「お前のことを僕は何も知らないけど、別にいいんだ。でも、命を預けている男のことを何も知らないのは不安だろ?僕の話をしてやるよ」2人を下ろしたタンクローリーが去ってしまうと、廃車の1台の後部座席に藍原を押し込んで自分は運転席に座り、田村は話し出した。
「ベンツのシートは芸術品だよ。お前を助手席に座らせてやってもいいけど、事故のせいでメチャクチャだからそこで聞いていて」
また後ろ手に粘着テープで縛って座らされた後ろの席からでも、藍原には田村がニターッと笑うのが見えた。事故という言葉が嫌でも彩菜のことを思い出させて、藍原はゾッとした。
「僕は恵まれた環境で育ったんだよ。父は祖父から継いだ食肉加工会社を、総合食品会社にした。僕は社長の御曹司として、大事に育てられたんだよ」
御曹司と言う時に、田村の顔が自慢そうに歪んだ。
「僕が将来を嘱望された頭のいい中学生だった頃、母の裏切りですべてがメチャクチャになった。この事故車みたいにね。
母は父と僕と会社を裏切った。そうなんだよ、女は裏切るんだ!」
田村は急に不機嫌になって、それからすぐに嬉しそうに笑った。
「父は母に復讐することはできなかった。でも、僕は違うよ。裏切るような女は、裏切る前に殺してやればいい。
お前はまず助からない」
「ベンツのシートは芸術品だよ。お前を助手席に座らせてやってもいいけど、事故のせいでメチャクチャだからそこで聞いていて」
また後ろ手に粘着テープで縛って座らされた後ろの席からでも、藍原には田村がニターッと笑うのが見えた。事故という言葉が嫌でも彩菜のことを思い出させて、藍原はゾッとした。
「僕は恵まれた環境で育ったんだよ。父は祖父から継いだ食肉加工会社を、総合食品会社にした。僕は社長の御曹司として、大事に育てられたんだよ」
御曹司と言う時に、田村の顔が自慢そうに歪んだ。
「僕が将来を嘱望された頭のいい中学生だった頃、母の裏切りですべてがメチャクチャになった。この事故車みたいにね。
母は父と僕と会社を裏切った。そうなんだよ、女は裏切るんだ!」
田村は急に不機嫌になって、それからすぐに嬉しそうに笑った。
「父は母に復讐することはできなかった。でも、僕は違うよ。裏切るような女は、裏切る前に殺してやればいい。
お前はまず助からない」
田村は黒木隊長が使っている衛星監視システムを欺いてサービスエリアで逃走車から別のタンクローリーに乗り換えるなんて、悪知恵働きすぎです。
でも、さやかさん、田村に負けないで健気に対抗しているみたいだし、一回分だって目が離せません。
さやかさん、前回5話の続きだから誕生日当日に田村に拉致されたことになります。こんな可哀相な話にしないでと、高橋浩治さんにお願いしたいくらいです。
でも、私の言う通りにしたら物語メチャクチャになってしまいます。やっぱり私の言うことなんて聞かないで。
私はこんな矛盾した気持ちに引き裂かれながら、毎回読ませていただいております。
それと同時にもう一度、全国の田村さんにお詫びします。