昔々、ある街に「皆さん良い人ばかりですから」という言葉が口癖の老人が住んでいました。
彼は日々、人々が抱える悩みを聞いたり、助言をしたりして周囲の人たちに寄り添う存在でした。
街の人々は彼を「心の支え」「良議者」と称え、その言葉には不思議な力があるように感じていました。
ある日、その街に突然、暗雲が立ち込めました。
長く続いた干ばつが続き、農作物は枯れ、水不足で人々は苦しむようになっていました。
不作の原因は不明で、心配と不安が広がりました。
そんな中、老人は最後の一滴まで分け与えていた井戸水も枯れ果て、自らも飢えに苦しむようになりました。
しかし、老人は決して心を折らず、街の人々に笑顔を見せ続けました。
「皆さん良い人ばかりですから」と、老人は語りました。
突然、街に現れた旅の商人が、不作の原因を魔物の呪いだと告げました。
彼は「魔物を鎮める秘法を知っているが、材料が必要だ」と言いました。
「皆さん良い人ばかりですから」と老人が言葉を重ねると、「その言葉こそが必要な材料だ」と商人は驚きの表情を浮かべました。
商人は老人に導かれ、街の人々に「皆さん良い人ばかりですから」という言葉を集めることにしました。
人々は自分たちの心の中からそれを引き出し、集めた言葉を商人に手渡しました。
驚くべきことに、その力ある言葉が魔物を鎮める力を秘めていたのです。
商人は集めた言葉を用い、魔物と対峙しました。
長い戦いの末、魔物は消え去り、暗雲も晴れました。
街は再び明るさを取り戻し、井戸の水源も溢れるようになりました。
老人は喜びに満ちた表情で言いました。
「皆さん良い人ばかりですから」
その言葉が、人々の心に希望と力をもたらしたのです。
以来、街の人々は困難に立ち向かう際に、互いに「皆さん良い人ばかりですから」と声をかけ合うようになりました。
その言葉こそが、絆を深め、困難を共に乗り越える力となったのでした。
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