彼が今問題に思っていること、それは「仕事を教えてもらえない」ことだそうです。
スキルアップできないことなのかな、と思ったのですが、どうもそうではないようです。
彼の職場では、仕事の内容について派遣社員には何も教えられず、「社員のやっているのを見よう見まねでやれ」と言われるそうです。そういわれても、当然できない人がいるのでトラブルが起こります。そうすると今度は責任がすべて派遣社員に負わされる何もやり方を教えられなくて、仕事に失敗したことを理由に解約(解雇)された人がたくさんいるそうです。
派遣は「使い捨ての労働力」と言われることがあります。分析的に、そのように語ることは簡単ですが、その意味するところの恐ろしさを肌身で感じた気がしました。
そもそも、いつから派遣労働はこんなに増えたのでしょう。
戦後、今で言う「労働者派遣契約」なるものは違法となりました。派遣会社は労働者を企業に派遣して、その中間利益を得ますが、これは「中間搾取」と呼ばれ、戦前の忌むべき封建的慣習とされたのです。そしてもちろんこのような雇用のあり方は、労働者の雇用を不安定にします。
この悪しき契約形式が復活したのは1985年です。財界の強い要請で、専門職に限り、労働者派遣事業を合法化しました。そのときは、「専門職だから」必要なのだ、そしてこれ以上拡大されることはあり得ない、と盛んに強調されたそうです。
しかし、その後も財界の非常に強い要求があり(と労働法の教科書には書いてあります)、1999年に労働者派遣は専門職に限るどころか、医療や製造業など特定の分野を除く全てに解禁されたのです。そしてさらに、現在では製造業(なぜ製造業に派遣を導入しなければならないのか、合理的な理由はもはや見あたりません)にも解禁されています。
今では派遣があるから、企業は労働者に仕事の仕方を教える必要もありません。「見よう見まね」で出来ない人は、単に「解約」すればよいのです。このような現実を招いた財界、行政、国会議員は何らかの責任を取るべきでしょう。
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