伊豆大島ジオパーク研究会 ブログ

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第8回日本ジオパーク全国大会2017男鹿半島・大潟大会 参加報告

2017年11月02日 23時02分53秒 | 日記
第8回日本ジオパーク全国大会2017男鹿半島・大潟大会 参加報告
 10月25日から26日にかけて秋田県の男鹿半島周辺で開催された日本ジオパーク全国大会に行ってきました.全体会・交流会・分科会(+ホテル)の各会場がそれぞれ13kmから19km程度離れており会場間の移動は全てバスだったので企画段階ではさぞご苦労したと思われます.


 会場の位置関係

 初日,全体会では800名ほどの参加者が一堂に会しセレモニー・講演等が行われました.総合司会が女子高校生であったこと.ポスターセッション会場で,浜松大平台高校の女子生徒のジオ菓子配布.佐渡市立新穂小学校の女子児童4人によるポスター発表,アポイGPの生徒たち(立寄り時不在)等々,公務員と定年後ガイドになった方が目立つ中で児童・生徒の姿があちこちで見られたことが新鮮で印象的でした.
夕刻の交流会では見ず知らずの方たちと同一のテーブルを囲みながらもジオのキーワードで楽しく歓談.ガイドが多いのでみなさん基本的にお話好きです.アポイ岳GPの小林弥生さんとも久しぶりにお話ができました.小林さんはアポイ岳ファンクラブの事務局長の立場で活躍されています.都立大島高校の一級先輩にあたる43年来の知己で以前から4500名足らずの一自治体(様似町)で世界GPを維持することの御苦労や後継者不足の問題等についてお話を伺っていました.今回はことしNHKのアポイ岳紹介番組に出演され折の裏話や,後継者育成を狙って本大会に地元の中学生を連れてきた事等のお話をしてくださいました.


 アポイ岳GPの小林さん(大島出身)

 二日目の分科会では10会合のなかから「ガイド技術を考える」に参加しました.
一つ目のテーマはブラタモリで案内役をしたGP関係者たちの裏話やガイドとして役立つ気付きの披露でした.毎回100本近い面白ネタ取材をしたのち95本をそぎ落とすことで番組が構成されていることや要点をどんどん説明してしまうのではなく,タモリさん自身に気付かせる伏線を張ったり間をおくことの大切さが語られました.また,タモリさんに寄り添う女子アナは素人代表なので,話のわかる人(タモリ)だけに説明していると対象について明るくない人はつまらないという指摘もありました.これらは全て日頃のガイド活動に当てはまることで披露する機会は少なくても話の引き出しを多く持つことの大事さ.こちらの伝えたいことを滔々と話し続けることや,理解しやすそうなゲストとだけ会話ををすることを避けるべき理由が得心できるお話でした.


 テーマ名 なぜ「ブラタモリ」は面白い?

二つ目のテーマは大島のガイド講習にもおいで頂いた古瀬浩史氏(帝京科学大学)のインタープリテーションの解説でした.講義を聞いてインタープリテーションの肝となるのは(たぶん)「ゲストに知識や情報を与えるというよりは,興味を刺激し啓発する」ということだと感じました.「テーマとトピックは異なる」や「テーマにはメッセージやストーリーが必須」という定義を意識してガイドを実践するのはかなり難易度の高い技術だと感じましたが逆に目指すべきところを示された気持がしました.班別発表では指名されないのに手の挙がるチームが続出し,さすが「伝える」こと大好きなガイド主体の会合と感じました.


   第4分科会「 ガイド技術を考える」

 午後から翌日にかけてのジオツアーでは男鹿半島に残る噴火の足跡である男鹿目潟火山群を中心に見学しました.現在111ある日本の活火山は定義がおおむね1万年以内に噴火したものなので,太古に噴火した男鹿半島の火口群は現在は活火山にカウントされていません.一ノ目潟は6万~8万年前に波浮と同じ水蒸気爆発によってできたマール(爆裂火口)ですが直径600mほどもあり水面積は波浮港の4倍以上あります.それぞれが形成年代の異なる巨大な火山群をもつ男鹿半島が2千万年前にユーラシア大陸から分離した付加体の一部であること.ここが日本列島もまた付加体であることを示す実物標本であることを目前の風景とガイドの方たちの解説で理解することができました.


 一ノ目潟 (直径約600m)


 二ノ目潟 (直径約400m)

来年の全国大会は小林さんのいるアポイ岳GPとのことです.えりも岬の先端付近にある人口4500人ほどの町が1000名近い参加者の大会を開催する御苦労は想像を絶するものがあるはずですが成功に向けがんばってほしいと思います.

ジオ研事務局(田附)