私がイタリアを訪れた年の数年前のことである。1978年8月26日ヴェネツィア総大司教アルビノ・ルツィアーニ がコンクラーベで新ローマ法王に選出され、ヨハネ・パウロ1世なった。ヨハネ・パウロ1世は当時66歳で当面の活躍が期待されたが、在位僅か33日で急逝した。その死因には不審な点が多く、暗殺ではないかという黒い噂が立った。
かねてよりバチカンはフリーメーソン、ユダヤ金融資本、さらにはマフィアとの関係が取りざたされていた。ヨハネ・パウロ1世は就任早々、バチカン内のフリーメーソン勢力を一掃しようと計り、新たな人事異動を発表した。それに危機感を抱いた者たちによって暗殺されたのではないかというものであった。
3年後、それを裏付けるかのような大事件が起こった。
以下「娘通信」http://musume80.exblog.jp/1811693/の記事から引用させていただく。
●P2事件
1982年6月18日、ロンドンのテムズ川にかかるブラックフライアーズ橋で、イタリアのアンブロジアーノ銀行頭取ロベルト・カルヴィが首をつって死んでいるのが発見された。彼は前年にイタリア当局に不法な資金輸出の罪で逮捕され、取り調べを受けていた。そして国外逃亡後の不可解な自殺。
1981年、イタリア財務警察の手によって、リチオ・ジェッリなるイタリア右翼の大物が逮捕され、ジェッリの事務所から一通の「会員名簿」が押収された。これがイタリアのみならず欧州各国を震撼させた「P2事件」のはじまりである。
この「P2」とは、「ラグラバメント・ゲリー・プロパガンダ2」の略。秘密結社フリーメーソンのイタリア支部の会員たちが、非公式に作ったメーソン組織。この押収されたP2会員名簿にはイタリアの政官財を網羅する962名の人物名が載っていた。現閣僚・政府高官をはじめ、30人の軍の将軍たちシークレット・サービスのチーフ、財政検査官のトップ、判事、多くの銀行家、テレビ会社の取締役、マフィア幹部、米CIA関係者、さらにはバチカンの高官たち。
これは一大スキャンダルとなり、フォルラニ内閣は総辞職に追い込まれ、イタリア政財界、そしてバチカンに根を張った、P2の人脈と不法行為が次々と暴露されていった。
アンブロジアーノ銀行頭取ロベルト・カルヴィはこのP2の財務責任者であり、バチカン銀行の資金を不法に輸出した罪で逮捕された。彼のアンブロジアーノ銀行は、バチカン銀行(IOR)の庇護のもとに、全世界の「反共産主義」の活動組織に資金を提供していた。カルヴィは「法王の銀行家」として、巨額の裏金を調達するヤミの顔を持っていた。
彼は事件について黙秘し続けた。そして国外逃亡と不可解な死。カルヴィは、ポケットの中にレンガを入れ、15,000ドルを所持した状態で首を吊っていた。彼は8人のポデーガードを連れ、防弾仕様のアルファロメオに乗り、イタリア最高の警備システムを雇っていたが、誰も彼を守る事は出来なかった。この死が自殺だったのか、他殺だったのか、誰かに口を塞がれたのかは未だに不明である。
(引用終了)
●神の家の主人は不在?
私がバチカンを訪れたのはまさにこの事件が発覚する数ヶ月前のことであった。この頃、私はフリーメーソンやバチカンの血なまぐさい歴史に関する知識はなかった。ましてやバチカンに対する批判的な意見や偏見は全く持っていなかった。
私が『サン・ピエトロ大聖堂』で『ここには神様はいない・・』と感じたことは単なる思い込みではなく、案外、事実であったのかもしれない。人類の『原罪』を背負い『贖罪』の為に十字架に昇ったイエスでさえ、バチカンの犯した『罪の大きさ』に、ほとほと愛想を尽かしていたのではなかろうか。
続く
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