ガソリンも無い中で娘や息子さえ集まることはなく。
しかし、義母は、そんなことで悲しむ人ではない、少なくとも生活をともにした
孫たちは遠くからでも足を運んだことを思うとそれはそれでいい供養ではなかった
かと思える。
今日は久々の休日である夫とハルと息子で義母のお墓参りに出かけた。
墓石もズレ、倒壊しているのもあった。
18日にはその供養もしてもらったという。
10日目を迎え、余震にもすっかりドキドキしなくなった今、水も
電気も食料もあって、何もしない毎日にそろそろ退屈さを感じるように
なってきた。
いろいろな噂も出てきた。
民生委員である人が、さっさと避難してしまった話。
お金もちが、金に糸目をつけずに避難した先での現実。
普段親しくしていた人に一言の知らせもなく、避難してしまった話。
極めつけはうちの場合の話。
数日前、夫のプリウスにガソリンを満杯にした喜びを避難所で働く夫に告げた。
そして「ガソリンも一杯になり、東京までは避難できるように準備できたから
いざとなったら、お父さんを置いて皆で避難するからいい?」
「急にいわれてもない・・相談しないと」「じゃあ考えておいて」
その夜、お酒がだんだん入り口がやわらくなると、「俺の車で皆で避難していいから」
と何度も言うようになった。
おや?昼間のあの言葉を信じてたんだと慌てた。
いくら、私と母はどこへも行く気はしてないと言っても、いいから俺一人になってもと。
それでいい加減私も頭にきてしまい、私がこの家を出たい時に出なかったのだから
今さらどこへも行く気はない、今、県知事や市長から職員の避難命令が出たとしても
私はここを動かないからと言った。
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そしたら、ありがとございますという。
夫の繊細さを大変傷つけてしまったことを後悔した。
そのことを、友に話すと、旦那さんはハル君とその家族のために自分の車が役立てればいい
と思っているし、あなたが一緒に残ってくれればもっとうれしいと・・全部わかってて
言ってるんだよと慰めてくれた。
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