2章 旨味
牛肉等と同じで、魚も熟成しないと本来の旨味は出てこない。魚というのは生きたままでは味がない。死後硬直をして旨味成分であるイノシン酸に分解されて初めて旨味がでてくる。
鮮度を保つということと、旨味は根本的に違う。
獲ってからすぐに、何でもかんでも血抜きするという手法が必ずしも良いとはいえない。魚のプロであれば、身質の変化に注目し、素材の良さを活かすということを重視して欲しい。
(1)旨味成分
旨味は、今から約100年前に日本人が発見したとされている。旨味は風味を増加させ、食欲をかきたてる働きもある。
味の基本要素のうち、甘味・酸味・塩味・苦味の4つは、古来から認識されていた。甘味の砂糖、酸味の酢、紀元前から馴染みのある塩、そして、危険な味の苦味。
1908年にこの4つのどれにも該当しない味として、東京帝国大学(現東京大学)の池田菊苗氏が、日本人が出汁をとるのに使っていた昆布からグルタミン酸を抽出して旨味と命名。
次いで1913年に、弟子の小玉新太郎氏がかつお節からイノシン酸を発見、さらに1957年に國中明氏(ヤマサ醤油研究所勤務)がグアニン酸(グアニル酸)を発見して、旨味成分の3つの要素が確立された。
そして、1985年に第1回うま味国際シンポジウムで世界に発信され、世界中の料理に係る人々の共通用語として英語で「umami」と表記されるようにまでなった。
出典:日本うま味調味料協会
以下、グルタミン酸から少しずつ説明を追加します。
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