(大津絵・鬼に追われる大黒)
元禄16年、彦根蕉門の歳旦帳・歳暮吟に
大年や鬼王殿に逢いませう 許六
というのがある。鬼王殿がどうして大晦日に出てくるのか不思議だったが、歳時記をみたら納得。
平安時代、宮中では大晦日に盛大に行われた悪鬼・疫礪を払う「追儺」の行事があって、それが諸国の社寺にひろまっていった。
今の感覚では二月節分の行事に豆まきをするのだが、それは実は「追儺」が変形したものという
江戸時代は大晦日あちこちの寺社で鬼やらいがあって、鬼王殿が多数出没していたのだろうか。
お正月を前に、追い払われる鬼だが、大晦日に人間に追いかけられるのもちょっと楽しいかも。
(追われる鬼)
あー大変だった、お風呂できれいになって年越ししましょう。腰蓑は雲にひっかけている。
鳥耳斎「地獄絵」。人をキセルと煙草入れのタバコにして苦しめてる鬼。鬼も人もゆるくて。2012年府中市美術館。