横浜中央市場 水産物部仲卸 村松です。
魚の熟成について説明しています。
(2)熟成とK値②
前回で、分解される速度は魚種によって異なるが、イノシン(HxR)までの経路は一定であると書いた。
図を使って説明したい。
魚は〆てから以下のように変化する。
アデノシン三リン酸(ATP)は、全てのエネルギーの元であり、ATPの消滅は完全な死を意味する。
魚は死後、体内酵素の働きによりATPがADPに分解変化し、更にAMPへ分解変化して、ATPが完全になくなり完全な死を迎えて死後硬直の状態となる。
そして、さらにイノシン酸であるIMPへと分解変化するのである。この段階でグルタミン酸を足すと味はさらに増すが、勘違いしてはいけない。
AMPからIMPの段階が熟成ではない。ここを間違えてはいけない。
ここまでは核酸系の旨味成分であり、本来の熟成は次の段階である。HxRとなって、一旦無味になってから、これ以降の段階でたんぱく質が様々なアミノ酸に変化し、味が多様化する。
いわゆるアミノ酸系の旨味成分に代わることが本来の熟成である。そしてHxRがHxという臭み成分に変わっていくと腐敗になる。
ちなみにヒラメやタイは、IMPがずーっと残っている(一週間はある)。したがって、Hxに変化しずらいので味が長く持ち、これが「腐ってもタイ」という語源である。タラに関しては2日後には無くなっている。
IMPからHxRに代わる線を日本では鮮度とされているが、外国人の鮮度の感覚は、Hx=腐敗が鮮度の最終線であり、腐敗して食べられなくなるまでが鮮度という認識である。
これが日本のお店の売場にならぶ鮮魚と、外国のお店の売場にならぶ鮮魚の違いになっている。
そうなんだょ、日本人は鼻つまんでさかな食わないからなぁ・・・。
次回はもうちょっと深めます。
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