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親しい人が死んだ時に夢の中でお別れに来るという話を聞いたことがある方や、実際に経験された方は多いと思います。私が初めて経験をしたのは叔父が亡くなった時のことでした。叔父には子供が無かったので、家名を絶やさないために私を養子にと決めていました。
叔父と私は大変相性が良くて、実の親子以上の心の絆で結ばれていました。おそらく前世では本当の親子であったのではないかと思っています。その叔父が50代半ばの若さで意識不明となって入院してしまいました。大学病院でも病気の原因が分からず医者は首を傾げるだけでした。入院は三ヶ月間に及びました。(叔父の死因は後に、先祖にまつわる霊的な事件が関係していたことが分かるのですが、その話はまた後日に・・・)
そしてある日の明け方のことです。アパートのドアをノックする音で、私は目がさめました。眠い目をこすりながらドアを開けると・・何と外に叔父が立っているのです。私がびっくりして「何だ、叔父さんじゃないか、病気は治ったの?」というと、叔父はニコニコ笑いながら「一度東京のお前の家に遊びに来たかったのだよ」と答えました。
「とにかくゆっくりしていってよ、何処でも叔父さんが行きたい場所に案内するからね。さあ、そんなところに立ってないで部屋に上がって」と私が言いますと。少し寂しい表情で「いや、ゆっくりもしておれないのだよ。もう行かなくてはならない」というのです。「何言ってんだよ。今来たばっかりなのに。それにこんな朝早く電車も動いていないよ」と私が言うやいなや、叔父の姿がすーっと消えてしまいました。私はふと我に帰って、「あっ!叔父さんが死んだ」と思いました。その瞬間私は目が覚めていました。どうやら私は夢を見ていたようなのです。
「これが夢枕に立つというやつかな、いやな予感がするな」と思いつつ目覚まし時計を見ると朝の4時を少し過ぎたばかりです。時間が早いのでもう少ししたら実家に電話してみるかと布団の中で考えていた時に、部屋の電話が鳴り響きました。おそるおそる受話器を取り上げると、「4時過ぎに叔父が亡くなった」という父からの連絡でした。
葬儀の時に母から聞いた話なのですが、叔父の入院中に一時的に微かに意識が回復した時があって、その時「息子に会いたい、息子に会いたい」と言っていたというのです。「あんたには息子はおらんやろう」と母が言いかえすと「いや、俺には○○という息子がいる。○○に会いたい」と私の名前をしきりに呼んでいたというのです。 その後、私は肉親や親戚の者に聞いてまわりましたが、叔父が夢枕に立ったのはどうやら私一人だけだったようです。
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