サトウさんたちの引っ越しはカトウ建設のトラックと社員の人たちが来て、あっと言う間に終わったらしい。僕が隣り町から戻ったときにはもう、カトウ建設の人たちが木の壁をはがしていた。傷をつけないようにていねいに。
2人の新居はカトウ建設さんが紹介してくれた僕の家に近い2階建てアパートの、空調と給湯設備つきの1階だ。隣りの人は小さい庭で小松菜を植えていたとアキエさんがうれしそうに報告してくれた。
僕がいない間に明るくてかわいい女の子が友達を連れてきてくれた、とアキエさんが言った。工事現場になっているなでしこを見て「つぶれてたらマジ、笑えねーし」と言いながらケーキ屋に入ってきたという女の子が木村さんなのは、アキエさんに言われなくてもわかった。
木村さんはカレシと女の友達2人を連れてきて、こだいふくを3袋と普通の大福を四つ買ってケーキやのアイスを食べながら帰ったそうだ。「オジサンによろしくね」と言って。
「木村さんは茶道部なんですよね」と僕が言ったら、アキエさんはふふふっと笑った。「元気な茶道部さんね。ハルさんと仲良くなれそう」
ハルさんと木村さんはぜんぜんちがうけど、僕も2人は仲良くなれそうな気がする。木村さんは約束を守る礼儀正しい子だから。
第6章につづく
2人の新居はカトウ建設さんが紹介してくれた僕の家に近い2階建てアパートの、空調と給湯設備つきの1階だ。隣りの人は小さい庭で小松菜を植えていたとアキエさんがうれしそうに報告してくれた。
僕がいない間に明るくてかわいい女の子が友達を連れてきてくれた、とアキエさんが言った。工事現場になっているなでしこを見て「つぶれてたらマジ、笑えねーし」と言いながらケーキ屋に入ってきたという女の子が木村さんなのは、アキエさんに言われなくてもわかった。
木村さんはカレシと女の友達2人を連れてきて、こだいふくを3袋と普通の大福を四つ買ってケーキやのアイスを食べながら帰ったそうだ。「オジサンによろしくね」と言って。
「木村さんは茶道部なんですよね」と僕が言ったら、アキエさんはふふふっと笑った。「元気な茶道部さんね。ハルさんと仲良くなれそう」
ハルさんと木村さんはぜんぜんちがうけど、僕も2人は仲良くなれそうな気がする。木村さんは約束を守る礼儀正しい子だから。
第6章につづく