On The Road

小説『On The Road』と、作者と、読者のページです。はじめての方は、「小説の先頭へGO!」からどうぞ。

かえるの王さま または鉄のハインリッヒ その3

2010-02-16 23:03:30 | 小説の舞台
朝になると、8頭の馬に引かれ、飾り付けられた馬車がやってきた。忠実なしもべハインリッヒが乗っていた。ハインリッヒは王子がかつてかえるの姿に変えられてしまったのを悲しんで、その悲しみのあまり心臓がはりさけないように胸の回りに三本の鉄のたがを巻かねばならぬほどだった。
王子はお姫さまといっしょに馬車に乗った。ハインリッヒは後ろに立った。そうして、いっしょに王子の国に向かった。途中、ハインリッヒの胸のたがが三度はじける音がした。それは王子が魔法から救われ、お姫さまと幸せになったので、ハインリッヒの悲しみが解けた音だった。

備考:「初版グリム童話集1」吉原高志、吉原素子:訳、白水社:出版
同書を参考にした要約です。

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かえるの王さま または鉄のハインリッヒ その2

2010-02-16 23:03:20 | 小説の舞台
次の日、お姫さまが食事についていると、「お姫さま、戸を開けてください」と、大きな声がした。お姫さまが戸を開けると、そこにはすっかり忘れていたかえるがいた。驚いて、戸を閉めてしまう。
食事の席にもどったお姫さまの様子がおかしいと思った王さは理由を聞いた。そこでお姫さまは「昨日、かえるに金のまりを泉から取って来てくれたら、何でも言うことを聞くと約束したが、そのかえるが外にいて、中に入れてくれというの」と話した。
王さまが言った。「約束したことは守らなくてはならない。さあ、かえるを中に入れなさい」。
お姫さまは王さまに従った。戸を開けると、かえるがお姫さまの後についてきて、「あなたの隣に座らせてください」と言った。お姫さまはいやだったが、王さまはそうするように命じた。かえるは上にあがると、「それでは、あなたの金の皿から、あなたといっしょに食べさせてください」。お姫さまは従わなくてはならなかった。
かえるはお腹いっぱい食べると、「くたびれました。あなたの部屋のベッドでいっしょに休みましょう」。お姫さまはそれを聞いて驚いた。冷たいかえるに触るのだっていやだったお姫さまは泣き出して、どうしてもいやだと言った。すると、王さまは怒って、約束したことは守るように命じた。お姫さまは命令に従わなくてはならなかった。しかし、心の中では腹を立てていた。かえるを自分の部屋まで連れて上がり、ベッドに入った。そして、かえるを隣に寝かせる代わりに、ビチャっと壁に投げ付けた。「これで静かになった。いやらしいかえる!」
かえるは、壁からベッドに落ちると、美しい若い王子になっていた。王子は今や、お姫さまのお気に入りで、お姫さまは約束したとおり、王子を大切にした。そして、ふたりは喜んでいっしょにベッドで横になった。

つづく

かえるの王さま または鉄のハインリッヒ その1

2010-02-16 23:03:10 | 小説の舞台
昔、ひとりのお姫さまがいた。お姫さまはある日森の中の泉のほとりにすわって、金のまりで遊んでいた。ところが、上に投げたまりを受け損ね、泉の中に落としてしまう。
お姫さま「ああ、金のまりを取り戻せるなら、なんでもあげる」と泣き叫んだ。
それを聞き付けて一匹のかえるが水の中から頭を突き出して「そのまりを取ってきたら、何でもくれるのか?」と聞いた。
お姫さま「気味の悪いかえるね。お前に何ができるというの?」
かえる「水の中に潜ってあなたの金のまりを取ってきます。そうしたら、私の友だちになってくれませんか。あなたの食事のテーブルにあげて、あなたの金の皿から食事を食べさせてください。そして、あなたのベッドにあなたと一緒に寝かせてください」
お姫さまはかえるが水から上がれないだろうし、試しにやらせてみようと思ったので、「それなら、やってごらん。金のまりを取って来たら望みを叶えよう」と言った。
かえるは水に潜り、戻ってきた。金のまりをくわえ、それをポンと岸辺に放った。
お姫さまは、急いでまりを取ると、かえるを置き去りにして、城に帰ってしまった。

つづく

かえるとお姫さま

2010-02-16 23:03:00 | 小説の舞台
原典は「グルム童話集」の「かえるの王さま または鉄のハインリッヒ」。要約は、こちら。

あずさは九十九里へのドライブの時にコージが着ていた緑色のシャツからコージを「かえるさん」と呼ぶ。ふたりは海岸で抱擁し、海辺のレストランで美味しい食事も食べ、そろそろ帰る時刻になる。コージは自分をお姫さま(あずさ)を王子の所に連れていく騎士になぞらえ「自分が王子になるには、もっと経験値を積まないと」と言う。それに対して、あずさは「コージ君が王子さまになるには、かえるの様に壁に投げ付けられるとか」と提案する。
いよいよデートの終盤、かつて高校時代の夏に花火見物をした創造の杜で、ふたりは別れの口付けをかわす。コージは、次に出掛ける時は二人でキス以上のことをしたいと、言いかける。あずさは「お姫さまがかえるを壁に投げ付けたのは、かえるがお姫さまと同じベッドに入りたい(つまり、セックスしたい)と言ったからだとよ」と、紹介する。
先にかえる(コージ)を壁に投げて王子さまにしようかと提案していたあずさは、王子さま(コージ)といっしょにキス以上のことをしてもいいと、承諾したのだった。

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LET IT BE

2010-02-16 23:02:30 | 小説の舞台
John Lennon and Paul McCartney

(Sec#1)
When I find myself in times of trouble
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

(Sec#2)
And in my hour of darkness
She is standing right in front of me
Speaking words of wisdom
Let it be

(Sec#3)
Let it be,let it be
Let it be,let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

(Sec#4)
And when the broken-hearted people
Living in the world agree
There will be an answer
Let it be

(Sec#5)
For though they may be parted
There is still a chance that they will see
There will be an answer
Let it be

(Sec#6)
Let it be,let it be
Let it be,let it be
There will be an answer
Let it be

(Sec#7)
Let it be,let it be
Let it be,let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

(Sec#8)
And when the night is cloudy
There is still a light that shine on me
Shine until tomorrow
Let it be

(Sec#9)
I wake up to the sound of music
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

(Sec#10)
Let it be,let it be
Let it be,let it be
There will be an answer
Let it be

(Sec#11)
Let it be,let it be
Let it be,let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

「ビートルズ全詩集(改訳版)」
内田久美子:訳
ソニー・ミュージックパブリッシング:出版
P.400-403 引用
訳詩は、こちら。
動画は、こちら。

全11段落を引用した。
LET IT BEの訳詩を読むとLet it beは聖母マリアが告げる知恵ある言葉であり、苦難の時、無理に状況を変えようとしないで、「あるがままに」状況を堪え忍ぼうと言っている。そして離ればなれになった人にも再会できることもあるだろうと、希望を語っている。
一方、「On The Road」は劣等感を克服しながら、成長して行く青年の物語である。コージは両親がリビングでかけていたビートルズのCDでこの曲のフレーズLet it beをレリビーと聞き覚え、いつしか自らを鼓舞するおまじないとして繰り返している。詩の内容を理解すると、コージのおまじないとして繰り返す行為も、いったん別れた初恋の人あずさと再会するのも、正しく詩の内容とマッチしていることかわかる。


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