お気楽ナチュラリスト

都内に住んでも心はナチュラリスト。
週末は山と川で遊びたい。

立山の春(後編)

2024年04月29日 | 登山
二日目は快晴の朝になった。

 ※前編はこちら


日の出時刻の4時58分を過ぎると、朝日が北アルプスの峰々を照らし始めた。
ご来光は雄山の向う側のため見ることはできないが、もう十分満足である。




朝食は7時からなので、もう一度布団に潜り込む。
行火はまだ暖かく、幸せを感じる。


十分惰眠をむさぼってから、布団を這い出る。
ストーブで暖かい食堂で朝のニュースを見ながら、朝食をいただいた。
ごはんとお味噌汁はお代わり自由。
もちろん、どちらもお代わりした。



ゆっくり支度を整え、スタッフにお礼を言ってから出発。
山荘前のベンチに座って、アイゼンをつけた。
今日は雲一つない無風快晴。
上着は必要なさそうだ。



今日は、浄土山に登って、室堂に下山する予定だ。
山荘の脇を抜けて、登山道にとりつく。



尾根の下部は夏道が出ているが、アイゼンをつけたままガリガリ登るのも嫌なので、雪のついている右斜面をトラバースするルートをとった。
ここでYAMAPのログを起動させていないことに気づいた。
10分くらい空白の時間ができたが、あとで軌道を確認したら山荘から直線ワープしていた。(笑)



早くも雪が緩み始めている。
時折、ずぼっと踏み抜くのがストレスである。



傾斜が緩んだところで振り返ると、劒が見えてきた。
かっこいいなぁ。



ここから見る雄山も堂々としていて立派だ。
これぞ立山という景色。



立山三山から別山へ続く稜線。
そして、その向こうに見える劒。
もうなんも言えねぇ。



前方に櫓が見えてきた。
あそこが浄土山のピークかな?



浄土山南峰(2830m)頂上。
櫓の向うに雪に埋まった建物の屋根が見える。
富山大学立山研究所だ。
気象観測や雪庇の観測をしているらしい。



アイゼンを履いていたので、櫓に登るのはやめておいた。
櫓の階段にカメラを置き、タイマーで記念撮影。



浄土山からは五色ケ原方面のロケーションが素晴らしい。
槍、奥穂、水晶、笠、薬師などズラリと一望できる。
特に、ここから見える笠ヶ岳は、かなり鋭鋒に見えるのが面白い。



なだらかな稜線とたどって浄土山北峰へ向かう。
ほど水平移動、5~6分の距離だ。



振り返るとこんな感じ。
いい稜線だ。



北峰はかなり広いピークだ。
石垣に囲まれた「軍人霊」の下は雪でよく見えない。


あとで調べたら、日露戦争で戦病死された富山県出身者2595名を祀った「軍人霊碑」だった。
明治42年に建立され平成17年に再建されたものとのこと。


このケルンを北峰山頂(2831m)ということにしておこう。



さて、あとは眼下に見える室堂まで下るだけだ。
ここでちょっと気の緩みが出たのだろう。
広いピークから降りるルートチョイスをミス。
岩場やハイマツで行き詰まり、2回も登り返した。
正解は、夏道どおりに岩場を下り、途中から雪壁を降りるルートだった。
アイゼンでの岩場の下りで気を使い、ようやく雪壁まできた。
思ったより雪が固く、表面が氷化してつるつるになっていた。
登りのトレースがあったが、ツボ足のように深くなっていたため、足を突っ込んだら奥が狭くて足首をひねりそうになった。
それが嫌だったので、踏み跡のない雪面にアイゼンの歯をかませた瞬間、スリップして滑落。
とっさに腹ばいになり、ピッケルで制動姿勢をとり停止した。
7~8mは、滑っただろうか。
この写真は、滑落直後に写した雪壁。
レンズに手が映り込んでいるあたりに直後の緊迫感が現れている?


注意一秒、けが一生。
滑落なんて、何十年ぶりのことか。
まったく恥ずかしいったらありゃしない。
それでも若いころに習得した技術は、何年たっても条件反射的に発揮されるもんだと思い、基礎基本の大切さが身に染みた。


気持ちを入れ直して、雪壁を下りきった。
あとは、緩斜面を室堂へ向かうだけだ。



最後が締まらない感じだったが、立山ブルー全開で二日間の山行を終えることができた。
やはり油断は禁物だね。
いい勉強になった。



これで雪山シーズンは終了。
GW後半は、心置きなく釣りに専念しよう。

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2 コメント

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立山 (高崎)
2024-05-03 18:28:24
立山の夕景がなんと美しいことでしょう!
やっぱり山は雪の季節が一番ですねえ!
もう何十年も前のこと、初めてアイゼンを買う前に雪上訓練でピッケルストップを
何度も練習したのに結局実践する機会は一度もありませんでした。
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お返事 (papachan)
2024-05-06 09:13:27
>高崎さん
こんにちは!
室堂を照らす夕日が見たいがためだけに、一の越山荘に宿泊しましたが、大正解でした。
スリップは、完全に油断でした。
やはり過信は禁物ですね。
訓練は、訓練で終わることが何よりです。
安全山行を心がけます。
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