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しあわせへの近道・周り道・散歩道 ー変わらないで欲しい大切なものー Kurara 公式ブログ

おじいちゃんの葡萄棚

2022-10-14 12:08:00 | Kuraraストーリー
東京の下町にある、おじいちゃんの家
幼いわたしにとって、おじいちゃんの家に行くのは、一大イベントだった
わたしの家からバスで3停留場、バス停から20分程歩くとおじいちゃんの家に着く

東京のど真ん中で、きれいな葡萄棚が見れるのは珍しい
車1台通れる程度の狭い幅の道をてくてく歩いて行く
右へ、左へ、路地が続く・・・
おじいちゃんの葡萄棚は、3本目の右の路地に顔を向けると少し見える
路地を曲がり、てくてく歩くと間もなく、きれいな葡萄棚が迎えてくれる

白い紙できれいに包まれている葡萄たち
おじいちゃんは、見せるためだったのか、紙に包まれていない葡萄もあった
きれいな薄紫色・・棚を見上げては幸せな気分になれたのは・・・
葡萄がたべられるから・・ではなくて、本当にきれいだったのだ
おじいちゃんが、東京のど真ん中で作った小さな葡萄棚は、きらきら輝いていた

「わぁ〜葡萄がなってる!これたべれるの!?」
物心ついて、しっかり、話せるようになったわたしの第一声だった
おじいちゃんでも、手が届かない少し高いところに葡萄棚はあって
「こっちにおいで!」とわたしを2階に連れて行ってくれた
上から見渡せる葡萄棚!!これもまた、「わぁ〜!」と声がでるほどきれいだった
「全部、おじいちゃんの葡萄?」と聞いたら
「うんうん」とにこにこ笑っていた

下に降りて、梯子を使い、おじいちゃんが葡萄を採ってくれる
おばあちゃんが、たらいに冷たい水をはって待っていて
そこで、洗い、冷やして、やっと、口の中に!
甘酸っぱい葡萄が、口の中にパァーっと広がると
おばあちゃんが、「今年は、ちょっと酸っぱいね、おじいさん!」という
おじいちゃんは、お構いなしで、にこにこしながら、葡萄をたべている

「おじいさんはね、いつも、”いい出来だ!”というんだよ!」
と、大きな声で『あっはっは!』と笑う、おばあちゃん
わたしは、美味しくて、一房をしっかり握りしめ、一生懸命たべながら笑った

東京のど真ん中で、もぎたての葡萄をたべられる幸せと笑顔をくれた祖父母
今秋も青い空の下、祖父母に感謝して、街で薄紫色の葡萄を買って来た
今年は、甘いか、な・・

葡萄棚の向こうから
おじいちゃんのにこにこ顔とおばあちゃんの大きな笑い声が飛んで来た



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