1184年、一ノ谷の合戦、平家の武将たちが海上の船団へと逃げる中、
怪力の平盛俊は持ち場に踏みとどまり、攻め寄せた猪俣則綱を組み伏せた。
則綱は、
「頚を刎ねる前に名を問うものであろう」
と語りかけ、さらに、
「既に平氏の負けは決した。頼朝公に願い出て、御へんと家族の命を助けてやろう」
と持ちかけるが、盛俊は大いに怒り頚を刎ねようとする。
しかし、則綱が、
「こうして降伏した者の頚を刎ねる気か」
と畳み掛ければ盛俊は、それならと則綱の体を引き起こし、二人並んで座り込んだ。
そこへ源氏の武者が馬で接近して来たその一瞬の隙に水田に突き倒し刀を奪い盛俊の頚を掻き切ったのであった。
この猪俣則綱による騙し討ちは卑怯だろうか?