ここ数週間前から、アメリカのイラン攻撃が4月上旬に行われるのではないかというニュースが飛び交っていた。幸い予測は当たらなかったが、キリスト教原理主義が権力を持つ限り、中東情勢が安定することは無いであろう。何故ならハルマゲドンは、聖書に書かれているように中東の地から始まらなくてはならないからだ。
またブッシュのアフガン侵攻やイラク侵攻の目的が石油利権の独占を狙ったと見る人も多いが、実はそれ以外に、終末論という教義に根ざす動機も無視できないのではないだろうか。皆さんが想像する以上に、世界の歴史や政治はオカルトチックに動いているのである。
■「世界はここまで騙された」 コンノケンイチ(著)より引用
●「イラク攻撃は「ユダヤ対イスラム」の宗教戦争だ
9・11テロとイラク攻撃は、「イスラム教国VSアメリカ資本主義」という図式でもなければ、ブッシュ大統領がいう「キリスト教国VSイスラム教国」の十字軍戦争でもない。旧約聖書を同じく聖典とする「ユダヤVSイスラム」という宗教戦争なのだ。
このことを日本人の多くは知らず、マスメディアもタブー視して報道しない。だから、なぜイスラム人が米国を憎むのか、日本人の多くは事件の核心をつかみきれずにいる。 今回のイラク攻撃の因子は、半世紀以上にもわたるイスラエル対パレスチナの、血で血を洗う中東紛争にあることは誰でもわかる。そのイスラエルの背後に米国が存在し、毎年巨額の援助を行なっていることは常識である。
イスラエルは、ユダヤ人によるユダヤ教の国である。なぜキリスト教国の米国がユダヤ教国であるイスラエルを支援するのか。ここに最大のパラドックスが存在する。米国に君臨する「陰の超国家勢力」がユダヤ勢力(ユダヤ教)であるからして、イスラエルを支援するのは当然なのだ。
米国のユダヤ人すべてがシオニストではないし、米国におけるユダヤ人の人口は、全体から見ればわずかなものである。だが、わずか数%のシオニストがマスメディアや教会を巧妙に操っているのは、まぎれもない事実なのだ。彼らは9・11を利用して米国世論を「テロへの戦争」へと駆り立て、ついにイラク攻撃に至らしめたのである。
●ハルマゲドンを待望するキリスト教原理主義者
悪魔の集団「ネオコン」は、2つの点で勝利した。まず、自分たちの描く世界支配(ユダヤ一極支配)戦略を、米国民に認めさせたこと。そして「キリスト教原理主義」を、完全に利用できるようになったことである。
キリスト教原理主義を一言で言えば、聖書を文字通りに解釈する新保守的なタカ派の集団である。キリスト教原理主義者は南部を中心に古くから根付いていて、それを標榜する人たちは全米で3000万人、多くはアングロサクソン系の保守的プロテスタントである。また、これに近い信仰を持つ人は7000万人以上もいる。
「米国は神の国で、逆らう者はすべてサタン」という、まるで戦前の日本のような信念が、狂信的な境地まで行き着いたのがキリスト教原理主義者といってよい。それだけではない。それを行動に移すことが善だと考えているのである。
米国に逆らう国家すべては悪魔であり、葬ってしまえというのがキリスト教原理主義の原点にある。本当に怖いのはこの点なのだ。
この国を政治や経済だけで判断していると、本質を見失うことになる。ブッシュ大統領を支えてるのは間違いなく宗教で、それはユダヤ教のドグマそのものなのである。私たちも日本の政治家も、聖書をよく理解しておかないと、米国や超国家勢力が取っている行動の意味が理解できず、彼らが次に何をするのかさえわからなくなるのだ。
キリスト教原理主義は、レーガン政権が誕生した1980年代から強力に組織されて、現在はブッシュ大統領を熱狂的に支持し、大統領選における巨大な集票マシーンとして結束している。
(中略)
彼らは「聖書は誤りのない神の言葉で、そこに書かれていることすべては事実であり、これから必ず成就する」と信じている。そのためダーウィン進化論など認めないし、ノアの方舟の実在や人類終末までも固く信じている。
たとえハルマゲドンが起こっても、キリストによって空中携挙(ラプチャー)それた自分たちは、地上に舞い降りて、神の国の建設に参加できると考えているのだ。したがって彼らにはハルマゲドンが早まるほど福音で、よい知らせということになる。
米誌ニューズウィークでは、2000年10月に2日間、全米の755人を対象に電話による世論調査を行なっている。それによると、米国民の40%は人類最終戦争ハルマゲドンで世界が終末を迎えるという聖書の予言を信じており、自分たちが生きている間に起こると信じている人は45%もいるという。
20世紀最大の心理学者グスタフ・ユングは、人類の深層無意識が存在することを指摘している。そして、この深層無意識が、全地球的な共通現象を生じさせるのだという。となると、米国人の半数近くがハルマゲドン勃発を信じていること自体、とても危険なことでもある。
米国で急速に広まったキリスト教原理主義というカルト宗教には、実は大変なパラドックスが内在している。キリスト教徒にとってイエスは主であり、イエスの再臨によって地上に「千年王国」(ミレニアム)が建設されるべきはずだった。しかし、イエスはユダヤ教では歓迎されないし、必要ともされない。エルサレム(今のイスラエル)に、キリストが占める場所はないのである。
そこでキリスト教原理主義者は、イスラエル人をユダヤの直接の子孫とし、ダビデ王の末裔である「神に選ばれた人々」と考えることにした。そうすればパラドックスに少しは辻褄が合う。
(中略)
現在のキリスト教はユダヤがデッチあげたしろもので、全世界の文明化された国民を衰弱させ、麻痺させるという目的のために、ユダヤによって考案されたものである。
「ユダヤは太古の昔から文明化された国民に寄生し、食い物にしてきた。そして現在、キリスト教原理主義というウイルスを、ゴイム(家畜)に効率的に広げるために利用している。そのユダヤの背後にこそ、より巨大で邪悪なものが隠れ潜んでいることを忘れてはならない」(R・P・オリバー)
おわかりだろうか。ネオコンもキリスト教原理主義者たちも、核兵器の先制使用を望んでおり、人類最終戦争ハルマゲドンを仕掛けることは善であり、ゴッドの意志に添うものだと考えているのである。
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