去年の春のことです。
法隆寺に行った帰りに奈良町に寄りました。
この日は朝からどんよりとした天気で、午前中はそれほど雨も降らずに何とか拝観を済ませたのですが、
奈良町を歩いているうちにぽつぽつと雨が降り出し、午後3時を過ぎると本格的に降り出しました。
連れは紅屋さんを見たいというので外で待っていたのですが、
気温もだんだん下がってきて、4月というのに白い息が出るくらい冷え込んできました。
私はといえば、思い切り春向きのの軽装で出かけてきたものですからたまりません。
どうにも寒くて我慢できず、連れに「駄目だ寒くて、1度駅のほうに戻ろう。」といいながら歩き始めました。
途中、ならまち情報館という所で中に入って寒さをしのぎました。
予定ではこのすぐ近くの元興寺を拝観する予定だったのですが、それどころではありません。
夕方5時から、もちいどの商店街の外れにある「とうへんぼく」というおでん屋さんを予約していたのですが、
時間までにはまだ一時間以上あります。
仕方が無いので、もちいどの商店街に行って何か着るものを探すことにしました。
もう体は冷え切って震えまできています。
「うーう・・」寒さをこらえながら商店街に入り、洋服屋さんを必死で探しました。
奈良駅に近いところまでくると、割と若者向けのジーンズとか売っている店をようやく見つけました。
中に入って物色していると、店員さんが出てきて「何をお探しですか?」と聞かれたので、「何でもいいから安くて暖かいものを・・」というと、
奥のほうへ消えたかと思ったらフリースを抱えて戻ってきました。
「これはアメリカ製ですが、暖かいですょ。」と言って、大き目で、緑地に紫の縁のある奈良らしい雅な?フリースを差し出しました。
着てみるとかなり大きくてだぶだぶでしたが、暖かくて、もうこれでいいと思いました。
「いくら?」と聞くと、「2300円ですが2000円でいいです。」と言ったので、即購入しました。
フリースの上に今まで来ていたジャケットを着ると、やっと暖かくなり、気分も落ち着きました。
もちいどの商店街はアーケードになっていますが、雨もいっそう激しくなり、アーケードの屋根がドドドと激しく音を立てています。
「全くひどい天気になったもんだ。」と、商店街を行ったりきたりしてお店を見て回りました。
しかしながらおでん屋さんの予約時間の5時までにはまだ30分以上もあり、商店街を2回も3回も行ったりきたりしていました。
しまいに連れも、「もう疲れたよ。早いけど店に入らしてもらおうよ。」と言うので、それもそうだと、お店に入り、
「すみません。5時に予約した・・・ですけど、もう入って良いですか?」と聞くと、
「ああどうぞ。」と快く入れてくれました。
掘りごたつのある個室に入って寒そうにしていると、アンカをもってきてくれました。
早速おでんと熱燗と、他に2、3品注文しました。
おでんは私たち関東の人間には少し薄味でしたが、だしがよく効いており、何よりも熱々がこの時は最高のご馳走でした。
おでん屋さんを出る頃には体も温まり、いい気分で帰路に着くことができました。
つづく
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