平光 真彌(真弥)

長久手市を中心に活動するヴァイオリン弾き、平光真彌(真弥)
演奏活動の告知など

おじいさん

2011年06月08日 23時55分30秒 | Weblog

この月曜日、平光は震災を受けて緊急来日したギトリスのチャリティー演奏会に行ってきました。
演奏会そのものは、去年末の公演があまりにも充実していたので、それ並の「ギトリスのリサイタル」というものを期待してしまうと少し肩すかしを喰らったようでしたが、
あのすばらしくチャーミングなおじいさんのお元気な姿を確かめて、音楽を楽しむということをできて、
嗚呼、よかったね、と話しました。(うたは行けませんでした・・)

今回、彼は被災地も訪問したそうですね。
20世紀の激動を音楽と共に生きたギトリスにとって、命や財産や、当たり前の生活を不当に失ってしまった人たちの傍に寄り添いに行くというのは、極めて自然なことなのでしょう。
フランスからわざわざ岩手に、88のおじいさんが行くなんて、
健康のことやコーディネートのことだけ考えても
「受け入れの負担になる」「迷惑だろう」と躊躇してしまいそうなものですが、
きっと彼にとっては当たり前のことで、
自身の音楽が、被災地の人にとってプラスになるものに違いないということを
自然に、深く信じて微塵も疑っていないのだろうと思います。

自分が一人の人間として在って、自分が持つものを当たり前に信じて、
それを自分以外の人に分けるのが当然だとする姿は、
そうありたいと望んでもなかなか到達できない仙境にあって、
思わず手を合わせたくなります。
あの高齢で、それを実際に行って見せるのだから、なおさらです。

音楽家が社会の中でどう生きるのか、なぜ音楽があるのか。
音楽家は、だから音楽家なんだよ
と、「最後の巨匠」にその一部を教えられた気がします。

コメント
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