お気楽ナチュラリスト

都内に住んでも心はナチュラリスト。
週末は山と川で遊びたい。

フジヤマ チャレンジ(後編)

2016年08月10日 | 登山
山の朝は早いとよく言うが、富士山は特別早い?


ツアーガイドらしき人物が、「○○ツアーの皆さん、出発で~す。下に降りてきてくださぁ~い。」と叫び出す。
せっかく眠りに着いたとたん、起こされてしまった。
山頂でのご来光に間に合わせたいのだろうが、22時起床は早すぎないか?
いったい山頂で何時間待たせるつもりなのだろうか?
22時から断続的にこういった大型ツアーの出発騒動があるため、おちおち寝ていられない。


我々は予定通り2時起床。
一人一人に声をかけ健康状態をチェックすると、山ガール一人に高山病らしき症状が出始めていた。
睡眠中は、どうしても呼吸が浅くなるので、高山病を発症しやすい。
このことを考慮して、あまり標高の高い山小屋にしなかったのだが、それでもだめだった。
小屋の外に連れ出し、深呼吸を繰り返し行うようアドバイス。
その間に他のメンバーは、夕食時に配布されていた朝食の五目御飯やパンを食べ、身支度を整える。


午前3時20分。
ようやく山ガールの症状が落ち着いてきた。
何とか登れる気力が出てきたようだ。
小屋の前、満点の星のもとでミーティング。

 ・明るくなるまでは、3人一組で登ること
 ・深呼吸をしながら登ること
 ・○○さんの具合が悪化した場合は、本八合目の山小屋で待機すること

さあ、出発だ。


ヘッドライトで足元を照らしながら登り始める。
ここから先は誰が高山病を発症するかわからない。
山小屋に到着するたびに、一人一人の健康状態をチェックする。
登山道の脇には、ところどころでけだるそうに座り込んでいる登山者がいっぱいいた。
明らかに高山病で苦しんでいる。


4時を過ぎたころから、次第に東の空が白み始めてきた。

夜景の向こうに美しい夜明け。
新たな一日が始まる。


夜空の星がだんだん消えてくる。
この分だと、本八合目でご来光を迎えることになりそうだ。



本八合目の富士山ホテルでヘッドランプの明かりを消した。

休憩をとりつつ、ご来光を待つ。
気温は0℃。
フリースやダウン、レインウェア、持っているものをありたっけ着込んで、その瞬間を待つのだ。


胃袋のような形をした山中湖の向こう、雲の上端が次第に金色に染まってきた。


ここからが長い。
出そうで出ない。



キター!


歓声とともにシャッターを切る。

毎日繰り返される日の出なのだが、そのありがたみを感じるDNAが私たち一人ひとりに刻み込まれていることを実感できる瞬間である。


太陽のパワーは素晴らしい。
それを浴びるだけで体が温まり、気力がわいてくる。

結局、本八合目に40分ほど滞在した。
高山病の女子も小康状態を保っており、何とか全員で頂上を目指せそうである。



上江戸屋のうどん、ラーメンといったメニューが目を引く。
帰りに寄って食べようね~というと、みんな「うん、うん」とまるで子供のようなリアクション。
頂上も見えてきたことだし、じっくりがんばるぞ。


八合五勺を過ぎると、九合目と山頂の鳥居が見えてくる。



ひたすら深い呼吸を意識して登る。
気がつけば九合目。



ここで最後の休憩をとる。


元気な若者数名は、撮影会を楽しんでいる。
何を盛り上がっているのかと思えば、LINEのプロフィール画像用の撮影だそうだ。
富士山はどこでもアンテナが立つので、すぐに更新できる。



いよいよ最後の登りだ。
じっくり味わうように登っていく。

雲が上がってきた。
ガスに巻かれる前に山頂にたどり着きたい。


最後の鳥居が正面に見えた。
くぐれば山頂である。



鳥居の前で立ち止まり、深々と一礼して鳥居をくぐる。
自然と神聖な気持ちになる。
若者たちは、両手を掲げてビクトリーポーズ。
歳の差が出るな…。



7時2分、吉田口山頂到着。

一人一人とがっちり握手を交わした。
みんな笑顔がはじけている。


最高の笑顔で記念撮影。

全員で登れたことが何よりうれしい。


富士山頂は全国にある浅間神社の総本社が鎮座している。
カミさんからのリクエストがあった学業成就のお守りを買った。
我が家は受験生が二人いるもんでね。

カミさん曰く、「富士山頂上のお守りなんて、ご利益ありそうだからね~」


そうこうしているうちに、ガスが山頂に上がってきてしまった。
風も強くなってきた。

体調が万全でない者もいるし、お鉢巡りは中止とした。
噴火口だけでものぞければと思ったが、あいにく白の世界であった。


富士山は登山道と下山道が分かれている。
下山道は、砂礫の道だ。
クッションがきいていて膝に優しい。



展望もない単調な道をどんどん下る。
途中、上江戸屋に立ち寄り、約束の食事タイム。

温かい山菜うどんが美味しかった。
昨日から汁物を食べていなかったため、塩分が体にしみる。
空腹でがっついていたため、うどんの写真は無し。(笑)



下山中、また一人高山病を発症した。
メンバーの中では一番体力がある男子である。
山頂付近で頭痛がしたのに、迷惑をかけまいとして黙っていたらしい。
標高が下がれば何とかなるかと思っていたが、いよいよ我慢できない痛みになったというのだ。
鎮痛剤を飲ませ、登山道の脇に30分ほど寝かせる。

幸い薬がよく効いたようで、歩けるようになった。


高山病は誰が発症するか、本当にわからない。
山登りが2回目の女子はぴんぴんしていて、登山経験者の女子とスポーツ万能の男子が発症した。
二人とも大事には至らなかったが、油断はならないのである。


その後は、七合目、六合目と快調に下れた。
六合目からは登りと合流し、これから山頂を目指す登山者とすれ違うようになる。
昨日見た疲労困憊の下山者と我々は明らかに表情が違う。
みんな笑顔なのだ。



ハプニングもあったが、あっという間の二日間。
自分一人だったら、富士山に登るという発想はなかった。
富士山は、仲間とともに苦労と喜びを分かち合って登る山だとつくづく思った。

これから山ガール&山ボーイたちは、どこに向かうのだろうか?
山を続けるもよし、目標達成で卒業するもよし。
もし、登りたい山があるのなら、オジサンは喜んで付き合うぞ。
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2 コメント

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富士制覇 (高崎)
2016-08-12 15:29:42
やりましたねえ!
宇宙船から地球を眺めているような夜明けの一瞬
雲海に浮かぶ小さな島々のような四周の山々
これはまさに感動的な絶景でございます。
これで若者たちも山がやめられなくなるでしょうねえ。

それに引き換え、僕は今週末から1週間の予定で山釣りに入る計画でしたが
山の天気予報は見事に雨マ-クが並んじゃってます。
あぁ僕の夏はもう終わりでごじゃりまする。
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お返事 (papachan)
2016-08-13 11:02:42
>高崎さん
こんにちは!
夜明け前の美しさは、私の稚拙な写真技術ではとても伝えきれないほど荘厳なものでした。
下山時はガスガスだったのですが、それまでは快晴の山を楽しめたのがラッキーでした。

高崎さんの山釣りも天候が回復することをお祈りしております。
「念ずれば花ひらく」ですよ!
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