遠い昔、ある小さな村に花の魔法が宿ると言われる美しい庭園がありました。
その庭園には季節ごとに異なる種類の花が植えられ、その美しさは村人たちのあこがれでした。
ある日、村の大工である老人が庭園の主である庭師に助けを求めにやってきました。
老人は「私の家の庭にも少しだけ花の魔法が欲しいのです。しかし、私の家には穴があり、庭に土を植えるスペースがありません」と悩んでいました。
庭師は老人が収入に困っていることを知り、思案しました。
庭師は老人に「花を植えるためには土やスペースは必要ありません。心の奥に花の種を植え、愛と希望を注ぎ込むことが大切なのですよ。あなたの心の庭を大切に育てることが、花の魔法を引き寄せる秘訣なのです」と教えました。
その日から、老人は毎日のように自分の心の庭に思いやりや感謝の種を植え続けました。
穴がある家を気にすることなく、心の中には美しい花畑が広がっていたのです。
そして驚くべきことに、庭師の教え通り、その花畑からは花の魔法が満ち溢れ、老人の家にも幸せと豊かさが訪れるのでした。
一方、庭師の庭園では風の噂で、その花園が村一番の美しさを誇ることが広まっていました。
村人たちは庭師が庭園に込めた魔法の力に魅了され、その美しさを目にするたびに感動を覚えていました。
ある晩、老人が庭師を訪ねると、庭師は老人に微笑みかけました。
「あなたの心の庭にも美しい花畑が広がっていますよね」と問う庭師に、老人は頷きました。庭師は続けて言いました。
「しかし、あなたの庭にはまだ1つ植えていない花があります。それは『信念』という花です。あなたの心に強い信念を植えつけることで、さらなる奇跡や幸運が訪れるでしょう」
老人はその言葉を受け止め、自らの心の中に『信念』の花を植え付けることを決意しました。
勇気と希望、そして確固たる信念を胸に、老人は毎日を前向きに過ごしました。
数ヶ月後、老人の家は再びにぎやかさを取り戻しました。
庭には美しい花畑が咲き誇り、老人の心の庭には希望と豊かさが溢れていました。
庭師の教えと信念を胸に、老人は再び自身の力で生活を立て直し、村に幸せをもたらす存在となったのです。
この譬え話『花と穴』は、現実と理想の間にある困難を乗り越え、心の庭で奇跡を芽生えさせることの大切さを伝えています。
信念と希望を失わず、愛を注ぎ続けることで、誰もが幸せを掴むことができるという教えを私たちは心に留めておくべきでしょう。
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