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しあわせへの近道・周り道・散歩道 ー変わらないで欲しい大切なものー Kurara 公式ブログ

梅雨空の下の小さなお庭

2024-07-04 20:08:08 | Kuraraストーリー
5歳の時、小さな貸家から、ほんの少し大きな貸家に引っ越しした。
ほんの少しだから、結局は、小さな貸家になる・・・
そこは、幼い私にとって、秘密基地のような、夢いっぱいの家だった。
こんなに大人になって、想い出してみても、ワクワクするほどだ。

まず、玄関が広い!2枚扉でガラガラと引き戸になっている。
一枚ドアの玄関の倍の広さがある!!もちろん横幅だけではあるが・・
そこを入ると、段々と2回、段をのぼり、ガラス戸を開け部屋に入る。
幼いわたしは、段をのぼるのに、一苦労したが、そこがまた、
すごく大きなお家のお嬢様になった気分で、ぴょんぴょん跳ねて大喜びした。

そして、秘密基地だ!!
玄関の脇に、木戸があり、木戸を開くと、細い路地の入り口になっている。
足元の地面は、しっかりとした土だった。
路地の途中に、洗濯機置き場があり、左横に振り向くと小窓。
小さな台所についた小窓で、そこから、こちらを見下ろせるようになっている。
小窓から、洗濯機がグルグル回っているのを眺めるのも好きだった。
段々と2回上がっての部屋だから、だいぶ高く家が建てられている。
お陰で、格好の縁の下もあるのだ!!もちろん、小さな私は簡単に潜れた。

その路地の突き当たりは、左に曲がり、曲がると6畳くらいのお庭・・?
トタン屋根が付いてるから、お庭というより、物置き場だったのだろう。
でも、子供の私には、雨の日も遊べる場所で、しかも土がある。
ちょっとした、泥んこ遊びが、裕にできる絶好のお庭だった。

トタン屋根のお陰で、雨の降り具合が、すぐにわかるのも楽しかった。
ドンピシャドンピシャと賑やかな音の時は、かなり降っている。
でも!でも!
私は、そのお庭で、地面に絵を描いたり、土で、かたいボール球を作ったり、
路地から、6畳ほどの小さなお庭まで、駆け抜けたり、電車ごっこをしたり・・・
雨でも、なんでも出来たお庭だった。そこは、まるで秘密の遊園地のようだった。

8畳と3畳間、2畳程度の台所の小さな家に付いてた物置き場は、
梅雨空の下の小さなお庭となり、たくさんの雨の音を聴かせてくれて、
たくさんの夢を育ててくれたように思う。

私は、いつも、台所の小窓の下に、踏み台を置き、洗濯機置き場を覗いては、
洗濯機がグルグル回る音を聴いていた。
幼い私は、洗濯機が回っている間は、路地に行ってはいけないと言われていたのだ。
だから、台所の小窓から覗いては、ずっと、見ていたのだった・・・そして、、
そこにも、確実に夢が広がっていた。洗濯機のグルグル音が、まるで前奏曲のように。

梅雨空の下の小さなお庭に行けるのは、洗濯が終わってからなのだ!!
私は、洗濯機が止まると、急いで踏み台から降りて、夢いっぱいの路地裏に走ってゆくのだった。
お天気が良い日も、大活躍した梅雨空の下の小さなお庭は、小さな私の秘密基地になっていた。


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