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逢魔が時 その1「恐山」

●逢魔が時

「逢魔が時」という言葉をご存知だろうか。夕方の薄暗くなった時分を言うが、この時間帯は魑魅魍魎が跋扈する時間であり、文字通り魔に出逢う時であると言われている。欧米でも同様な考えがあり、この時間帯を「Twilight Zone」と呼んでいる。

この時間帯は交通事故が多いといわれるが、夕闇の視界の悪さや人の注意力が低下するだけの理由ではなさそうである。「逢魔が時」の語源は「大禍(オオマガ)時」が変化したものとも言われていて、大きな禍が降りかかりやすくなるらしい。清明な神社でさえこの時刻には行くなと良く言われるほどである。ではこの時刻に霊場と呼ばれる場所に行ったらどうなるのか。それが今回の話題だ。


●恐山

今から20年ほど前の8月のこと。夫婦で青森の下北半島を車で旅行したことがあった。その年は八月に入っても梅雨が明けず、寒くて暗い夏であった。その日は十和田湖から奥入瀬にコースを取り、霊場で有名な「恐山」を経て、山の中の温泉宿でに宿泊する予定であった。

奥入瀬渓谷で時間を取りすぎてしまい、恐山のふもとに着いたのは陽も暮れようとする時刻であった。あまり気持ちの良い時間ではないので温泉宿へ直行しようかとも思ったのだが、恐山は初めてでもあり、話の種に一度は見ていこうと恐山へ車を向けた。

恐山の駐車場に着いてみると私達以外の車は一台もなく、宿坊の方角にも全く人影はなかった。遠くに卒塔婆と石積みが望めた。黒い雨雲が立ち込めた薄暗い空の下に輪廻転生の願いを込めた風車が回っていた。このような時間に恐山を訪れる酔狂な奴は私達ぐらいのものであろう。あまり良い気持ちはしなかったが、私は外の風にあたろうと車のドアを開けた。一歩外に足を踏み出した途端に、首筋あたりにゾクッとした悪寒が走った。

私は16歳の時にある体験をしてからというもの、霊感がとても鋭くなった。霊感にもいろいろあるが、私の場合は霊的な存在を感じる力や予知能力である。悪い霊を感じると首筋から背中にかけてゾクゾクとした感覚が走るのだ。

しかし、その時の感覚は今まで感じたことがないほどの強烈なものであった。まさに霊が次から次へと押し寄せてくるといった感じなのだ。その凄まじさに思わず「ひえー」という悲鳴が漏れてしまった。私は咄嗟に車に飛び乗った。不思議なことに車のドアを閉めると悪寒は治まり、霊は近寄って来なくなった。

続く


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コメント一覧

フォトン
りゅうさん
霊場と名のつくところは、用心しなきゃいけませんね。数年後、東北のある山にキャンプに行った時も

えらい目にあいました。それからは霊場の傍には二度と近寄らないようにしています。

りゅう
続きを
http://keyagu.blog67.fc2.com/
期待しております。

青森県生まれ、むつ市にも住んでおりました。もちろん、恐山も何度か。

夕方以降はだめです。あそこは。昼間でも薄暗い雰囲気がします。

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