チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「ほんとうのアマリリス(前篇)/イヨランタ(ヨランド)はまだ16だから」

2009年12月17日 01時18分18秒 | イヨランタはまだスィスィ16だから

チャイコフスキー イオランタ


[La guerre des trois Henri]

ハンス・クナッパーツブッシュとジョルジュ・プレートルの
顔の違いをしかとは区別できない拙脳な私には、
進学の話はからっきしわからないが、最近は
高円宮家の姫さまがたや秋篠宮家の皇子さまなど、
皇室の学習院離れがすすんでるらしい。

***♪ソ●・<ラ●│>ソ●・<ド●、
  ・・>ソ●・<ラ●│>ソー・ーー、
  ・・<ラ●・ラ●│>ソー・<ラ、
  ・・ソ>ファ>・ミ>レ│<ミー・>ド●♪

フランス王ルイ13世が作曲したガヴォットである。
私には子も孫もいないので今も小学校の音楽で
これを縦笛で吹くのかどうかわからないが、
アマリリも有名な節である、森永のCMよりも。ともあれ、
このガヴォットの作曲者は最近では実は、
12歳のラヴェルがパリ音楽院でピアノを教わったという
Henry Ghysだっだった、などと言われてるらしい。が、
真偽はともかく、その名の不思議さ、に
私は惹かれる。なぜなら、フランス人らしいのに、
英語の名だからである。もっとも、
それだけだったら何の不思議もない。
ざらにあることである。が、そのスペルの
"y"を"i"に置換するとHenri Ghisと、
たちどころにフランスふうに変化するのである。
本人はそのことに気づいて、
このルイ13世の曲を採りあげたと私は推測する。
Henriはアンリ、g→h→iはアルファベの7→8→9番である。
その数字に意味はないが、連番であることが重要である。
ルイ13世はブルボン朝開祖であるアンリ4世の倅である。
アンリ4世はピレネーのふもと、ベレー帽発祥の地ベアルンのポーで
1553年に生まれたナヴァル王である。1年空くが、
1551年生まれがヴァルワ朝最後の王アンリ3世、
1550年出生がギーズ公アンリ、なのである。この
現役フランス国王(アンリ3世)を含む3アンリは、
王位を争って対立した。これを、世界史では
「3アンリの戦い」などと呼ぶ。今日観るAVは
野中あんり、鈴木杏里、星崎アンリ、のどれにしようかな、
などという私の拙頭の中のせめぎ合い程度の暢気さはない。

ギーズ公アンリ=狂信的カトリック。反中央集権派。
アンリ3世=カトリック。王権強化を計る。
ナヴァル王アンリ=プロテスタント(ユグノー)。

アンリ3世の母カトリーヌ・ドゥ・メディスィス(フィレンツェのメーディチ家の出)は、
カトリック派とユグノー派の融和を目指して、
娘マルゴー(マルグリット・ドゥ・ヴァルワ、つまり、アンリ3世の妹)を
ナヴァル王アンリに娶せる。が、このマルゴーは、
夫アンリとはソリが合わなかった。夫アンリ自体は
「好き者」で、愛人が何十人といたらしいが、
マルゴーとはエッチする関係ではなかったらしい。いっぽう、
マルゴーはギーズ公アンリとエッチ関係だっただけでなく、
兄ら(つまり、フランスワ2世、シャルル9世、アンリ3世)とも
近親エッチの関係だったという。ともあれ、
同じくカトリックといっても、穏健派もあれば
ギーズ公アンリのようにサン・バルテルミの虐殺を平気で行う武闘派もいて、
一枚岩ではなかった(それが、ナヴァル王アンリに有利にはたらいた)。
アンリ3世の不人気とは逆に、ギーズ公アンリはパリ市民に人気があった。
1588年、アンリ3世は和解をエサにして、不仲だった
ギース公アンリとその弟ルイ・ドゥ・ロレーヌ(ギーズ枢機卿)を暗殺した。が、
アンリ3世はその凶行でカトリック派の波紋を増大し恨まれ、
ローマ教皇からも破門された。そこで、ユグノーの
ナヴァル王アンリと手を結んだ。が、翌年、
面会を装ったドメニコ会修道士に短刀で腹を刺され、
サリカ法で女性は王位を継承できないことになってるフランス王位を、
妹婿である王位継承権第1位のナヴァル王アンリに渡して絶命した。
こうしてヴァルワ朝は絶えて、ナヴァル王アンリが
アンリ4世としてフランス王に即位、ブルボン朝が始まった。そして、
カトリックとプロテスタントの抗争の収拾を図って自らはカトリックに改宗、
1598年には「ナントの勅令」を発して、
ユグノーにもカトリック同様の権利を与えた。が、所詮、
アンリ4世は真にはプロテスタントなので、新旧抗争の火種は残ってた。
マルゴーと離婚したアンリ4世はメディーチ家のマリー・ドゥ・メディスィスと再婚。
1601年にのちのルイ13世が生まれた。王位継承者を生んだことで、
マリーはフランス宮廷内で権力を持つようになった。のちに、
倅のルイ13世と抗争するほどに。が、その抗争は
実の母倅とも思えぬ異様な程度だった。

余談であるが、チャイコフスキー最後のオペラ「イヨランタ」は、
盲目のイヨランタ(フランス語名ヨランド)姫が
ヴォーデモン(フェリ2世)の愛によって
自分が盲目であることを認識し手術の決意をして、
無事成功、ヴォーデモンと結ばれてアンジューの地を得る、
という話である。ヴォーデモンに嫁いだとき、
イヨランタはまだ16歳だったが、
キャプテンという二人組の侍女はいなかった。ちなみに、
イヨランタの年子の妹は英国王ヘンリー6世の后となった。
シェイクスピアの3部作「ヘンリー6世」に父ルネとともに描かれる妹は、
"she-wolf of France(フランスの雌狼)" and
"more inhuman, more inexorable(血も涙もない冷血漢)"
と罵られてる。ともあれ、上記の
ギーズ公アンリは、イヨランタとヴォーデモンの曾孫なのである。が、
この家系は1675年に断絶する。それが、
チャイコフスキーの「イヨランタ」の、大団円のはずの終曲に、
侍女らがイオランタに歌った子守歌の悲しいフレイズが
回想される所以である。

(「ほんとうのアマリリス(後篇)/ベラドンナ・リリーは6弁の花だから」に続く)
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「『イヨランタ』と『くるみ割り人形』の共通寓意」

2005年09月25日 20時54分55秒 | イヨランタはまだスィスィ16だから

チャイコフスキー イオランタ


木曜の夜から3泊で我が先祖のふるさとである諏訪の温泉につかってきた。
諏訪に、といえば、明日9月26日はジョージ・ガーシュインの誕生日である。
私はガキの頃にラプソディ・イン・ブルース・リーの映画を観た世代である。
おかげで、現在、ヌンチャクも何着も重ね着を愉しむことはできない
「体脂肪遊戯」体質を形成してしまってるのである。そのため、
冬は平気で裸になってダブダブの肉体をカンフー摩擦することができる。
いっぽう、ブルースの女王様、といえば、たいしたたまげりだ。
♪マゾぉぅを、あ、蹴ぇ~ればぁ~~~~~~~、
 血の痕がぁ見えるぅ~~~~~~~♪
こういう「プレイ」はへたすると、あわや、大惨事ということにになりかねない。
よいこの女王様がたが、けっしてアブないまねはしないことを願うばかりである。
ときに、去る9月22日はアーヴィング・バーリン翁が101歳で死んだ日である。
また、今年の9月22日には、白い帽子でデビューしたメジロラモーヌ号が死んだ。
さて、アーヴィング・バーリンといえば「ホワイト・クリスマス」であるが、
指をパッチン・パッチンと鳴らす訓練に使われる「ホワイト・バンド」ではない。
売り上げ金が「ほっとけない貧しい民に恵まれてる」と信じ込まれてるとしたら、
自宅マンションから飛び降りて果てた故ポール牧師匠も浮かばれまい。
貧しい民を救いたい、ほっとけない、というのが本心なら、取る手は、
自分と貧しい民と身柄を入れ替わってやるか、自分の全財産を恵むか、
のどちらかしかないはずである。そうしないでて、能書きだけたれてるのが、
立派な行為とはこれまたステキである。枠外へのトホホ・シュートを無駄に打ったり、
周りへの批判はしてもすぐに相手チームにボールを奪われる自分には触れない、
チームの和を乱すだけの鼻つまみ者には相応しい「運動」かもしれない。
♪アァ~~ィ’ム・スクリィ~ミング・オヴァ・ワァ~~ィト・バァ~~ンド♪
そんなことより、映画「ホワイト・クリスマス」といえば、
ロウズメリ・クルーニー、ダニー・ケイ、そして、
「ホワイト」というタイトルには似つかわしくないビング・黒スビーである。
ともあれ、♪トゥ・ヒア・スレイベルズ・イン・ダ・スノウ♪
ソリのベルもリンと鳴るアーヴィング・伯林なのである。
昭和天皇が1月7日に崩御した1989年、
ベルリンの壁がハンマーで掻き削られる1箇月半前、
黒枠2枠のゾロメであり、ともに葦毛であるホーリックス号(南半球馬)と
オグリキャップ号(鞍上南井騎手)が、
「終焉した昭和という時代に世界よ弔意を表せ」とばかりに、
ジャパンカップを2分22秒2のタイムで勝ち負けする2箇月前、
ワンちゃんなら101匹であるが、
アーヴィング・バーリン翁は101歳で死んだのである。
いっぽう、明日9月26日は「輪」で知られるメビウスの命日である。
数学の「トポロジー」という分野に功績をあげたヒトらしい。ところで、
「topo(トポ)」とは数学では「位相」という意味に使われてるらしいが、
ギリシア語に起源をもつ「場所」という意味の語幹だそうである。
「トッポい」という古語は、「そこらへんにイソウでいないくらいかっこいい」
という意味の韓国語トッポイダである。他方、
マールコ・ポーロの「トポ見聞録」は、宋とその周辺のいろんな「場所」
についての記述である。また、
伊語で「topo(トーポ)」とは「ネズミ」のことである。
チャイコフスキーはネズミを毛嫌いしてたようである。
いわゆる「くるみ割り人形」では、1幕で、
ネズミ軍とパン・デピス軍との戦闘、ついで、
ネズミ軍とくるみ割り人形率いるおもちゃ軍の戦闘が繰り広げられる。
「pain d’epices(パン・デピス)」とは、
直訳すれば「スパイスをまぶしたパン」であるが、
「蜂蜜入りライ麦ケーキ」なのだそうである。ちなみに、
哺乳類の肉を食う欧州では、スパイスが貴重であり高価であった。
いわゆるコロンブスも香辛料を求めて印度カレーを目指したのである。
仏語で「epices(エピス)」、英語で「spice(スパイス)」、
独語で「Gewurz(ゲヴュルツ)/Wurze(ヴュルツェ)」。
独語は「Wurzel(ヴュルツェル)」という「根」が語源であろうし、
「Wurst(ヴルスト)」も同源の双生児なのであろう。いっぽう、
七福神中、日本由来の神のエピスさまなら、航海と漁業の神さまなので、
魚肉入りソーセージをぶらさげてるところである。
ともあれ、中世においては、民事訴訟において勝訴した側が裁判官に
「epices(エピス)」を「献納」するのが「慣わし」だったそうである。
「くるみ割り人形とネズミの王」の「原作者」であるE.T.A.ホフマンも、
「家畜人ヤプー」の沼正三も、その正体は「上級裁判官」なのである。
クラーラの父ズィルバーハオス氏もニュルンベルグの「上級裁判官」、
スペンサー・トレイスィーである。とまぁ、話がわき道にそれてしまったので、
ネズミの本線にtraceして戻ることにする。
バレエ「カス(破壊器)・ヌワゼット(ハシバミ)」、
1幕でのネズ公との戦闘おいて劣勢にたたされた総大将のくるみ割り人形に、
ネットオークションに出せばその手のオタクに高価で売れる履物を
敵の大将ネズ王に投げつけて加勢。ネズ王もそのシュミだったのか、
クラーラの履物の底の臭いを嗅いでるうちに、
クラクラクラァ~ラ恍惚として戦意喪失してしまうのである。
一気に形勢を逆転させた小早川クラーラである。そして、
2幕ではくるみ割り人形がその礼に、
クラーラを家に招待してもてなすのである。が、
家といってもコンフィチュランブールという
「砂糖漬けの菓子(ジャム)」の国である。
くるみ割り人形の正体は、じつはその国の王子だったのである。
ドラジェの精とコクリュシュ(またはオルジャ)王子が
クラーラとくるみ割り王子を迎えるのであるが、
彼ら王族間の関係は詳らかにはされてない。ちなみに、
「ドラジェ」とはアーモンドに砂糖をまぶした菓子である。
イタリア語で「コンフェット」である。映画「ゴッドファーザー」で、
ヴィート・コッレオーネの3男マイケル・パチーノが、
父を撃った相手を殺して父の祖国のシチリアに高飛びして
ほとぼりをさましてたときに、地元の娘といい仲になって結婚したとき、
その披露宴で客に配ってたものである。仏語で「ドラジェ」は、
伊語で「コンフェット」である。つまり、
アマンドを卵の殻に見たて、それを割って食べることによって、
雛の誕生、子孫繁栄の象徴としてるのである。この
「コンフェット」が日本で「別の砂糖菓子」である
「コンペイトウ」と未だに混ペイ同されてるのである。いずれにしても、
「confi(e)t」という語幹は、「砂糖まぶし」を意味する。
「コンフィチュ」ランブール国の「ドラジェの精」は、
「砂糖菓子の国」の「砂糖まぶしの精」である。いっぽう、
「オルジャ」とは「アーモンド・シロップ」のことである。また、
「コクリュシュ」とは、→コクリューシ→コクリューコ→黒龍江→
アムール川→川の鯉→愛の渡し→キューピッド、ではもちろんないが、
ここでは「百日咳」でも「101匹ワンちゃん」でもない。
百日咳に罹ったときに被せられる「頭巾」が、卵の殻の形に、
果実の殻に例えられてるのである。「コクリュシュ」のスペルは、
「coqueluche」である。「coque」は、
「卵の殻」「果実の殻」である。また、「luche」が
「louche」の母音変化だとすれば「頭」である。
だとすれば、「コクリュシュ王子」と「くるみ割り人形」王子は、
「くるみ(じつは、それより小さいハシバミ)の殻」と、
それを割る「器具」という、ふたつでひと組の関係である。
双子かもしれない。あるいは、
「首から上を被われた王子の頭巾(殻)を割って、
目が見えるようにする」という行為は、
「盲目のイョランド姫の目が見えるようになる手術を受ける気にさせる」
ということと同値である。つまり、
「くるみ割り人形」と「ヴォーデモン伯爵フェッリ2世」は、
同一人物なのである。ともあれ、
コンフィチュランブール国に赤い靴履かずとも連れられてった少女クラーラの
宮殿までの水先案内役は、「ムーア人」である。いっぽう、
イョランドの視力獲得手術を施したのも「ムーア人」である。
オペラ「イヨランタ」も、バレエ「くるみ割り人形」も、
ともに「ムーア人」が主人公の「少女」を「幸福な方向」に導いてる、
のである。ここで、「ムーア人」とは、
キリスト教世界に関わりを持つイスラム教徒のことであり、
一般的には肌の色は白人に比べて黒い。が、
十字架を主の化身とするキリスト教においては、黒ス・黒イツ・黒ワが、
ギターのモーリス(黒い肌の人maurusから派生)においては、黒澤楽器が、
大いなる関わりを持つのである。あまり人気がなかった
「ローゼンクロイツ」号が3着した神戸新聞杯だったことであるが、
彫刻の森美術館のヘンリー・ムーアのブロンズ像も、黒くテカってるのである。
ちなみに、マウリツィオ(モーリスの伊語形)・ポリーニとは、
ムスリムのポリネシア人という意味、かどうかは知らない。ともあれ、
これらの「ムーア人」は「東方3マギ」とも関連があるはずである。さて、
主人公クラーラは、ホフマンの原作やデューマの訳本で人形の名として
附けられてたクレールをプティパが改名したものらしい。
原作での少女の名はマリー。つまり、マーリアである。
アヴェのマリアが聖母の名なのかマグダラのマリアかは知らないが、
とにかく、キリストに関係ある女性の名である。いっぽう、
イョラーンタという名は、フランス人なら普通イョランドであるが、
イタリア人ならヴィオレッタである。つまり、violaという花の名が
女性名になった例である。このヴィオラであるが、
キリスト昇天後に「十字架」の陰にひっそりと咲いた花である。
そのヴァイオレット色は母の悲しみの色とされ、
聖母マリアに捧げられる聖なる花とされたそうである。
藤色花、は「つる」る糸は、侘び人の、涙さとう玉の、緒とぞなりける(壬生忠岑)
壬生とは皇子の養育部門である。キリストを養育したのは聖母マリアである。
いっぽう、キリストの倅の養育をしたのはいったい誰だったのであろう。
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「イョラーンタ#9(終曲後篇)大団円」

2005年09月16日 17時04分47秒 | イヨランタはまだスィスィ16だから

チャイコフスキー イオランタ


米国TVドラマ「ER」は当初は、映画「ホワイト・クリスマス」にも出てた
歌手ロウズメリ・クルーニーの甥を売り出すプロジェクトだった。そして、
みごとに成功した。そこで演じられてたダグ(ラス)・ロス医師は小児科医であったが、
マラリアが羽斑(ハマダラ)蚊によって媒介されることをつきとめたのは、
サー・ロナルド・ロスである。マラリアとは、
「mal:マル(悪い)」「aria:アーリア(空気)」という意味らしい。けっして、
「マラ」と「リア」ではない。ロナルド卿がつきとめるまでは、
悪い空気になにかがはびこってて感染するもの、と思われてたのだそうである。ときに、
マラリア原虫というのは、ヒトを「中間宿主」、ハマダラ蚊を「終宿主」、
とグルグル・サイクルして生きる寄生虫である。
その繁殖過程は、いくつもの形態に複雑にヘンゲして「生命を繋ぐ」、という、
じつにおみごとなものである。それについて書くと、
ハプスブルク家の系図より長くなってしまう。
イョランドとヴォーデモンも、政略的に精力的に子孫を残し、
それが現在のハプスブルク家に繋がってるのである。ちなみに、
ヴォーデモン伯の名はFerri(フェリ)2世であるが、現代のプリマ・バレリーナ、
アレッサーンドラ・フェッリまで、渡し船のように繋がってるかどうかは知らない。
それはさておき、Ferriという名は、「鉄」と関係ありそうである。
鉄は英語でiron(アイアン……イョランドは「eye暗」という意味ではない)、
独語でEisen(アイゼン)であるが、ラテン系は、
仏語でfer(フェール)、伊語でferro(フェッロ)である。たしかに、
Ferrari(フェラーリ)の真っ赤な頭をしたボディも鉄である。
鉄タロッサというくらいである。いっぽう、
鉄の元素記号Feが採られた本家の羅語ではferrum(フェルム)であり、
fellareが語源ではない。鉄棒は熱いうちに吸え、という諺もない。
イョランドがハマダラ蚊のようにヴォーデモン伯の熱い血を吸ってあげた、
かどうかは知らない。

→モデラート・アッサイ(2♪=72)、4♭。
♪ソ|ソ>ミ>ドーー>ラ<ド<ミ|<ソー>ミーー♪
その「空」の上におわします神に感謝するのである。そして、
一同もそれに倣い、神を持ちあげ称えて、大団円となるのである。
この大団円の音楽はじつに感動的である。
音楽においてもっとも大事な要素「感動」は、
チャイコフスキーの音楽には満ち溢れてるが、
その中でも特筆すべきもののひとつである。
(変イ長)
♪ソ|ソ>ミ>ドー・ー>ラ<ド<ミ|<ソー>ミー・○○○<ラ|
>ソ>ミ>ドー・ー>ラ<ド<ミ|<ソーーー・ー○○○|
<ラーララ・>♯ソー>ミー|<ドードー・>シー>ミー|
○ミミ<♯ファ・<♯ソ>>♯ド<♯レ<♯ソ|>ミーーー・ー♪
(最後の段は、実質ハ長に転調した
♪○ドド<レ・<ミ>ラ<シ<ミ|>ドーーー・ー♪
である)
木管によるオッブリガートがじつに効果的である。
ついで、独奏チェロが、
♪【ドー>シン<ド・>ラー】、<ミー|>ドー、>シー・>ラー<シー|
<【ドー>シン<ド・>ラー】、<ファー|>ミー、>レ<ファ・>ミーーー|
>レー<ソン>ミ・ミー>レー|>♯ド<レ<ソン>ミ・ミー>レー|
<ミー<ラン>ファ・ファー>ミー|>♯レ<ミ<ラン>ファ・ファー>ミー|
○<♯ファ<ソ<ラ・<シ、シ<♯ド<♯レ|<ミ♪
と、最後はハ短に転じて(♪○シ<ド<レ・ミ、ミ<♯ファ<♯ソ|<ラ♪)
繋げる。ちなみに、【】部分は【怒りの日】のあたま4音である。ともあれ、
今度は実質ハ短、2フルートとファゴットが3オクターヴのユニゾンで、
♪【ドー>シン<ド・>ラー】、<ミー|>ドー、>シー>ラー<シー|
<【ドー>シン<ド・>ラー】、<ファー|>ミー、>レ<ファ・>ミーーー♪
と吹きつなげる。すると、今度は実質変ロ長に転じて、
→アニマンド・ウン・ポーコ。
2フルートとファゴットが3オクターヴのユニゾンのままで、
♪レー<ソン>ミ・ミー>レー|>♯ド<レ<ソン>ミ・ミー>レー|
<ミー<ラン>ファ・ファー>ミー|>♯レ<ミ<ラン>ファ・ファー>ミー♪
→ピウ・モッソ(2♪=96)。
ヘ短、両vnがオクターヴで、
♪レー<ファン>ド・ドー>シー|<♯ド<レ<ファン>Nド・ドー>シー|
(ポーコ・ア・ポーコ・センプレ・ソトリンジェンド)
<ファー<レン>ド・ドー>シー|>ミ<ファ<レン>ド・ドー>シ♪
そして、
♪<ファ>ミミ>レ・レ>♯ド♯ド<レ|……♪
のゼクヴェンツで高揚し、
→アッレーグロ(2♪=132)。
♪ミ>レ>♯ド・>Nド>シ>ラ・>ソ>♯ファ>Nファ>ミ・>レ>ド>シ>ラ|
>ソ>♯ファ>Nファ>ミ・>レ>ド>シ<レ・<♯ファ<ソ<シ<レ・<ソ♪
ゲネラール・パオゼののち、
→ポーコ・ピウ・モッソ・ケ・プリーマ(2♪=88)。
イョラーンタが変イ長で大団円の主題を力強く高らかに歌いはじめる。
♪ソ|ソ>ミ>ドー・ー>ラ<ド<ミ|<ソー>ミー・○○○♪
すると、他の9人のソリスト……ブリギッタ、ラーウラ、マールタ、
ボーデモン、アリミェーリク、ロベルト、
イブン=ハキア、ビルトラーン、ルネ王……が、
各自てんでに歌いだす。そして、合唱も加わり、fffで、
♪ラーララ・>♯ソー>ミー|<ドードー・>シー>ミー♪
ときて、(→ストリンジェンド)がかかって、
「アサンナ・ヴ・ヴィシニフ(神の栄光)」という台詞を、
10人のソリストが、
♪○ドドー・ー>ラ>ファ>レ♪
ついで、合唱部隊が、
♪○ドドー・ー>♭ラ>♭ミ>ド♪
また、10人のソリストが、
♪○ドドー・ー>ソ>ミ>ド♪
再度、合唱部隊が、
♪○ドドー・ー>♯ファ>♭ミ>ド♪
と、かわりばんこに計4度fffで唱え、
→ピウ・モッソ、アッレーグロ(2♪=138)。
♪○○ドー・<ファー>ミー|<ラー>♯ソー・<ドー>シー|
<ミーーー・>レー、>ラー|<レーーー・>ドー、>ラー|
<ラーーー・>ソー>ドー|<♯ドーーー・ーー♯ドー|
<レーーー・レーレー|<ソーーー・ソーソー|<♯ソー<ラー♪
一転、ppに鎮まって、ソリスト連が、
♪レーーー|レーーー・ーーレー|レーーー・ー♪
合唱隊が、
♪<ラーーー|ラーーー・ーーラー|ラーーー・ー♪
弦の32分音符の刻みに導かれて、10人連と合唱隊すべてが、
(→リテヌート・モルト)
♪ラーーー・ーーーー|>ファーーー・ーーーー|<ラーーー・ーーーー♪
→テンポ・プリーモ(2♪=88)。
♪<ドーーー・ーーーー|ーーーー・ー♪
「フヴァラー・チビェー(汝に栄光あれ)」を唱えて幕が降りる。そして、オケは
♪ラ|>ソ>ミ>ドー・ー>ラ<ド<ミ|<ソ、>ラ<ド<ミ・<ソ、
>ラ<ド<ミ|<ソ、>ラ<ド<ミ・<ソ、>ラ<ド<ミ|
<ソーーー・ーーーー|ソ○ソ○・>>ド○○○♪
変イ長の主和音でじつに感動的に終わる。ボニーとクライドに明日はなかったが、
イョランドとフェッリのふたりにasはあったのである。
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「イョラーンタ#9(終曲前篇)ロベールの帰還」

2005年09月15日 16時34分33秒 | イヨランタはまだスィスィ16だから
イョランド姫と騎士ヴォーデモン伯の電撃婚につづけとばかりに、安達祐実嬢が、
円卓アチャコチャの騎士を従えたアーサー王とではなく、お笑い芸人との
スピードワ婚を発表したそうである。お相手の小指と結ばれてたのは、
黒いのではなく、赤い井戸田そうである。これから、
甘ぁ~~~~~ぃ生活が待ってるらしい。
アッレーグロ・ノン・トロッポ(2♪=126)、C、無調号。
♪ソーー<ソーー・ーーー>ド<レ<ミ|<ソーソ・ソーー・ーーー♪
と(実質、12/8拍子で)、
ペットがロベールと円卓の騎士団が近づいてることを知らせる。が、
登場するなら是非遅れ、てきてほしいものである、もうチョットだけ、
といった状況である。
→ポーコ・メーノ(2♪=100)。
→テンポ・プリーモ(2♪=126)。
ルネ王はヴォーデモン伯のかたわらに寄って、
「堪忍したってな。キミに言うたんは方便や。
かわいい娘に目ぇが見えるようになりたいいう望みが
芽生えることを願ごうて、キミをダシに使こうたんや。
娘は手術を受けにいったさかい、さ、キミはもう立ち去ってえぇんやで」
と謝る。が、ヴォーデモン伯は話の矛先を変え、
→アッレーグロ・モデラート(2♪=120)。
王の素性を尋ねる。すると、王は、
「ヒトに名前を訊くんなら、まず自分から名乗らんかいな。騎士の礼儀やで」
と冗談っぽく返す。そこで、ヴォーデモン伯は素性を明かし、
→ポーコ・メーノ(2♪=108)。
ロベールとの関係にまで触れるのである。
→ソソテヌート(2♪=100)。
→アッレーグロ・モデラート(2♪=126)。
すると、そこにメッサーシュミットに搭乗したロベールが配下の騎士らと帰還する。
団結力を誇示しようと、騎士団は「エンジン」を組む。
→モデラート(2♪=100)、3/4。
♪ミーーー・>ドーーー・<レーレレ|<ミー<ソー・>レーーー♪
輝かしいファンファーレである。
「フェリ、助けに戻ってきたで!」
ロベールは親友に向かって声を張り上げる。が、かたわらの人物を見ると、
「ルネ王やおまへんか!?」
と叫んだのである。ロベールのそのひとことに、ヴォデは
浅草生まれの安達祐実にちなんで、デンスケ劇場故大宮敏光のように目を丸くする。
ちなみに、鼻のあたまが黒くなることはない。
「ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、ナーポリ王はん!?」
と、桂小枝のような驚きかたをする。
→モデラート・アッサイ(2♪=80)。
「いかにも。勇猛果敢な騎士君、これでわかったかいな?
→アド・リビトゥム(随意なテンポで)
キミが嫁にくれ言うとるんは、親友ロベール君のフィアンセや」
→テンポ・プリーモ(2♪=80)、C。
が、ヴォデはすぐさま、幼少のおりの婚約を解約したがってたロベールに、
ロ短で、それを言い出すようにしむけるのである。
→2/4。
とまどったロベールであったが、
→アダージョ(♪=108)、4/8。
→ポーコ・ピウ(♪=126)。
「拙者にはロレーヌに思いを残してきた女性が待チルデ、
ルネ王のお嬢はんとの縁談は、なかったことにしていただけんでっしゃろか?」
→ピウ・アダージョ(♪=108)
と思いきって切り出すのである。ルネ王は、
→ソステヌート・イル・テンポ。
「あんたも実直な青年やなぁ。よっしゃ、気にいったで。話は承知した」
とあっさり許可する。ロベールは、
「おおきに、おおきに」
と感謝感激雨あられ。王はヴォデに、
「聞いたか? これで娘はキミのものや。なぁ、婿どの」
と言う。ヴォデはうれしさで顔を故柳家金語楼のようにクチャクチャにさせて、
「なんとステキなおかたなんや、わてのおとんは!」
と答える。
→ポーコ・ピウ・ソステヌート(♪=92)、3/4。
→2/4。
そこにベルトランがやってくる。
「手術が終わりはったそうです」
→ロ・ステッソ・モヴィメント(♪=92)、8/8。
すると、「あっち」のほうから、
ブリギッタ、ラーウラ、マールタらの歓声があがる。
→モデラート・アッサイ(2♪=♪=92)、C。
「イョラーンタさまの目ぇが見えはった!」
イブン=ハキアがイョランドを連れて現れる。王は、
「これでもう死んでもえぇいうくらいうっれしいがな!」
と4枚羽の白いプロペラ十字エンブレムを切る。いっぽう、イョランドは、
→ウン・ポケッティーノ・メーノ(2♪=80)。
♪ソ|ソ>ミ>ドーー>ラ<ド<ミ|<ソー>ミーー♪
竪琴の伴奏に、横笛、ついで独提琴が奏でる実質「変イ長」の新主題に乗って、
「ここはどこですのん?」
と、初めて見る光景に冷静さを欠いてしまってるのである。
周囲のものが自分に倒れかかってくるような感じがする、
という箇所で、チャイコフスキーは、
♪ソ>ファ>♭ミ>♭レ・>シ>ラ>ソ>ファ|>♭ミーーー・ー○○○|
<♭ミ>♭レ>シ>ラ・>ソ>ファ>♭ミ>♭レ|シーーー・ー♪
と、木管の音音階降下をかぶせてるのであるが、効果抜群である。ともあれ、
→コーメ・プリーマ(2♪=92)。
医師によって「天空」を示されたイョランドは、
「ニェーバ(空)、ニェーバ、ニェーーーバ?」
と連呼する。BMWの「青い空に白い雲」、喜びも倍得ルンである。
ここで変イ長がほぼ確定され、
「ナ・ニビェー(天に)・ボーフ(神さまが)?」
(♪○ドドド・<ミーーー♪)
「ヤー(私は)・プリト(御前に)・タボーユ(汝の)、ボージェ(主よ)」
(♪○○ミー・ミーーミ|<ラー>ファー・>レーー>ラ♪)
とイョランドが視力獲得の喜びを神に向けるところで、金管群が、
変イ長の甘く優しいファンファーレを吹奏する。
♪○○ドー・ドードー|<レーー>ド・>ラーーー|ソーーー・ー○○○♪
さて、ここからが大団円である。
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「イョラーンタ#8(景)」

2005年09月09日 17時28分34秒 | イヨランタはまだスィスィ16だから
9月9日は重陽の節句である。五節句のしんがりである。
フランスワ・五節句の本国フランスでは「ガヴォット」を弾く習わしである。
♪ソッ<ラッ>ソッ>ミッ・<ファッ<ソッ>ファッ>レッ>|
>ドッ○(<シ<)ドッ○ドッ○○○♪
いっぽう、重陽といえば「蝶ようハナよと」というくらいに
孫を引きたてる森英恵女史が連想される。
その孫娘泉嬢が、ハリー・ウィンストン銀座店オウプン5周年記念のイヴェントの
ドレスデンの40カラット・グリーン・ダイアをその長い首にぶらさげてた。また、
9月9日はソーニア・リュキエル女史のお誕生日である。同女史といえば、
かつては「葬儀屋・リキエル」とあだ名されて……なかったかもしれないが、
黒い服という芸風であったが、最近ではモードよりコスメでお稼ぎのようである。が、
さすがに顔を黒塗りにしたりはしないみたいである。さて、
黒服が似合いそうな韓流女優といえば、イ・ヨンエ女史である。チャングムである。が、
同女史と壇ふみ女史の顔の違いの区別がときどきできなくなる拙脳な私である。
ときに、壇ふみ女史の名は誰が命名したのかは知らないが、西欧式に並べると、
「踏み段」になってしまうのである。命名センスがないのである。まぁ、
そんなに火宅なにとらなくてもいいことなのである。よけいな世話である。

さて、盲目の娘に対する方針を頑なに守ってきたルネ王であったが、
ここにきてにわかにその防波堤が決壊しそうになってきたのである。
このナンバーは、ほとんどが「レチタティーヴォ」で進んでく。
アッレーグロ・ヴィーヴォ(2♪=152)、C、無調号。
王、マールタ、ブリギッタ、ラーウラらがやってきて、
イョラーンタのとこに見知らぬ騎士がいるのに驚く。そして、
→ポーコ・メーノ(2♪=92)。
→モデラート(2♪=126)、3/4。
その騎士ヴォデモンがイョラーンタにその盲目を
バラしたことを知って愕然とする。が、
→3/2。
アラブ人医師イブン=ハキアは、
これはかえって好機でっせ、と王を諭そうとする。
→モデラート・アッサイ(2♪=84)。
すると、「カンタービレ」で木管が、
♪(ミー<ソ<ララ<シ|シン<レレーー>ド|>)
シ<ド>シーー>ラ|ラ<シ>ラーー>ソ♪
と、「眠れる森の中の美女」における「デズィレ王子とオロル姫」の
「パ・ドゥ・ドゥ」中の「アントレ」の一節を吹くころには、
イョラーンタ、ブリギッタ、ラーウラ、マールタ、
ヴォデモン、アリメリク、イブン=ハキア、ベルトラン、
8人がそれぞれてんでに思いを発する「8重唱」になってるのである。
→ポーコ・ピウ・アッレーグロ。
→モデラート・アッサイ(3♪=84)、9/8。
王は愛する娘イョラーンタに言う。
名医を呼び寄せたったで。目が見えるようになりたいか?
→アンダーンテ(2♪=100)、3/2。
しかし、イョラーンタはまだわけがわからない。
お父様がそうしろといわはるんなら、といった具合である。
イブン=ハキアもイョラーンタの言い分=覇気アのない物言いに、
これではあきまへん。手術の契約は破毀や、と具申する。
→アッレーグロ・モデラート(2♪=116)。
王は、ちょいと待ってぇなドクターはん、と制して、
おもろい考えがあるで、とニンマリする。
そして、ヴォデモンに向かって、高札の件を持ち出すのである。
娘の目が治らへんかったら死刑やでホンマに、と言い渡す。
すると、一同、ヴォデモンを憐れむ。
イョラーンタは父王の不人情をボヤき嘆く。
→ポーコ・メーノ(2♪=100)。
が、王はお前の目が治らへんかったらやつは死ぬんや、と突き放す。
→モデラート・アッサイ(2♪=88)、3/4。
ブリギッタ以下、臣下らがイョラーンタを気の毒がる。
→アンダーンテ(2♪=69)。
→アダージョ(2♪=56)。
イョラーンタは医師に尋ねる。私はどうすればえぇんですのか、
何を耐え、どんな苦痛を我慢すればえぇんですか、と。
医師は答える。否、何にも耐えることはあらへん、ただ、
心から見えるようになりたいとさえ望めばえぇ、と。
→アッレーグロ・アジタート(2♪=126)、2/4、4♭。
苦しくったって、悲しくったって、庭園の中では、孤独ではないの。
でも、ヴォデモン様を救うためなら、どんなことでもしまっさかい。
とヘ短で言う。そして、そのまま、
→アダージョ・コン・モート(2♪=69)、3/2。
♪ミン>ド<ファーーッファ>ミ>レ<ミー>ドー|
<ソン>ミ<ラーーッラ>ソ>♯ファ<ソーーー♪
という「ヴォデモンとのデュエット」の節を歌いだすのである。
前曲#7では「ト長」だったものが「変イ長」に替わってる。
幕開き前の序奏のコルアンの第1音「ト」と、つづく#1の、
まだ何も知らずにいたイョラーンタの「ト長」が、
短2度上のナーポリ調「変イ長」に変異したのである。
ナーポリ王ルネの王女の物語だからである。ちなみに、
イョラーンタの妹マルグリートは、バラ戦争の赤バラ軍ランカスター家の
ヘンリー6世の后マーガレットとなるである。 さて、
ヴォデモンは跪いてイョラーンタの決意を受け、そのしもべとなることを誓う。
→モルト・ピウ・モッソ(2♪=108)。
→アダージョ(2♪=76)。
オケがデュエットの節を心和む風情で奏でる。
一同はイョラーンタの手術の成功を神に祈る。
→アニマンド。
→ピウ・モッソ(2♪=112)。
王とヴォデモンを残して、他は手術に向かうイョラーンタに付き添ってく。
ときに、現実は、
ルネ王はロレーヌ公一族であるヴォーデモン伯アントワーヌと
ナーポリ王位の継承権を争ってた、のであり、
紛争で囚われの身とさえなったのである。そして、
ヴォーデモン伯アントワーヌの倅フェリ(このオペラのゴットフリート・ヴォデモン)
とルネ王の娘イョランド(イョラーンタ)を政略結婚させ、
その子孫がナーポリ王を継承する、ということで手打ちになったのである。
ルネの死後はその弟アンジュー公の倅シャルル5世(嫁はヴォデモンとイョの娘)
がナーポリ王を継承し、安住の地とするはずであったが、たった1年で没し、
同門ヴァルワ朝のフランス王ルイ11世の領地に吸収されてしまうのである。
そのかわり、ヴォデモンとイョラーンタの子孫はロートリンゲン公となり、あげくに、
その子孫フランツ3世シュテファンは、神聖ローマ皇帝家(ハプスブルク家)の
マリア・テレジアの亭主になるのである。つまり、
あの皇帝フランツ・ヨーセフも、マイアーリンク心中うたかたの恋のルードルフも、
サライェヴォで撃たれたフェルディナントも、
みんなヴォデモンとイョラーンタの血繋がりなのである。ちなみに、
ルードルフの不倫心中相手は男爵令嬢、フェルディナントの奥方は伯爵令嬢。
それでも、ハプスブルク家では「身分が卑しい」として蔑まれてたのである。ちなみに、
虫が飛ぶような音で開放弦を擦る芸風で開始される「vn協奏曲」で知られる
アルバン・ベルクの女房は、皇帝フランツ・ヨーセフの娯楽胤(私生児)である。
まだまだ暑い時期がつづくのである。虫刺されにはくれぐれもご用心である。
これより他は考えれないくらい無比なほど金管を繊細に塗っても、
皮膚にできた悪性腫瘍には逆効果である。ちなみに、
五節句(ゴセック)は子どもの健やかなる未来と長寿を願うものであるが、
ヴォツェックに刺し殺された相方マリーの子どもに輝かしい将来などないのである。
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