わが町にある小さな薬局で処方をしてもらう。
私が少女だったwころから続いている薬屋さんである。
とても美しい奥さんがいて、たまに温厚な旦那さんが姿を見せる事があった。
そこには私より10歳ほど下の一人息子がいた。
会計の窓口には、真紅のバラが重厚なかびんに一輪挿されていた。
私がその時に何を買ったか覚えていないが、バラだけが印象に残っている。
その時代のバラは私には珍しく、強烈な美であった。
処方箋を扱うようになったのは、その息子さんがその道に進むようになってからと考えられる。
時代が流れ、一人息子は穏やかな奥さんと3人のお子さんの愛情深いお父さんになっていた。
3人のお子さんがそれぞれに幼稚園の1年間を過ごしたのがTさんとの接点である。
愛情深いTさんは、会長さんとしても懸命に園を支えてくれた。
その後、Tさんとの交流も無かったが、母の通院で再びご縁ができた。
それに待ち時間がなく、配達してくれる薬屋さんには本当に助かっている。
配達のその都度、母に笑いを交えて丁寧に説明してくれるのも有難い。
先日の配達日、Tさんに「お茶を召し上がる時間はありますか」と聞くと、気持ちよく応えてくれた。
母に説明している間に急いでお茶の準備をした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/d7/aeff89288b1c6bd4af82e153118eaba8.jpg?1697850431)
紅茶とコーヒーのどちらが良いかを聞くと紅茶を所望された。
玄関に小さいテーブルを出してのティータイムである。
3人のお子さんの成長を聞いたりお母さんの事を聞いたりして時を過ごした。
美しいお母さんの事も、素直で子どもらしいお子さん達の事も、Tさん自らがお話してくれた。
それは私が気になっていたそれぞれのその後を知るに十分事足りた。
それぞれに3人は幸せな今で本当に良かった。
Tさんとのお茶で、印象に残った話題がある。
歳をとって時間がとても早く過ぎるというのはトキメキが無いからだと何かで知ったという。
子どもならたくさんの行事やら楽しみを待つ事があるからだと。
ちょっと理解に手間取ったが、そういえばそうかなと思うことがあった。
同じ1日が何日分ものエネルギーや楽しさに満たされた時に、事があっという間に過ぎ去るのではなく、深くしみ入ってくる感覚になる。
何日分も過ごしたような錯覚に陥る事がある。
これは高齢者の感覚なのだろうか?
トキメキというと何か軽い気がしないでもないが。
何かを待つ事、楽しみに没頭している時間は、何もしない時間に比べて実はゆっくりと時が流れているのかもしれない。
だからといってトキメキが頻繁だと疲れてしまう。w
やはり年相応の時間の流れでいいとするか〜ブツブツと感じている私である。