私にとっては人生3本指に間違いなく入る、思い入れの深い映画。アニメ映画の最高峰。
1985年日本ヘラルド映画制作。勿論、原作は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』。人間も出てきますが、登場人物のほとんどが猫です。
小学生の頃、母に連れていってもらい映画館で見ました。意味やメッセージは今でも判らないほどですから、当時の私がどれほど理解できたのかは怪しいものです。が、子供心に大変感動したのを覚えています。
その後、何度も見ていますが、見るたびに感じ方が変わります。例えば今現在見たときの感じ方と、今から10年後の私が見た感じ方は、違ったものになると思います。一生、ぼんやりとしているかも知れません。
深い深い映画です。
映画全体の雰囲気を一言で表現するなら「神秘的」です。ストーリーも、絵も、音楽も、全てが神秘的。そして、美しい。
テーマ曲がまた素晴らしいんですよ。独特の旋律で。聴くとしばらくメロディーが頭から離れなくなります。最初はシンプルですが、だんだん音が増えていきます。そして、一貫して同じメロディーの繰り返し。今でも無性にこの曲を聴きたくなることがあります。列車のゴトゴトシュポシュポ感と、幻想的に星空を滑る感じ、普通なら相反するような2つのイメージをうまく同居させ、しかもとても綺麗に表現できている、そんな不思議な曲です。
それから、絵。とにかく暗くて、静かで、綺麗な絵です。全体的なイメージは「夜」「月」「星」そんな感じでしょうか。背景は水彩画のように柔らかく、ぼんやり。暗闇の中に小さな光。かと思えば、画面全体が「ぱーっ」と明るくなったりもします。一本調子ではありません。非常にメリハリが利いていて、気がついたらその世界に引き込まれてしまっていると思います。
ストーリーは、ほぼ原作に忠実です。台詞もほぼそのままです。ですが、先に書いたような音楽と絵と独特の雰囲気が描き出す世界は、原作を読んだときに感じたのはまた別の世界です。
できれば、映画館で見たい作品ですが、大きな画面で、部屋を暗くしてみると、よりその雰囲気に入っていけるのではと思います。
自信を持ってお勧めします。未見の方は是非。