邸内の各部屋から庭園が広々と見渡せるように設計されている猪股邸では、
居間から降りて、庭園内を散策して楽しむこともできます。
広大な庭を巡りながら空間の展開を楽しむ庭園の形式を
「回遊式庭園」と呼ぶのだそうです。
今まで、大名庭園の素晴らしさを楽しんできた私たちですが、
「回遊式」の意味を深く考えることはありませんでした。
庭園を散策して廻りながら楽しむのは、当たり前のことのように
感じていたからかもしれません。
日本では邸内で履物を脱ぐ習慣があるので、枯山水の庭園のように
お寺などの室内から庭を眺めることを目的とする庭園も数多く造られ、
日本独特の文化となっていました。
考えてみれば、ヨーロッパの庭園では歩きながら景観を楽しみ
時には椅子やベンチに座って、安らぎのひと時を過ごしたりしています。
江戸時代に大名庭園が造られ始めた頃から、日本庭園も歩いて廻りながら
楽しむようになり、「回遊式」という形式が生まれたということのようです。
回遊式庭園と呼ぶのは基本的に日本庭園のことなのは、日本以外の国では
もともと「庭園」は、回遊するために造られていたからなのですね。
何気なく使っていた言葉を改めて考えてみて、外国の方たちが日本の
神社仏閣を訪れる愉しみを、よく理解できたように思います。
猪股邸の庭園は、入念に設計された素晴らしい庭ですが、大げさな構えでは
ありません。
個人の邸宅の庭の延長線上に完成された庭園でありながら、邸宅と庭園とが
見事に一体となって、落ち着いた佇まいの美しい世界が展開されています。
杉苔と黒松越しに奥さまのお部屋が見えています。 | |
地面の杉苔と黒松、赤松が静かな安らぎの世界を 作り出しています。 | |
書斎の大きな窓から見えるかりんの大きな樹です。 春には花が咲き、秋には実もたくさん収穫できる そうですよ。 | |
かりん独特の木肌が、きれいに見えています。 | |
樹齢はどれくらいなのでしょう? 大きな大きな桜の樹です。 なぜか、まだ全然紅葉していませんでした。 | |
緑濃い庭園の中で、ほんの少しの紅葉を見ることが できました。 もみじの木も、程よいレイアウトで数多く植えられて います。 マクロ好きな私ですが、かなり離れたところから ズームでの撮影に挑戦してみました。 3脚は無しですから、ぶれないように気を付けて... 何となくうれしい1枚になりました。 |
この日の私たちは、仙川沿いの遊歩道を散策しながらおしゃべりをして
おいしいランチを初めてのお店で楽しんで...と
猪俣庭園訪問には、大きな期待はしていなかったのですが、
猪俣ご夫妻の住まいに対する考え方、夫婦で暮らすことの意味、
お互いを大切に想うこと、真の贅沢...
思いがけずに、感じること思うことの多い充実した時間を
過ごさせていただきました。
ボランティアの方たちが、旧猪俣邸に愛着と愛情を持って、日々
温かい気持ちで活動を続けていらっしゃることも感じて、
今回限りではなく、四季折々に訪ねてみたいと思いました。
帰り道を歩きながら、圧倒されるほどの贅沢な作りの邸宅と庭園を
拝見したことで、なぜか清々しいほどの潔さを感じていることを
友人と話しました。
上質なものを観ること、体感することの大切さと充実感も
教えていただくことができて、爽やかな気分での帰り道になりました。
庭園には、暖かい季節には蚊が多いようです。
ご訪問の折りには、お気をつけくださいね。
世田谷トラストのサイトです
都内の日本庭園(回遊式庭園)のご案内のサイトです:今まで意識していませんでしたが、新宿御苑も回遊式庭園なのだそうです。
今日も雨模様で冷え込んでいます。
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