a green hand

新幹線の中で読んだ本



一昨日、夜に東京から帰ってきた私は筋肉痛で早く寝てしまった。
4:00頃に目覚め7:30の「あさが来た」を見て 再び11:00ぐらいまでぐっすりと寝た。

相当歩いた距離に足腰の筋肉が痛むのだ。


今回の一泊、極力荷物を少なくするよう頑張る。
それでも一冊の読みかけの文庫本を持った。

その一冊というのは旅友が急に電話をくれて「ジヴェルニーの食卓」という本を読んでいて一緒に行ったニースのマティス美術館を思い出してるという。
ニースを訪ねたのは10年ほど前になる


「マグノリアのある静物」という絵を知っているかということとマグノリアってどんな花という事だった。
さっそくその文庫本を取り寄せた。

私のマティス好きがそうさせた。

その文庫本は昨年来の全国を巡るモネ展に合わせて発行されたのか帯には割引き引換券付きとある。
内容は、5人の画家を知る人を取材して作った物語であった。

著者は前田マハ。
電話で聞いた時、外国人かと思ったほど私にはわからない人。
目次は「美しい墓」「エトワール」「タンギー爺さん」「ジヴェルニーの食卓」
マティスとピカソ、ドガ、セザンヌ、モネの順になる。

マティスとピカソ、モネは読み終え、残りは読まなくていいかなどと思っていた。
画家に興味が注げなかった事と読みたい本が多すぎたからだ。

しかし持ち歩くにはちょうど良い小さな文庫、そして読みやすさに「エトワール」ドガの部分を新幹線の中で読み始めた。

ところが読み進めていくうちに、旅友と同じようなドキドキする場面が予測され、もしかしてあの写真の…と。

予感は的中した。
オルセー美術館でいたく感動してポストカードの4倍ほどの写真まで買った、その作品の事が書いてあったのだ。

先日、模様替えをした時にピアノの後ろに落ちていた、しばらく忘れられていた一枚の額である。

17年前になるその写真を収めた額の余白部分はすっかりセピア色。

彫塑の少女にはバレエ用の衣装が腰の部分には本物のチュチュが身につけられていた。
そういう彫塑は見た事がなかった。

その時の感想はドガは絵だけで無くバレリーナの彫塑も作ったと初めてわかり、ドガの絵より私はこの彫塑が好きという思いであった。

しかもその像から発せられる不思議な魅力が長い事そのガラス箱は我々をクギ付けにしたのだ。
後ろに回ると髪には大きなチュチュと同じ材質だったろうか?リボンが巻かれていた。


彫塑のその少女は誰なのかという謎と、ドガがその彫塑にかける思いとがミステリアスに物語られる。

また当時のバレエとパトロンとの関係という新しい発見があった。

優雅な趣味の世界と思っていたのとは違い、貧しい少女たちがお金持ちに見初められるためにレッスンに励むという、生きるための切実さがバレエにはあったのだ。

華やかに見える中の闇の部分でバレエに命をかけて踊る少女たちである。

本によるとその少女は14歳ということだ。
ドガはエトワールに通いつめ、たくさんの踊る少女を舞台裏から品定めし、パトロンとは意味合いは違ったがモデルとして選び抜いた唯一の少女なのだ。

少女からするとモデルもパトロンも変わるところはない。
生活のため、お金を貰ってする、生きるための仕事なのだから。

読み終えてため息をついた頃、ちょうどいい具合に東京が近くなっていた。
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