しかし我が家の神棚を通して、自分の祈りが本当に神々に届いているのかと問われると、正直言って自信は無かった。神社での祈りは波動の高い領域を借りての祈りである。しかし自宅は低波動の場所である。祈りの波動を増幅する効果はあり得ない。波動が低い自分の祈りでは、神々に通じることは出来ないのかもしれないという思いが、僅かながらもあった事は事実である。
だが、当初の私の考えは間違っていなかったようである。日々神棚の前で普段のご加護に感謝し祈る様を、眷属さん達はご覧になっていたようである。それどころか、私の心の中までお見通しであったようだ。
今になって良く考えてみれば、あの事件は私の宗旨替えという浮気心に眷属神が怒られたという単純なものではなかったようである。人にはそれぞれ魂が受け継ぐ霊系がある。守護する神々も零系ごとに違っている。「お前を守護する神は稲荷系の神ではない」と眷属神が私に教えたかったことが、注連縄が落ちるという形をとったのではないだろうか。
仏壇の蝋燭立て落下の件については次のように思えるのである。注連縄が落ちても直ぐに事の重大さに気づかぬ愚鈍な子孫に、呆れたご先祖様が眷属さんと結託して行ったものかもしれない。さらに私の浮気心の真の原因である、「祈りが通じていないのではないか」という心の迷いを断ち切るために、蝋燭での不思議な現象を見せられたというのが真相ではないかと思うのである。一見無力に思えるささやかな祈りであっても、正神への邪心のない真の祈りであれば必ず通じるものである。
この事件以降、氏神神社や崇敬神社に参拝すると時折参拝に対するメッセージを頂くようになった。それは何故か自然現象の形で現れることが多い。雨が突如止み、厚く垂れ込めた雨雲が突然切れて、その隙間から一条の光が差し込む。お社の上に白い雲が急速に湧き上がり、人物の姿に形を変えるなどである。
またある時にはこのような事もあった。空に霞状の雲がかかり、雲の中にお月様が見えた。最初は太陽かと思ったのだが、太陽は違う場所で輝いていた。日中の月は太陽光の明るさに遮られて見えにくいものだが、雲で光が遮られて月が見えたのであろう。不思議なのはその後である。月の真ん中に主宰神のお姿に良く似た烏帽子姿のお顔が浮かんでは消えたのである。
偶然の出来事、眼の錯覚と言えばそれまでである。しかしともすれば見落としがちになる繊細で微かなサインを、素直にメッセージと感じ取る事が出来る感覚が芽生えれば、神々とのコミュニケーションはより深い味わいを持つのである。
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