敬語は無いけど... マレーシア

マレーシアの人は近くの他人と自分の相対位置をいつも気にして生きている。日本人もその傾向が強いけれど、マレーシア人はその数倍気にしているように感じる。

ある日突然自分の給料はあそこの誰々と同じとか違うとか言い出す事がある。日本人だと隠していてなかなか他人のそれと比べる事は少ないけれど、マレーシア的にはその点において秘密ってのは無いらしい。給料明細の表にはちゃんとプライベートコンフィデンシャルって書いてあるのだけれど、必要なのか？

給料とともに大事らしいのがポジション。会社的にこのポジションはこのレベルと言うのがあって、部署が違って全く別の事をやっていてもあなたはこのレベルの給料と決まってしまっているので自分だけ上げてと言うのは多くの人が諦めている節がある。が、面白い事に、給料そのままで良いからポジションだけ上げてと言う人もけっこう多い。

1つには転職した時に有利と言う事もあるけれど、それで必ずしも転職するわけではないらしい。どっちかと言うと、見栄みたいな事のようだ。他人と比べて自分のが上とかそう言う事。これはかなり強い欲求だ。直接的には自分は下の誰に命令できるとか自然に思うらしく、ちょっとすると命令なんかし始めるのを見る。

周りからも面白い反応がある事がある。ポジションが上になったのに同じ仕事をさせていると、同じポジションの者から上がったのにまだそんな事やってるのか！みたいに言われるそうだ。

何だか縦糸と横糸を張り巡らせた蜘蛛の巣に捕まったみたいで不自由だな。


先日、あるサプライヤーの人が来てミーティングに参加した。その時にサプライヤーの人が自分の敬称を何とかと言ったらしい。よく聞き取れなかった。それがどうも他の人と比べて下になるものだったらしく、別の人が慌ててそうじゃない、そうじゃないとか言った。自分は服が汚れるのを警戒して作業服を着るようにしているからかも知れない。

まあ、それにしても、こっちにはそんな事どうでも良いのに周りがそんな事で気を回したり慌てたりするのがおかしかった。


日本の人はマレーシアは日本のように堅苦しくなくて楽だと言うけれどど、彼らの中では全くそうじゃないらしいし、もしかしたら日本以上に上下左右の人間関係がキツいのかも知れない。敬語は無いまでも、いろいろあるんだろう。