすいです。第1回大会が1987年。サッカーや五輪と一緒で4年に1回開催され、今年が8回目。日本の成績は、1勝21敗2分。勝ったのは、1991年のジンバブエ戦の1回だけ。引分けが2007年と2011年のカナダ戦。だから、日本がW杯で勝ったのは「24年ぶり2回目」ということになりますね。

一方の南アフリカ共和国。ラグビーの国別代表には愛称がありますよね。有名なニュージーランド代表は「オールブラックス」。オーストラリア代表は「ワラビーズ」。南アフリカ代表の愛称は「スプリングボクス」です。
最近は、「インビクタス」っていう映画にもなりました。クリント・イーストウッド監督ですねー

W杯出場は第3回大会から(第2回大会まではアパルトヘイトに対する国際社会からの制裁のため不参加)。5回のうち2度優勝。3位が1回。それ以外も全てベスト8に入っています。W杯戦績は30戦25勝5敗。W杯で南アに勝ったのはオーストラリア、イングランド、ニュージーランドだけ。そこに今回、その中に日本の名が入ります。南アが予選リーグで負けたのは12年ぶり2度目だそうです。 

 

ラグビーは実力差がそのままでやすく、番狂わせの起きにくい競技といわれています。だから、サッカーで日本代表がドイツやブラジルに勝つとか以上に奇跡的だっていわれています。

もっとも、今にして振り返っておもえば、それだけの力をエディ・ジャパンがつけていて。そして相手の油断(要はあまりにも格下すぎてなめてもらえていたということ)もあったでしょう。FWががんばって、ラインアウトもディフェンスもがっちり。球だしも集散もパス回しも速くて!ノックオンも少なくて!

「金星」ですが奇跡的ではなく、世界とやっても遜色ないチームを作ってきた日本代表が、ここまでやってきたとおりの力を出せて勝ったというところなのかも知れません。

 

私、ラグビー好きなんですよ。サッカーはそんなに興味がないんですけど。

なんでなんだろうか。

戦略とか戦術とか駆け引きとか、競技・ゲームそのものとしてのおもしろさは勿論なんだけど、それだけじゃないような気がします。
たぶん「風景」が好きなんだと思う。なんか泥んこが似合う感じするでしょ。ひたむきさっていうか一生懸命さっていうのがストレートに絵になる感じがする。そのあたりが私の好みにあってるんだろうなとおもいます。


大学ラグビーの明治大学のファンで、よく秩父宮に足を運んでいました。最近はもう明治が弱くなっちゃって、あんまりいけてないんですけどな。今は帝京が強いですねー。その前は清宮監督(高校野球で有名になった清宮くんのお父さん)の早稲田が強くてね。

昨日の日本代表で大活躍のFB五郎丸選手。大学の頃は早稲田でね。1年のときからFBで出ていました。キックの精度がそれはそれは高くて。フィジカルも強くて足も速くて。

WTBの山田章仁選手。彼は慶応ですね。五郎丸と同じくらいの頃にやっぱり秩父宮で見ました。今もはっきり思い出せるプレーがあって。慶明戦ですね。慶応は当時もそんなには強くはなかったんだけど、彼の個人技は学生レベルを超えてて。自陣でターンオーバー、ぱぱっとつないでライン際ギリギリを独走。魔術師のようなすばらしいステップとボディバランスで。おっとっとっとって明治のバックスのエースが一瞬にしてかわされておいていかれて・・

主将のリーチマイケル。彼は東海大です。学生時代は「マイケル・リーチ」っていってました。大学選手権、国立競技場で観たことがあります。2011年の正月のことです。帝京戦ですね。そのときの帝京に、ヘンドリック・ツイがいました。彼も今は「ツイ・ヘンドリック」ですね。たぶん日本風に姓を先にしてるんだとおもう。

これが素晴らしい試合でね。FW戦、意地と意地が激突。見応え十分でした。リーチもツイもいいプレイヤーでね。 リーチとツイが激しくやりあってエキサイトする場面もあったりして。レベル高かったし熱かったよ。

中継みたひとは、リーチマイケルのインタビューをきいたと思います。流暢な日本語だったでしょ。リーチやツイだけじゃない。みんな日本で長年ラグビーをやっているんです。「ラグビー日本代表っていうけど外国人ばっかりじゃん」とかいうのは、非常に野暮なのでやめたほうがいいとおもいます。


大学ラグビーは観るけど、トップリーグはあんまり見ないので、こういう機会で代表戦を見ると、ちょっと感慨がありますよね。みんなすごい選手に成長したんだなあっておもうじゃん。

 

後半。南アがペナルティーゴールを選択して点差が広がる。日本も五郎丸の正確無比なキックで点差を広げさせない。そして必死のディフェンス。南アフリカの選手の顔色は変わっている。まさかの苦戦というところだったでしょう。

ときおり、スタンドの様子が映し出されます。日本の日の丸を掲げたファンも多かったですが、それ以外の現地の普通の人たちの姿も多かったですよね。勿論、南アフリカのジャージを着たひともたくさんいます。そのスタンドが、どんどん「日本びいき」に染まっていく。会場の観客を味方にしていきました。ラフなプレーがなくて、紳士的なクールな試合。イギリスですから、そういう空気を歓迎するムードもよりあったかも知れませんね。

そして、私がいちばん感動して、涙が止まらなくなってしまったのが、スタンドに映る、代表のジャージを着たラグビーファンのおっさんたちの姿。
試合はまだ後半の中盤で、一進一退の攻防が続いていて、勝敗の行方は予断を許さないわけなんだけど。みんな涙涙涙で泣きながら応援してるんですよ。いいおっさん、おじさん、おじいさんたちが。

勝った瞬間とかじゃないですよ、まだ後半の中盤。

ラグビーってマイナーなスポーツなんですよね。秩父宮(ラグビー場)とかいってると、若いひとよりも、おっさんたちが多いんです。若い女性の方もいるけど、多くがおっさんたちなんですよね。で、気の利いた野次を飛ばして観戦してるわけ。きっと若い頃にラグビーやってたひとも多いんだと思います。昔、Jリーグとかがはじまる前、ラグビー人気だったことがあったから。新日鉄釜石とかですわな。

で、日本代表も長くみてると、ものすごい敗北の歴史なわけですよ。もう何十年も、ずっとものすごい点差でボッコボコにされ続けてるわけ。ここの、W杯の会場にまでいって応援してるようなおっさんたち。きっとそれでも日本のラグビーを応援し続けてきてて。この日の相手はスプリングボクスでしょ。きっとボコボコにされてボロ負けするだろうけど、最近テストマッチとかがんばってるし、健闘するかもしれんと。強豪相手でも応援しないと!っていう。あ、全部勝手な想像なんですけどね。

それが、後半のこの時間帯になっても、大差つけられて一方的どころか、一進一退の攻防、互角の戦いを繰り広げている。「こういう試合をやっている!」っていうのを目の前にしてて、そのことの意味をわかっているから、それだけできっと感動してて、抑えきれてないんです。


これにはもらい泣きですよ。
そして目の前に展開されるゲーム。ひたむきな必死なディフェンス、タックル。相手ディフェンスに突っ込む!前進!


ここからは、ニュースのハイライトでもよくやってるシーンになってくるのですけど。

試合終盤、点差は3点。ビハインド。残り2分を切る。相手はシンビン(悪質な反則につき一定時間試合から退場させられるルール)で人数が少ない。日本が南アフリカ陣内に押し込む。モール攻撃!

このあたりはもう涙でテレビの画面が見えないですよ。

押せえええェ!

モールがゴールラインを切り裂く!レフリーがトライかどうかを確認する。トライなら逆転。そして残り時間的にそのままノーサイドの可能性が高い。しかし、トライ認められず。

そしてペナルティを得て・・

ここね、ルール解説がいるのですが、ラグビーは相手ペナルティをもらうと、ペナルティーゴールを狙うか、スクラムか、ラインに蹴るかの3つから自分たちの作戦を選べるんです。ペナルティゴールは、地面にボール置いて、2本の棒の間に蹴り込めば3点ってやつね。
ここでペナルティーゴールを選べば、キッカーは安定の五郎丸だし、まず確実に3点を得て、同点でノーサイドにできる。これでも歴史的な「引分け」で、W杯的にも勝ち点を得られるし、なんしろ相手は優勝候補の一角。有りな選択どころか、そうするのが普通でしょう。
それ以外の選択は、相手に守りきられたり、攻撃に失敗したり(ノックオンとかで)すると、そのまま3点差で負ける可能性も高い。ただ、トライを奪えれば5点なので、逆転できる可能性があります。

引分けに持ち込むか。負けを覚悟で勝つ可能性に賭けるか。

なんども「すごい」って書いたけど、ここでスクラムを選択して、本当に逆転トライしちゃったところがすごかった。

日本、円陣を組んで。そしてスクラムを選択。

ジャパン!ジャパン!

場内はものすごい「ジャパン」コール!これもすごかった。完全にスタンドを味方につけていました。南アには気の毒だったけど。

スクラムもなんども潰れてね、やりなおし。
ガチっと組んだ!しばらくしてボール入れる・・・ちょっとずれる(わざと?

ボール出た!

右に降って左に回して余って、そして左隅にトライが決まったときには、深夜ひとり部屋でテレビを前にして

いけ!いけいけいけいけいけ!
うわああああああああああよっしゃーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

って叫びました。あの瞬間、テレビを見ていた割と多くのひとがそうだったんじゃないでしょうか。

そして、このとき初めて

勝ったかも知れない!

って思いました。もしかして、もしかしてこれって勝ったんじゃね?って。


「いけいけいけ・・トラーイ!!――

NHKのアナウンサーは、もうこの逆転トライの瞬間から先は絶句してしまって、声が、言葉が出なくなっちゃってね(←それがまたよかった!この試合が日テレじゃなくNHKの中継でほんとうに、ほんとうによかった

「ノーサイドの笛は・・・吹かれています!
「あっ、失礼しました。コンバージョンがまだです

五郎丸蹴る、はずす。


ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ノーサイドの笛。


喜びを爆発させるジャパンの選手たち。そしてスタンド。

 

…なんか今のうちに書いておきたくて書きました。
まだW杯は始まったばかりなんですけどね!これからのジャパンの戦いぶりに大きな期待を寄せています。

ではまた。