同じ日に、福島市と二本松市で講演があった。
福島会場が「食と放射能」二本松会場は「福島の復興はクリーンにすること」
私は、その日、講演会のはしごをしようと思い、3時からの講演に1:20分頃に
出かけた。
途中、携帯が鳴り、一足先に出かけたAさんから、会場にはすでに整理券
がなくなり、ビデオ室の整理券を貰ったと。
行ってもダメそうな口ぶりだったが行ってみた。
整理券を持った人と持たない人でロビーは若いひとたちでごった返していた。
こういうところには若い人がいるのだと久々に感心した。
ネット上で知り、駆けつけたものと思われる。
12:30分には整理券はすっかりなくなりましたという。
立見席とか無いのですかと言ったが無いということである。
即、諦めて二本松会場に直行した。
着いたのは3時ごろであり、武田先生が福島会場で挨拶をしているだろう時間であった。
同じように福島会場で入場出来なかったために二本松会場に直行した人、数人がいた。
講演開始4時間前である。
すっかり腹を決め、4時間を待つことにした。
かねすいの支配人のような人が、500人会場ですから整理券がなくても大丈夫ですといい
ロビーで休んでいてくださいと我々にいう。
お腹が空いてきた。
本来なら、福島から帰り、夕食をとってから夫の運転で二本松会場に向かう積もりでいた。
ダメもとで3人分の食料を持ってきて欲しいと夫に電話した。
すると、珍しくもOKだった。
紙袋一杯の飲み物やらお菓子やらがぎっしりと入ったものと母の作った夕食が3人分入っていた。
夫は講演を聞いていくのかと思うと、抜歯後だからと帰っていった。
腹ごしらえをして、会場に入った。
整理券を発行しなかったため、先に来て、休んで4時間を待った人と勝手に並び始まった人とでトラブルがあった。
小さなことで怒りまくっている男がいた。
開演の時間近くになると凄い込みようになり立見席、通路は溢れるばかりの人の波。
若い人が多く、ここでも安心した。
ざっと600人以上は入っている。
武田先生は、結婚式場である、大ホールに備え付けてある、飛行機のタラップのような所から現れた。
そこは新郎新婦が使うのだろうアイアン製のラセン階段である。
小柄な方であり、面白みのある人だった。そのようなところから現れた恥ずかしさをユーモアたっぷりに
挨拶の中に込めた。
最初に、自分は、聴衆にクレームを付けられている、ヘラヘラ笑って話して顰蹙をかっているのだけれど、
これは私の「地」にほかならないので許して欲しいと最初の断りがあった。
この一言で、私はすっかりヘラヘラのユーモアを許してしまった。
論理的な話し方、逆説的な物言い、すべてすばらしかった。
真逆な人間たちから嫌われる要素たっぷりの、弱いものの味方の真の科学者であった。
はっきりものをいうその勇気には、彼の心はどこにも所属していないという強みがあった。
広い視野にたち、これからの被災地の数十年先を思いやった発言はすばらしい。
真の思いやりというものは事実から遠ざかった気休めや数年先までのごまかしでは
成り立たないものである。
ある若い人が質問をした。
土地を買って二本松市に家を建てようと計画している、思いとどまった方がいいのでしょうかと。
平然として武田先生はいう。
諦めることは無いと思いますよ、ただもう少し待った方がいいと思いますという。
それではどのくらい待てばいいですかという問いに、2~3年でしょうねと。
米農家の人が質問した。
今年、福島の米を出荷することは永久に福島産の米の信用を失うことです。
福島会場で、家庭菜園についての質問がありましたが、今年は諦めたほうがいいでしょうと
答えましたと更に付け加えた。
福島の人は十分最初に被爆してしまったのですから、福島の野菜を食べてはいけません、
食べていいのは九州辺りの人ならいいですよと。
これだけのことの裏にどんな被爆の状況であるのか察することの出来ない人は、それは仕方のないことである。
今福島原発のことについてあれこれ言っているより、福島をきれいにすることを頑張りなさいというのである。
必ず効果がありますと。
また再三、1メートル以下の世界で暮らす幼児が一番気の毒であると。
子どもの感受性の高さは大人の2・3倍であることを考えると可哀想でしかたがないという。
文科省の言う事を聞かなくていいから自分たちでできることをしましょうと、PTAの人への
勇気ある武田先生の言葉に思わず拍手を送ってしまった。
年間1ミリシーベルトを20ミリシーベルトに引き上げる文科省を批判していた。
当然である。
福島で頼んだその道の先生が、なんでも大丈夫みたいな医者である。
放射能や原発に詳しい科学者の武田先生であったならもう少し福島の子どもたちは救われる。
その後、国会での参考人として登場し、福島で話された骨子は伝えられ、がんばってくれていた。
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