『2023年 第13回日本ジオパーク全国大会in関東』
今大会は銚子ジオパークと秩父ジオパークの二か所および
リモート参加を利用した分散形式で開催されました.私はジオ
ツアーの希望エリアに沿って秩父会場に参加しました.
(以下ジオパークをGPと略記します)
秩父会場参加プログラム
10/26-10/27 プレジオツアー
10/27 特別座談会 「ジオパーク秩父と私」林家たい平 他2名
10/28 開会式 (一部オンライン)
10/28 基調講演 「チバニアアンと地質遺産」 (オンライン聴講)
10/28 基調提言 「ジオパークは誰のためのもの?」 (オンライン聴講)
10/28 分科会⑪『ジオ・エコ・ヒト―なぜジオパークで生態学?』
10/28 交流会
これ以外にもポスター発表と10/29の小中高生の部をはじめと
した各種口頭発表が設定されていましたが,日程の都合がつか
ず参加できませんでした.
〇10/26-10/27 プレジオツアー
秩父側のプレジオツアーは二つのプログラムが設定されまし
たが 『バスで巡る日本地質学発祥の地ツアー』を選択しました.
最初に訪れたジオサイトは札所28番橋立堂という武甲山の西
端岩壁の麓に建つお堂でした.
二億年の昔,海洋プレート上で活動を停止した火山島の上に
生じたサンゴ礁が石灰岩に変じ,いったんプレート境界で付加
体となったのちに,その後方から沈み込んできた海嶺等で地殻
上まで押し上げられた山体が秩父のシンボルである武甲山です.
(なぜ持ち上がったのかガイドさんの説明はありませんでした.
海嶺による押し上げは推測です)
ここでは当時の火山島の名残りの玄武岩溶岩の露頭と,その
上に形成された石灰岩の山体の両方が見られます.堂の左側
には見学コースだけでも30mを超える落差の縦長構造の鍾乳
洞があり,石灰岩の山体を内部から体感できました.その後も
長瀞・秩父付近がかつて地底・海底であった事を示す多くの
ポイントや大型哺乳類の化石が発見された1500万年前の堆積
層を見学し,この地が「日本地質学発祥の地」と呼ばれる場所
であることを得心しました.
[秩父のシンボル武甲山]
[橋立堂]
[堂の裏にある玄武岩の露頭と表面の石灰岩]
秩父GPは日本列島がユーラシア大陸から分離し始めた2千
万年前をはるかにさかのぼる2億年前から6500万年前にかけ
ての地層が各所に露出してしています.ここは関東山地の南
東部にあたります.糸魚川GPの解説パネルの表現を借りれば,
関東山地は日本列島が大陸より分離し,南西部と北東部に割
れた際にフォッサマグナ内に生じた「かけら」とされていますが,
武甲山一帯は海洋プレート上の山体がプレート境界に達した
後に,なんらかの原因で浮き上がって来た物とされていますの
で,もともとは大陸由来の陸地ではありません.加えて付近には
マントル内のカンラン岩から生じた蛇紋岩まで存在しているので,
列島創生の物語は単純ではなく,多彩な現象が含まれることが
想像されます.
[カニ・貝の化石を含む「ようばけ」 この地が海底であったことを示す]
[法性寺のタフォニ風化跡 岩盤表面からの水分蒸発に伴う. 塩類による風化跡]
[長瀞 この地が高圧力状態の地底にあった事を示す景観]
後編に続く