その面白い判断基準が紹介されていた。
夏も終わりに近づくと、台風や長雨に悩まされる季節となってくる。「雨に濡れるのはイヤだが、傘を持って歩くのはもっとイヤ」という人にとっては、毎日の天気予報が気になるところだろう。
そこで、傘を持っていくかどうかの判断基準となるのが、気象庁によって発表される「降水確率」である。一般的に「降水確率が50%以上になったら傘を持っていこう」と考えている人が多いと思われるが、果たしてその判断は“適切”なものなのだろうか?
そもそも、気象庁が発表している「降水確率」とは、ある区域で一定時間内(6時間の場合が多い)に合計1mm以上の雨または雪が降る可能性を示す数値のことだ。1時間に1mmの降水といえば、気象庁の用語では“地面がすっかり湿る”程度の「弱い雨(3mm未満)」に入るので、傘を差した方がよいだろうが、6時間のトータルが1mmというのであれば、判断に悩むところ。さらにいえば、「1mm以上」なわけだから、たとえ10%の降水確率でも土砂降りになる可能性があることになるわけで…。
なんて話をしてしまうと、降水確率をどのように活用すればよいか、わからなくなってしまう人も出てくるだろう。そこで、覚えておくとよいのが、実際に降水確率を有益とする理由のひとつとされている「コスト/ロス」モデルという考え方だ。
これは、ある確率で発生する出来事に対し、対策をとった場合にかかる労力や経費(コスト)と、対策をとらなかった場合に出る損失(ロスト)が、確率によってどのように変化するのか見極めるためのものだ。
仮に、傘を持っていく労力を200円、傘を持っていかずに濡れてしまった場合の損失(クリーニング代や精神的ダメージなど)を1000円と仮定し、降水確率が50%のときに傘を持っていった方が“得”かどうか、を考えてみよう。
降水確率50%とは、言い換えれば同じような気象条件が10回あるうち5回は(1mm以上の)雨が降る、ということ。もし、10回中すべて傘を持っていったとすれば、雨に濡れる損失は免れるので
200×10=2000円
が、コストの合計となる。一方、傘をまったく持たないなら傘を持つコストは0円だが、10回中5回は損失を受けることになるので、
1000×5=5000円
となり、降水確率50%なら傘を持っていった方がトータルで3000円の得、ということになる。ちなみにこの例では、降水確率20%のときにコストとロスが等しくなる。つまり、降水確率が20%より大きい(30%以上の)場合には、傘を持っていった方が“得”と判断できるわけだ。
もちろん、傘を持っていくコストや持たない場合の損失なんて人によって感覚が違うわけだが、降水確率が傘を持つべきかどうかを判断するうえで役に立つことは、わかってもらえただろう。ちなみに、この「コスト/ロス」モデルは、50%の確率でミスが露見しそうな状況で、ミスを報告した方が得か損かなど、仕事や人生の各場面でも応用ができる。まぁ、損得勘定だけで人生を考えるのもどうかとは思いますがね。
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