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※前編はこちら。
仙丈ケ岳登頂の目的を達成し、足取り軽く山小屋へ。
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雨がだんだん大粒になってきたが、なんとかレインウェアを着ないでしのぐことができた。
チングルマの綿毛にも、雨のしずくがついている。
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山頂から下ること約15分。
藪沢カールの真ん中、2890mに位置する仙丈小屋に到着だ。
ガスが濃くなっていたので、近くまで来てようやく小屋を視認することができた。
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豪放磊落で有名な小屋番のオヤジさんにあれこれ説明を受け、バイトさんに案内してもらい、自分たちの定位置が決まるとようやく一息ついた。
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定員55人、完全予約制なので、大部屋とはいえ混雑感はない。
更衣室(という名の布団部屋)もあり、女性客にも親切である。
何よりもトイレが素晴らしく綺麗。
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汗と雨で濡れた体を拭いて着替え、外の水場で顔を洗ってサッパリした。
水は、手が切れそうなほど冷たい。
例年8月には涸れるという水場だが、藪沢カールには若干雪が残っているためか、まだまだ水の心配はしなくてよさそうだ。
夕飯は5時から。
では、それまでビールで乾杯! とはならずに、2時間の昼寝コースに突入。
雨音を聴きながら、あっという間に眠りに落ちた。
オヤジさんの「夕飯の準備ができましたよ~」というダミ声で目が覚める。
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炊き立ての白米と味噌汁がとても美味しい。
おかずもハンバーグ、煮魚、シューマイと、結構充実している。
南アの小屋というと、食事が質素という個人的な印象があるのだが、それは過去のことなのか。
にぎやかに夕食を食べていると、オヤジさんの登山講義が始まった。
毎日やっているのだろうから、その語り口も慣れたもんで、登山者の心得を説いたり、ちょっと著名な登山家を皮肉ったり、なかなか面白い。
夕食後、雨が上がったので、小屋の前に出てみると、青空が出て藪沢カールと仙丈ケ岳のピークを望むことができた。
だが、またあっという間にガスが下りてきて、ザーザーぶりの雨になってしまった。
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翌日の晴れを願って19時30分には、就寝となった。
昼寝の効果&山ボーイの強烈ないびきで、浅い眠りの夜となった。
トイレに2回起きて外の様子を見たら、2時には快晴となっていて満点の星空を仰いだ。
ご来光は間違いなく拝めることを確信した。
3時を過ぎたくらいから部屋のあちこちでヘッデンの明かりが灯り始めた。
山頂でご来光を迎えたい人達が、準備を始めたのだ。
我々は小仙丈尾根までしか行かない予定なので、4時から支度を始めた。
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小屋の外に出ると、昨日は全く見えなかった甲斐駒と八ヶ岳のシルエットがはっきり浮かび上がり、空がオレンジ色に染まってきている。
素晴らしいご来光を拝めそうだ。
小屋から小仙丈尾根までは、10分少々でたどり着く。
すでに20名くらいの人たちが、今か今かとご来光を待って、みな同じ方向を向いていた。
北岳と間ノ岳の向こうには、富士山が見える。
昨年は、あそこでご来光を迎えたのだと思うと感慨深い。
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雲海があふれて峰々を越えて滝のように流れていく。
感動的なシーン。
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4時50分。
甲斐駒の向こう、雲海から頭を出している奥秩父の峰々から太陽が昇ってきた。ご来光だ。
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歓声とシャッター音が鳴り響く。
新しい一日の始まりだ。
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振り返ると仙丈ケ岳もオレンジに染まった。
今朝の女王様は、ご機嫌麗しゅうございます。
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小屋に戻る途中、カーンカーンと小屋の鐘が鳴ったかと思うと、オヤジさんが大きな声で「朝食できましたよ~」と叫んでいる。
とってもユーモラスで、心が温まる声だ。
ご飯に誘われるように、足取りも早まる。
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朝食も大変美味しくいただいた。
私にしては珍しくお代わりもした。夕飯から11時間も経っているので、お腹も空くわけである。
のんびり食べていたら、食堂に残っていたのは我々だけになってしまった。
まあ、いいさ、今日は下山するだけだし。
パッキングを済ませ、水場で南アルプス天然水を補給したら出発だ。
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名残惜しいが、帰ろう。暑く煩わしい下界へ。
下山は、馬ノ瀬ヒュッテ経由でトラバースルートから大滝ノ頭に出て下るルート。
藪沢カールと仙丈小屋を抱く優美な仙丈ケ岳の姿を何度も振り返り足を止めてしまう。
ああ、下りたくないなぁ。
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馬ノ瀬ヒュッテまでは、40分で下ってきた。
登るときは苦労しても、下るのはいつもあっという間。
ヒュッテからのトラバースルートは、小さな沢や滝を通過するとても涼しく快適な道で、変化があって楽しい。
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大滝ノ頭からは、見覚えのある道をどんどん下っていく。
あまりに快調なペースなので、なんだか惜しくなって、つい足を止めては森を眺めたり苔の写真なんぞ撮ったりする。
今日は平日なので、登ってくる登山者もほとんどすれ違うこともなく、とても静かである。
そして、昨日とは打って変わって湿気がなく、風が心地よい。
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結局、バスの時刻よりかなり早く北沢峠に戻ってきた。
全員ケガもなく、無事に戻れてよかった。
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帰りのバスの運転手が、「じゃあ、出発しますよぉ。いいんですかぁ? 下は暑いですよぉ。」と言うので、乗客は大爆笑。
帰りたくないけど、帰らないとね。
昨年の富士山に引き続き、若者たちとの2度目の一泊登山も楽しく終えることができた。
日帰りできる山でも、あえて山小屋に泊まることで、何倍も楽しみが広がった。
山ガール&山ボーイも、山小屋泊の山行がいたく気に入ったようである。
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山ガールの一人は、翌日さっそく「すでにヤマロスです。(笑)」とメッセージを送ってきた。
嬉しい反面、こんなオジサンと山ばかり行っているようでは、将来が心配になってくる今日この頃である。
仙丈ケ岳登頂の目的を達成し、足取り軽く山小屋へ。
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雨がだんだん大粒になってきたが、なんとかレインウェアを着ないでしのぐことができた。
チングルマの綿毛にも、雨のしずくがついている。
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山頂から下ること約15分。
藪沢カールの真ん中、2890mに位置する仙丈小屋に到着だ。
ガスが濃くなっていたので、近くまで来てようやく小屋を視認することができた。
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豪放磊落で有名な小屋番のオヤジさんにあれこれ説明を受け、バイトさんに案内してもらい、自分たちの定位置が決まるとようやく一息ついた。
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定員55人、完全予約制なので、大部屋とはいえ混雑感はない。
更衣室(という名の布団部屋)もあり、女性客にも親切である。
何よりもトイレが素晴らしく綺麗。
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汗と雨で濡れた体を拭いて着替え、外の水場で顔を洗ってサッパリした。
水は、手が切れそうなほど冷たい。
例年8月には涸れるという水場だが、藪沢カールには若干雪が残っているためか、まだまだ水の心配はしなくてよさそうだ。
夕飯は5時から。
では、それまでビールで乾杯! とはならずに、2時間の昼寝コースに突入。
雨音を聴きながら、あっという間に眠りに落ちた。
オヤジさんの「夕飯の準備ができましたよ~」というダミ声で目が覚める。
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炊き立ての白米と味噌汁がとても美味しい。
おかずもハンバーグ、煮魚、シューマイと、結構充実している。
南アの小屋というと、食事が質素という個人的な印象があるのだが、それは過去のことなのか。
にぎやかに夕食を食べていると、オヤジさんの登山講義が始まった。
毎日やっているのだろうから、その語り口も慣れたもんで、登山者の心得を説いたり、ちょっと著名な登山家を皮肉ったり、なかなか面白い。
夕食後、雨が上がったので、小屋の前に出てみると、青空が出て藪沢カールと仙丈ケ岳のピークを望むことができた。
だが、またあっという間にガスが下りてきて、ザーザーぶりの雨になってしまった。
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翌日の晴れを願って19時30分には、就寝となった。
昼寝の効果&山ボーイの強烈ないびきで、浅い眠りの夜となった。
トイレに2回起きて外の様子を見たら、2時には快晴となっていて満点の星空を仰いだ。
ご来光は間違いなく拝めることを確信した。
3時を過ぎたくらいから部屋のあちこちでヘッデンの明かりが灯り始めた。
山頂でご来光を迎えたい人達が、準備を始めたのだ。
我々は小仙丈尾根までしか行かない予定なので、4時から支度を始めた。
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小屋の外に出ると、昨日は全く見えなかった甲斐駒と八ヶ岳のシルエットがはっきり浮かび上がり、空がオレンジ色に染まってきている。
素晴らしいご来光を拝めそうだ。
小屋から小仙丈尾根までは、10分少々でたどり着く。
すでに20名くらいの人たちが、今か今かとご来光を待って、みな同じ方向を向いていた。
北岳と間ノ岳の向こうには、富士山が見える。
昨年は、あそこでご来光を迎えたのだと思うと感慨深い。
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雲海があふれて峰々を越えて滝のように流れていく。
感動的なシーン。
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4時50分。
甲斐駒の向こう、雲海から頭を出している奥秩父の峰々から太陽が昇ってきた。ご来光だ。
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歓声とシャッター音が鳴り響く。
新しい一日の始まりだ。
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振り返ると仙丈ケ岳もオレンジに染まった。
今朝の女王様は、ご機嫌麗しゅうございます。
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小屋に戻る途中、カーンカーンと小屋の鐘が鳴ったかと思うと、オヤジさんが大きな声で「朝食できましたよ~」と叫んでいる。
とってもユーモラスで、心が温まる声だ。
ご飯に誘われるように、足取りも早まる。
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朝食も大変美味しくいただいた。
私にしては珍しくお代わりもした。夕飯から11時間も経っているので、お腹も空くわけである。
のんびり食べていたら、食堂に残っていたのは我々だけになってしまった。
まあ、いいさ、今日は下山するだけだし。
パッキングを済ませ、水場で南アルプス天然水を補給したら出発だ。
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名残惜しいが、帰ろう。暑く煩わしい下界へ。
下山は、馬ノ瀬ヒュッテ経由でトラバースルートから大滝ノ頭に出て下るルート。
藪沢カールと仙丈小屋を抱く優美な仙丈ケ岳の姿を何度も振り返り足を止めてしまう。
ああ、下りたくないなぁ。
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馬ノ瀬ヒュッテまでは、40分で下ってきた。
登るときは苦労しても、下るのはいつもあっという間。
ヒュッテからのトラバースルートは、小さな沢や滝を通過するとても涼しく快適な道で、変化があって楽しい。
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大滝ノ頭からは、見覚えのある道をどんどん下っていく。
あまりに快調なペースなので、なんだか惜しくなって、つい足を止めては森を眺めたり苔の写真なんぞ撮ったりする。
今日は平日なので、登ってくる登山者もほとんどすれ違うこともなく、とても静かである。
そして、昨日とは打って変わって湿気がなく、風が心地よい。
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結局、バスの時刻よりかなり早く北沢峠に戻ってきた。
全員ケガもなく、無事に戻れてよかった。
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帰りのバスの運転手が、「じゃあ、出発しますよぉ。いいんですかぁ? 下は暑いですよぉ。」と言うので、乗客は大爆笑。
帰りたくないけど、帰らないとね。
昨年の富士山に引き続き、若者たちとの2度目の一泊登山も楽しく終えることができた。
日帰りできる山でも、あえて山小屋に泊まることで、何倍も楽しみが広がった。
山ガール&山ボーイも、山小屋泊の山行がいたく気に入ったようである。
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山ガールの一人は、翌日さっそく「すでにヤマロスです。(笑)」とメッセージを送ってきた。
嬉しい反面、こんなオジサンと山ばかり行っているようでは、将来が心配になってくる今日この頃である。
素晴らしい朝焼けと雲海と滝雲、山で朝を迎えないと絶対に眺められない光景ですねえ。
小屋食も美味しくなったしビールもあるし、この年になるとすっかり山小屋派に宗旨替えでございます。
こんばんは!
台風が接近していたこともあり、山行中止も予想していただけに、ご来光は思わぬご褒美となりました。
年をとってきたせいか、天気の悪い時は、とくに小屋泊のありがたさが身に沁みます。
テントと山小屋、バランスよく楽しみたいと思います。