日本が誇る同義主義「八紘為宇」 (第五十八回建国奉祝式典の資料より)
平成27年2月11日 浦和県民共済 6F
明治の初期、日本では、外交をめぐって国家運営の基本的思想の対決があった。欧米と同じように合理主義的立場から国勢の進展を主張する大久保らと、東洋的道義主義を貫こうとする西郷らの対立である。結果は、大久保ら西洋合理主義を主張する側が勝利し政権を独占するに至った。それは必然的に大東亜戦争へと行き着くこととなる。
他方、西郷の東洋道義思想を継承する頭山満等は、アジアの同胞に「大アジア主義」を呼びかけ民族自決(被殖民状態からの独立)を支援する在野での活動を展開した。主権や領土を振りかざす外交姿勢ではなく、自立した民族が相互に敬意を持って共栄共存する外交姿勢を主張し実行したのである。
このような西郷、頭山らの思想的継承者としての立場からすれば、現状の主権と領土問題は、重要政策課題ではあるが、いかに解決するかについては大いに議論があってしかるべき課題であるといえる。
一方、『建国記念の日』に関していえば、国民が日本の起源(アイデンティティー)を確認する日である。神武建国の理念、天の下を一つの家と為す「八紘為宇」に立ち返り、国家の現状を顧みる極めて重要な意義を有する日なのだ。現代では「おもてなし」や「心遣い」とか「絆」とかいわれているものも、「八紘為宇」の一端で、日本が世界に誇る生きた東洋的道義主義である。
この観点からは、安倍首相が唱える「積極的平和主義」もまた、神武天皇が即位の詔で下した「皇孫の正を養ひたまえふ心を弘めむ」の実践でなくてはならない。すなわち、私たち日本国民は、大御心(おおみごころ)と一体となって、建国の理想である「八紘為宇」を日々実践し、国内のみならず、すすんで世界の人々とも力を合わせ「八紘為宇」の理想を広く世界に及ぼし、人々が家族のように暮らす、よりよい世界を創ることに貢献するということだ。
戦後の日本は米国の手で生まれ変わったと歓迎している人たちにとって「建国記念の日」を政府主催で執り行うということは、決して認めることはできないだろう。しかし、そこを変えなくては、本当に、日本国の起源が米占領下の憲法公布日となってしまう。
また、憲法改正も、神武建国の理念を源としないのであれば、現憲法体制の強化につながるおそれがある。
私たち伝統を重んじる日本国民は、記紀に記された日本神話を起源として、我々の祖先が、世々の歴史を通じ尊いものとして伝えてきた美徳を、正しく理解し、それを国の内外において実践し、また、末永く子孫へと伝えていきたいと思う。
この伝統の美徳は、いつの世も、天津日継高座(あまつひつぎのたかみくら)におわします皇孫たる天皇陛下が国民にお示しになってきたもので、日本の歴史を築いてきた我々祖先の遺風の中に伝統文化慣習として生きているものである。
「建国記念の日」を祝うに当たり、私たち日本国民は、神武建国以来の美徳の継承者たることを自覚し、天皇陛下と共にそれぞれの立場で「八紘為宇」を実践し、心を一つにして国家と世界の発展に力を尽くしたいと願う。(あ)
明治神宮至誠館館長・荒谷 卓氏 述
「『建国記念の日』を祝う政府主催記念式典の行方」より抜粋
平成27年2月11日 埼玉会場にて資料を頂く
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