2022年に没後100年を迎える森鴎外。森鴎外が文壇に再デビューした明治四十二年末以降の全創作(小説、戯曲のみ)を時系列に読んだメモ。(テキストは『鴎外全集(岩波、1971~75)』)
阿部一族(T2)・・武士社会における殉死が必ずしも純粋とはいえないものもあることを描く。鴎外の乾いた筆致と文章のテンポが内容の非情さにジャストフィットしている。
ながし(T2)・・継母に疎まれて悩む主人公。慰めは水彩絵具で草花の写生をすることだった。(日本の水彩画のパイオニア大下藤次郎がモデル。)
佐橋甚五郎(T2)・・逐電から24年後、朝鮮通信使の一人に身をかえて家康にまみえる佐橋甚五郎。家康が甚五郎と気づいたことで彼の意趣返しは大半は達成したように思う。また、甚五郎は慧眼な家康であれば己が正体を見抜くと確信していたのではあるまいか。
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