HITO-OMOI(ひとおもい)

ひとを、ひととき、ひとへに想ふ短歌がメインのブログです。作歌歴約二十年、かつては相聞(恋歌)、現在は専ら雜詠です。

3877首目 バーブラ・ストライザンド『追憶』

2018-11-10 00:00:00 | 日記
『ある愛の詩』について書いたらまもなくフランシス・レイの訃報に接した。

少し感慨に耽ったら間をおかず、好きだった『追憶』をBSで放送していたので録画視聴する。

どれくらい好きだったのかというと、画像のLPをリリースの数年後に手にいれたほど。バーブラ・ストライザンドの歌う追憶のじわっと昂揚する熱唱が好きだったから。

けれど、作品を見たのはその後まもなくしてからだった。もう「生徒」ではなく「学生」だった。二番館のオールナイト恋愛もの三本だてみたいなだった。新宿だったか池袋だったか、、。


一人ではなかった。「初めて」の女性と見た。


タイトルバックに流れる追憶はシーンにぴったりで素晴らしかった。でも、内容は大層つまらなかった。ケイティ(バーブラ)のどこがいいのか全くわからなかった。こんな女に惚れるなんてどうかしてるとさえ、思った。終盤の赤狩りのあたりで退屈で寝てしまった。



3年前、今回同様、録画視聴した。映画館で見たあの夜から30年以上が経っていた。

今度はケイティが可愛かった。強がりさえ愛しく映った。理性が勝るハベル(ロバート・レッドフォード)が、正反対のケイティに魅かれるのが、心にストンと落ちた。

そして、ラストシーンのケイティのひとつひとつの言葉や立ち居振舞いに涙をほろほろ流した。何度もラストシーンをリピートして涙した。別テイクの追憶のかぶさりかたもそくそくと心に沁みた。



そして、今回。ケイティに妥協を促すハベルはやっぱり冴えなかった。しかし、ラストシーンのレッドフォードの演技に唸ってしまった。

ハベルはケイティとのわずかな会話で、彼女は変わっていないこと、自分の出る幕はないこと、を悟る。

ただ、気がかりがあった。ふたりの子供のこと。思わず問いかけずにはいられなかった。


バーブラの答えに、レッドフォードは「アイム・グラッド」と「グッド」と応じる。抑制された短いセリフ、たった二言で、我が子への思い、母たるケイティへのエールを表す。作品中もっとも男らしい表情だった。


ふたりにとっては、思い出に浸るのではなく踏み出すための邂逅であった。




「前髪を直す汝(な)が指押し留む競ふことなく進むレガッタ(新作)」




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