曇天と眠気

今日は朝から曇り空だった。

天気予報では午後から晴れると言っていたけれど、窓の外を見れば、どこまでも広がる灰色の雲がその言葉を信じさせてくれない。

空が曇ると、どうしても心まで重くなるのは私だけだろうか。

特に曇天の日は、どうしようもない眠気が襲ってくる。

今日もまさにその日だ。朝から何度もあくびを繰り返し、どんよりとした気持ちを引きずりながら仕事に取り掛かる。

そんな曇天と眠気に支配された日々の中で、ふと思い出したエピソードがある。

それは、私が人生のどん底を経験していた頃の話だ。

曇天の日々

私が勤めていた印刷会社が倒産したのは、まさにこんな曇天の日だった。

突然の失業に、目の前が真っ暗になった。

年齢的にも再就職は難しいだろうと感じていたし、ましてや新しいスキルを身につける自信なんてなかった。

家に閉じこもり、毎日が曇天のような日々が続いた。

心の中も、空と同じようにどんよりと曇り、何をしても楽しくない。

未来への不安が常に頭をよぎり、夜も眠れない日が続いた。

でも、その時私を支えてくれたのが、やはり「眠気」だったのだ。

 眠気と向き合う

失業してからの生活は、これまでとは一変した。

朝から夜までずっと家にいることで、体内時計が狂い、昼夜逆転の生活が始まった。そして、どうしようもない眠気が毎日襲ってくる。

最初はその眠気を無理に抑えようとしていたが、次第に「もうどうでもいい」と投げやりになり、昼間から眠るようになった。

その時の眠りは、ただの逃避だったかもしれない。

現実から逃げ出したくて、夢の中に逃げ込む。

しかし、その眠りが私にとって一種のリセットボタンだったのだと思う。眠っている間だけは、不安や焦燥感から解放されることができたからだ。

そして、目が覚めると、少しだけ気持ちが軽くなっている自分に気づいた。

そんな生活を続けているうちに、ある日、ふと「このままではいけない」と思うようになった。

それはまるで、曇天の空から一筋の光が差し込むような感覚だった。

眠りから目覚めた瞬間に、「何かをしなければ」と強く感じたのだ。

### 新しい一歩

その気持ちが、私を次のステップへと導いてくれた。

思い切って職安の職業訓練に申し込み、介護職の講習を受けることにした。

もちろん、不安はあった。

新しいことに挑戦するのは怖かったし、失敗するかもしれないという恐れもあった。

でも、その時の私は「何もしないで終わるよりは、やってみよう」という気持ちが強かった。

訓練が始まってからも、曇天の日は続いた。慣れない環境、覚えることが山積みで、頭がパンクしそうだった。

でも、そんな日々の中でも、眠気だけは変わらずに私を訪れた。

最初はそれが邪魔だと思っていたけれど、次第にその眠気が私にとっての救いとなった。

眠気の恩恵

訓練が終わり、晴れて介護職として働き始めた時、私は気づいた。

あの曇天の日々と、どん底での眠気があったからこそ、今の自分がいるのだと。

眠気に身を任せてリセットし、再び目を覚ますことで、少しずつ前に進む力を取り戻していったのだ。

そして、そんな眠気に感謝する日がくるとは、思ってもみなかった。

あの日々がなければ、今の私はここにいないだろう。

曇天と眠気の向こう側

曇天の日が続くと、どうしても気持ちが沈んでしまう。

何もかもがうまくいかないように感じ、眠気に抗えなくなることもあるだろう。

でも、その眠気を無理に抑え込む必要はないのかもしれない。

眠気を感じたら、そのまま少し休んでみるのもいいのではないか。

眠りの中で、心と体が少しでも癒されることがある。

そして、目覚めた時に、曇天の空の向こうに光が見えるかもしれない。

曇天と眠気、それは決して悪いことではなく、新しい一歩を踏み出すための準備期間だと考えることができるのだ。

私たちは、時に立ち止まり、休むことも必要だ。

曇天の日々が続いても、その先に晴れ間が訪れることを信じて、少しずつ前に進んでいけばいい。

そして、曇天と眠気が私たちに教えてくれるのは、「焦らず、自分のペースで進めばいい」ということだ。

どんなに空が曇っていても、いつか必ず光が差し込んでくる。

その瞬間を迎えるために、今はただ、眠気に身を委ね、心を整える時間だと考えてみてはいかがだろうか。

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人生は、曇天と晴れ間の繰り返しだ。

その中で、私たちは何度も立ち止まり、悩み、迷うことがある。

でも、それは決して無駄ではなく、新しい道を見つけるためのプロセスなのだ。

曇天の日々が続くときこそ、眠気に感謝し、しっかりと休んで、次の一歩を踏み出す準備をしていこう。

そして、目が覚めた時には、きっと新しい自分が待っている。

曇天と眠気、その先にある未来を信じて、今日も少しずつ進んでいこう。