伊豆大島ジオパーク研究会 ブログ

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『2023年 第13回日本ジオパーク全国大会in関東』 参加報告(前編)

2023年11月04日 10時54分41秒 | 日記

『2023年 第13回日本ジオパーク全国大会in関東』

 今大会は銚子ジオパークと秩父ジオパークの二か所および

リモート参加を利用した分散形式で開催されました.私はジオ

ツアーの希望エリアに沿って秩父会場に参加しました.

(以下ジオパークをGPと略記します)

 

秩父会場参加プログラム 

10/26-10/27 プレジオツアー

10/27 特別座談会 「ジオパーク秩父と私」林家たい平 他2

10/28 開会式  (一部オンライン)

10/28 基調講演 「チバニアアンと地質遺産」 (オンライン聴講)

10/28 基調提言 「ジオパークは誰のためのもの?」 (オンライン聴講)

10/28 分科会⑪『ジオ・エコ・ヒト―なぜジオパークで生態学?』

10/28 交流会

 

 これ以外にもポスター発表と10/29の小中高生の部をはじめと

した各種口頭発表が設定されていましたが,日程の都合がつか

ず参加できませんでした.

 

10/26-10/27 プレジオツアー

 秩父側のプレジオツアーは二つのプログラムが設定されまし

たが 『バスで巡る日本地質学発祥の地ツアー』を選択しました.

 最初に訪れたジオサイトは札所28番橋立堂という武甲山の西

端岩壁の麓に建つお堂でした.

二億年の昔,海洋プレート上で活動を停止した火山島の上に

生じたサンゴ礁が石灰岩に変じ,いったんプレート境界で付加

体となったのちに,その後方から沈み込んできた海嶺等で地殻

上まで押し上げられた山体が秩父のシンボルである武甲山です.

(なぜ持ち上がったのかガイドさんの説明はありませんでした.

海嶺による押し上げは推測です)

ここでは当時の火山島の名残りの玄武岩溶岩の露頭と,その

上に形成された石灰岩の山体の両方が見られます.堂の左側

には見学コースだけでも30mを超える落差の縦長構造の鍾乳

洞があり,石灰岩の山体を内部から体感できました.その後も

長瀞・秩父付近がかつて地底・海底であった事を示す多くの

イントや大型哺乳類の化石が発見された1500万年前の堆積

層を見学し,この地が「日本地質学発祥の地」と呼ばれる場所

であることを得心しました.

[秩父のシンボル武甲山]

 

 

[橋立堂]

 

 

[堂の裏にある玄武岩の露頭と表面の石灰岩]

 

秩父GPは日本列島がユーラシア大陸から分離し始めた2

万年前をはるかにさかのぼる2億年前から6500万年前にかけ

ての地層が各所に露出してしています.ここは関東山地の南

東部にあたります.糸魚川GPの解説パネルの表現を借りれば,

関東山地は日本列島が大陸より分離し,南西部と北東部に割

れた際にフォッサマグナ内に生じた「かけら」とされていますが,

武甲山一帯は海洋プレート上の山体がプレート境界に達した

後に,なんらかの原因で浮き上がって来た物とされていますの

で,もともとは大陸由来の陸地ではありません.加えて付近には

マントル内のカンラン岩から生じた蛇紋岩まで存在しているので,

列島創生の物語は単純ではなく,多彩な現象が含まれることが

想像されます.

[カニ・貝の化石を含む「ようばけ」 この地が海底であったことを示す]

 

[法性寺のタフォニ風化跡 岩盤表面からの水分蒸発に伴う. 塩類による風化跡]

 

[長瀞 この地が高圧力状態の地底にあった事を示す景観]

 

後編に続く

 


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