三冊積んでいたのを、一掃。
「森へ行きましょう」(長編、単行本2017年刊)
少しの『あるある』を持ち込んで、心地よい違和感に引き込む川上弘美の魅力。前半はいつもどおりの世界。でも、最後に、人生に折り合いをつけるには一度は森で迷うことが必要という、まとめた感がある分不思議度が薄まる。パラレルワールドで描くのは成功してるのかな?
「ぼくの死体をよろしくたのむ」(短編集、単行本2017年刊)
川上弘美の短編の作物は、心を大きく振幅させないので、心がなだらかな状態のときに読むに限る。いい意味で落胆しないし、感動もしない。でも、そこそこしあわせ感覚が味わえる。(二つともSF的だが)別れの哀しみを緩やかに描く『二百十日』と『スミレ』に⭕を付けた。
「某」(長編、単行本2019年刊)
ファンタジカルな作物はある意味安心して読める。転生するがゆえに『何でもない者』が、いつしか個性を身に付け、それゆえ愛に目覚める物語。そして、共感することを覚え、変化することへの不安、戦きが生まれる物語。
川上弘美の文庫はデビュー作から全て読んできたので、一息つく。
「振れ幅が小さいならばあげるのもうばわれるのも容易いはずが(新作)」
不尽
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