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a green hand

シンプルに言い切ること・・。

人生の後半をだいぶ過ぎて思うこと、それは人が作られる過程というものについてである。
少なからず、仕事上、発達心理や児童心理や教育心理に関心を持たざるを得なかったもののまとめかなとも思える。

こういう経験は、学生時代にもあった。
自分の生い立ちを振り返るのだ。今考えるとその経験は、人間を観察する上でとても役に立っていた気がする。
自分を深く知ることが、人を知る一歩であるから・・。

遠くご先祖さまからいただく性質もあるにはあるが、環境は育ち方を大きく左右する。
同じ家に生まれても長男と長女では環境が異なる。
数人の兄妹の上と下でも大きな育ち方の違いがある。

親の接し方、その育つ時代、もっと広げれば大きな自然に支配されたその時の環境である。

先日、尊敬してやまない「緒方貞子」という人物をNHKスペシャルで視聴した。
正確には録画によるモノを翌日に視聴した。
どんな人にも、来し方、行く末がありそれは決して偶然や突発的なものではない。

今があるのも来し方があってこそであり、今があっての行く末である。

8月15日近辺に毎年振り返るドキュメントやドラマが放映されているが、証言する人は年々少なくなっている。
この日を忘れてはいけないと思う人もだんだん少なくなっていくことに不安を覚える。

もっと心配なこと、それは「戦争は絶対悪だ」とシンプルに言い切ることだ。
人を殺すことはどんな場合でも悪であると言い切ることだ。そんなことに考えてはいけないのだ。
そういうことには最もシンプルでいいと国民が言い切ることだ。
理由など要らない。
戦争に行って死んだ人は、誰も死にたくなかったということ、お国のために死んだのではないと知るべきなのだ。

私が小学生の頃、「また、戦争が起こるかもしれない」と話している大人の言葉をうっすらと覚えている。
朝鮮人を揶揄する言葉も不思議なことに数回聞いた覚えがあり、ついこの間まで覚えていた。

また、当時のコミックに原爆症で苦しむ少女の場面があり、なぜ、盆踊りをしていて急に鼻血が出るのかという「不思議」を抱えながら子ども時代を過ごした。
しかし、それをずっと考えていたわけでもなく「不思議の種」が蒔かれた程度でしかなかった。

そういうことを思うと、今のハルたちの心に何が残り、どんな不思議な種子が蒔かれ育っていくのだろうかというのはとても大事なことのように思う。

先日、ハルと映画を観た。「少年H」である。
背景に戦争があり、そのことに何かを感じたかは別として・・・。

我々の時代と違い、映画もたくさんありすぎて子どもにとり、テレビも映画も全くの消耗品である
ように感じる。
大人になり、心に残る映画などあるのだろうかとさえ思う。
ハルの親時代でさえ既に、「せっかく見る映画なのだからもっと面白いものにしたら・・」とこの類の映画には消極的である。

今、感覚的に面白いことはたくさんありすぎると思うのは私だけだろうか。
それも、瞬間的であり、心に沈殿し、その人を作る種子になるものなどあるのだろうかと不安になる。
子どもの心の成長期に与える文化ということを考えるとき、それはとても危険な文化だと思えるのだ。

その時、楽しければいいというものの何と多いこと・・楽しくない経験からは何も残らないが、必要な経験とはその子どもの核を作っていくものだと考える。
何かがチラリとでも気になり・・自分の中に種子を落とす。そういう経験をして欲しいと願っている。

子どもが受ける環境は無意図的な環境である。
その親世代が育った環境や考え方、感じ方で選ばれていくものである。

子供を育てるという大事なことを、学習しない親ではいけないように思う。

親は学習により、大きな懐をもつ豊かな知恵者でなければならないのだ。

昔の親は子どもだけに関わっていたわけではない。
今は自分の子どもで精一杯であり、社会に貢献しようとか親として学習しようとかではなく、子どもに学習させようということで手一杯であるように思う。
または真逆というかほったらかしである。〈私はこれに近い、ダメ親である〉

それも、全て、その親世代が子どもだった時代の反動かもしれない。
我々の時代に責任がないわけでは決してない。
全てに原因があっての我が子たちであり、親のやり方の反動は否めないのだ。

私の言いたいこと、ずるさや、楽なことや目先の利益だけを求めて、逃げてばかりいる親の人生ではいけない、いつかしっぺ返しが来る。

人は真面目なのがいい、学習に対し、真摯なのが美徳と教えて欲しいということである。

そうすれば、今の世相が幾分緩和されてちょうどいい具合になるはずである。
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