ねうねう句日記

いつか秀句をはきたいと、ねうねうとうち鳴きながら、より所なげに春の夜を・・・
  。

E島さんご先祖・物部道意と芭蕉

2010-12-01 13:01:22 | 日記
 先週から、喪中のため新年の挨拶を遠慮する旨のはがきが舞い込むようになった。その中でE島さんからのはがきがあった。ご主人を6月に87歳で亡くされたという。「主人は足が不自由ですが、息子の会社の経理もするし、頭はしっかりしていて明るく愉快な人で、私が介護をしていますがちっとも大変ではありません」と楽しそうにおっしゃっておられたことを思い出す。

 4,5年前になるだろうか、私は近江高月西物部在住の「泥芹子 希志」という名の俳人を調べようと高月歴史資料館を訪ねたのだが、学芸員の方に『物部道意考』という本を教えていただいた。そして泥芹が江戸の芭蕉一座で「深川八貧」の「炭」を詠んだ医師物部道意であることを知った。この著者がE島さんのお父さんで旧制高校の教師をされていた片山松治郎氏である。E島さんは長く埋もれていた父の遺作を出版されたのだ。また物部道意はE島さんの祖先である。
    「深川八貧」
    米買いに雪の袋やなげ頭巾    芭蕉
    雪の余波とりわき佐野の薪買はん 依水
    さけやよき雪ふみたてし門の前  苔翠
    炭一升雪にかざすや山折敷    泥芹

 その後東京在住のE島さんと深川の芭蕉記念館でお目にかかることが出来た。芭蕉記念館には、お父様の著作や収集された芭蕉関係の書籍を寄贈されている。こちらは57歳、E島さんは80歳だったと思うが、お話し振りの的確さ、さわやかなこと、目を丸くしてお聞きするばかりであった。私には忘れられない明治の女性や大正の女性が何人かおられるが、間違いなくそのお一人である。

 さて話は物部道意に戻るが、神奈川県立図書館に、物部道意と芭蕉(松尾桃青)が連名で医師本間道悦宛に出した起請文があり、ホームページに公開されている(飯田九一文庫)。翻刻は次のとおり。
  相伝医術啓廸院一流 
  秘書秘語邪豈漏 
  侘乎若於違背者 
  大小神祇別而生 
  縁氏神可蒙御 
  罸者也仍而起請文如件
    物部道意(花押) 
    貞享三年丙寅 二月十二日 
    松尾桃青(花押) 
  本間道悦様

芭蕉に医学の知識があったことは知られているが、医師物部道意とともに本間道悦に入門していたとは大したものである。E島さんに印刷して送ってあげようと思う。





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