未来を拾いに

aikoのことしか頭にないひとのブログ

シン・ゴジラ

2016-08-08 23:21:52 | 映画

ユナイテッドシネマとしまえんのIMAXで見てきました!(・∀・)


結論から言うとちょーよかったです!傑作です!おすすめです!見るべし!
例によってここから先はネタバレなので、これから見る予定の人はここから先はみたらいけません!

ではスタート!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


もともとこの映画は見る予定はなかったのですけど、Twitterその他で見た人の評判があまりにもよいので、とっても見たくなったので見に行ってみた、という感じです。まず、監督が有名な、というか説明不要の「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野さんなんですね。で、そのテイストがけっこう色濃く出てるそうで。で、どうも話が、「日本政府vsゴジラ」であると。

わたし、そういう話すきなんですよ。例えば「沈黙の艦隊」とか、(あまり出来のよいのはないけど)邦画の自衛隊モノとか。NHK土曜ドラマ「憲法はまだか」とか。TBS日曜劇場「官僚たちの夏」みたいな。そういうアツいドラマがみられるんじゃないかって思うでしょ。

「シン・ゴジラ」は、そういう前評判で、私の中での期待値が高くなりすぎたかなぁという部分も正直若干あるのですが、おおむね上記の期待にたがわない、おもしろい、いい映画だったと思います。

いくつか思いつくままに感想を。


■「東京」人のための映画です!
やっぱりいちばんはこれですよね。まぁ、ゴジラというと東京湾から出現して上陸して東京の街をぶっ壊すっていうのが定番な映画じゃないですか。そうなんですけど、まずこれのリアリティがすごい!東京以外のひとには申し訳ないけど、「東京」に住んでいたり、「東京」に勤務地があったりしたり、とにかく毎日を東京で過ごしている人にとっては、この「シン・ゴジラ」に出てくる風景がものすごい身近に感じられるのです。要はローカルネタなわけ。これがゴジラによってボッコボコにぶっこわされて。人々がゴミのようなわけだ。見たことのある風景、街やビルがゴジラによって破壊されていくのですよ。あーあのビルがー!あの駅がーーーー!あそこの橋がーーー!っていう。出てくる場所の地名だけあげるだけでも、「あーーーーーあそこがキターーーー!」感の連続。

「東京湾アクアライン」「丸子橋」「武蔵小杉」「洋光台」「蒲田」「泉岳寺」「新橋」「虎ノ門」「霞ヶ関」「東京駅」…

ね。

これが昔のゴジラみたいにミニチュアの街ではなくて、実際の絵なわけじゃないですか。「シン・ゴジラ」はCGなので。だからものすごいリアルなんです。IMAXの迫力もすごかったですよね。

この映画、涙する場所は私にとってはなかったんですが、ある日、東京湾からゴジラがいきなり現れたら、東京の街もこんな風になるんだなぁっていう。昭和の怪獣映画だと思ってみるとどこか絵空事っておもうけど、ここまでリアルに描写されると、もしかしたら涙腺の弱いひとはここできちゃうかも。いつも乗ってる山手線や京浜東北線や京浜急行の電車も登場するよ。そこらへんのシーンもよかったんじゃないでしょうか。


■ゴジラがすごい!
ゴジラの映画を見たことがあるひとはわかると思いますが、「ゴジラ」って一応怪獣ではあるけど、別に怖くない、愛くるしいキャラにされてる時代もあるんです。他のいろんな怪獣とプロレスまがいの対決をしたりね。が、「シン・ゴジラ」のゴジラは最凶最悪の怪獣だ。人間の力など到底及ばない、めっちゃ恐ろしい、無敵無双の文字通りの「大怪獣」(作中では「怪獣」ではなく「巨大不明生物」と呼称されますが)なわけです。それも核の汚染を伴った…これがすごい。めちゃめちゃすごい。映画館のスクリーンと大音響で、その迫力には圧倒されました。


■自衛隊と日本政府がいい!
「シン・ゴジラ」は「日本の映画」です。これは絶対にアメリカのハリウッドでは作れない映画です。っていうのは、アメリカだったら、住民の避難が間に合ってないとか、そもそも自衛隊が武器を使って怪獣を攻撃することってアリなの?っていう話とか全然関係なく。「やってしまえ!」「なんなら核兵器も使ってしまえ!」ってなると思うのですが、ここは日本なわけで。怪獣に武器使用するのもいろいろと政治的な手続きがあったり、それ以前に法律とその解釈があったり、日本国民の生命と財産が最優先だったりっていうのがあるわけじゃないですか。そういう「ジレンマ」をどう描くかが、日本の自衛隊モノの映画の腕の見せ所だったりすると思うのですが、「シン・ゴジラ」もそこがおおきなみどころです。

いや、よかったよ。制服組トップの統合幕僚長の「仕事ですから」の台詞とか。最初の会敵のところで、住民の避難が遅れているところで、内閣総理大臣が「攻撃中止」を決断するところとか。そのあたりの「あるある」感がうまくて、すごくよかったとおもうよ。

そして、日本の自衛隊は、完璧に文民統制されています。そういうふうに描かれている。内閣総理大臣の決断、命令が下されれば、そのことに疑問を呈したり…例えば「攻撃のチャンスはいましかありません!」「やらせてください!」とかって意見具申したり、現場判断で指揮系統が壊れたりとか、そういうのが一切ナシで描かれています。実にその命令に忠実かつ速やかに、意見や疑問や文句は挟まずに、一糸乱れずに行動するんだこれが。

そして自衛隊の能力ですよね。まぁ、住民を巻き込まないように攻撃しなきゃいけないってんで、ピンポイントで「ゴジラの頭」とかを「目標」にするんですけど、その精度がすごいわけですよ。全部当たる。着弾のタイミングも完璧だ。空爆とかもそう。さすがは日本の自衛隊!っていうね。まぁ、ゴジラに対しては無力でかすり傷ひとつ与えることはできないんですけど、それでも、職務に忠実で優秀な仕事をするっていうところ、「日本の国と国民を守る」んだ!っていう。そこのところの、やっぱり自衛隊はカッコイイです。


■エヴァンゲリオンテイストです
ゴジラの最初の形態。ありゃあもう完全に「シト」でしたよねw
最初の登場シーンで、ゴジラかとおもったらそうでない生き物が…っていうすかしかたもよかったと思います。エヴァの例のあのフォントのテロップとか、エヴァっぽい音楽とか、「○○作戦」とか、台詞回しとかね、まぁいろいろとエヴァです。なので、エヴァが嫌いでない方にはうける映画だと思います。


■これは「日本の」「ゴジラ」です!
東宝の昭和の「ゴジラ」を敬する演出がよかったです。昔のゴジラの音楽を重要なシーンで使ったり、ゴジラの、あの伝統的な鳴き声を忠実に使ったりね。そしてこれは日本の映画なので、日本の企業の総合力でゴジラに立ち向かってるんだ!っていうのも、これは台詞とかには出てこないけど、映像の端々に出てきてたりして、それがいい。例えば住友の「3M」の防護服とか。いろいろ見たようであんまり覚えてないけど。それはエンディングのクレジットを見れば、たくさんの日本の企業の協力があって、この映画にリアリティを付加してくれたことが実感できると思います。

そして、この映画にはたくさんの「日本人たち」が出てきます。多くは無名の。

日本人は、警察や消防の指示に従って、きちんと避難をしますよね。海外の映画では、こんな怪獣が出ようもんなら街中大パニックで我先に逃げ出すシーンが描かれるところではないですか?そして、みんなゴジラにスマホを向ける、なんて描写もしないんじゃないかと(笑

有楽町あたりか池袋か新宿かわかりませんが、ビックカメラの店員さんが、ゴジラが大暴れする映像を店の映像でひとり見てるシーンがありますね。営業どころではない事態だとは思うのですが、3.11のときもそうでしたが、日本っていうのはこういうところがあると思います。電車も止まらないし、地震があってもすぐに時刻表どおりに電車が動くようになる。あれも、鉄道マンの仕事のプライドというのがあって、「電車を動かすんだ!」っていう使命感でやってるわけですよね。

深夜のオフィスで二徹三徹して、カップ麺をすすりながら打倒ゴジラのために必要な自分のミッションを遂行するっていうシーン。その脇で、フロアのゴミを片付ける業者のおじさん。このあたりの描写はほんとに日本のサラリーマンですよね。うちらも〆切や納期を死守するためにそういうことをするでしょ。それを自虐的自嘲気味にいうと「社畜」というのかも知れんが、それはかっこ悪いことなのか?っていう。海外では日本では働き過ぎたり、仕事の責任を果たそうとし過ぎて過労死していく企業戦士が奇異に映るところもあるのでしょうが、それだって伝統的な日本人の美学なのだと思うのですよ。これはあれです。「プロジェクトX」に例える向きが多いですけど、どっちかというとこれは「ガイアの夜明け」だなぁと思いました。


…ってところかなぁ。おもいつくままに書くと。他にもいろいろと「ニヤリ」とさせられるシーンがいっぱいあるのですが、まぁそれは見てからのお楽しみにしといてください。テンポもすごくよくて、よりじっくり細かくみたいシーンとかもあるので、2回目を見たくなったり、BDが出たら買いたい気分もわかるなぁ。


そうですね、いちばんいいたいのは、なんども書いたけど、これはハリウッドには絶対つくれなくて、徹頭徹尾、日本人が作った、日本人にしか感動どころがわからない(たぶん海外で上映しても、この気分は絶対に、例えばアメリカ人には絶対にわからない!)映画っていうところで、そこがすごくいいと思います。海外でも上映するならパンフに説明がいりますよ。日本というのはこういう国なんです。いろいろあるんです。「だが、それがいい」でしょ!!っていう。


つっこみどころもありますが、★をつけるとしたら

★★★★★

です!


余談ですが、この映画を見ていて、終始頭に浮かんでたのが、小松左京の「見知らぬ明日」に似てるなぁ、っていうことでした。文庫本1冊なので、読んでみてください。「シン・ゴジラ」がおもしろいと感じるならば、きっとおもしろい作品だろうと推察します。

では、また。