このテレワークを、政府は「テレワーク人口倍増アクションプラン」などを作成して推進している。政府が挙げるテレワークのメリットは少子高齢化問題への対応、ワークライフバランスへの対応などである。職場ではなく自宅で働ける。だからこそ介護や家事に追われる人も働くことができるようになるはずだし、家族や地域とのふれあいの時間も増えるというのだ。
実態を見ていけば政府が想定しているようなテレワーク=様々な問題の処方箋になる未来型の働き方、という像はかなり無理があることが分かってくる。
本書によればテレワークとは「労働が見えなくなること」と「自己裁量の拡大」という内的な論理をもった働き方だという。誰かと一緒に仕事をするわけではないので自分の労働のきつさを誰かと比較できず、賃金格差や長時間労働の温床にある危険があるのだ。また、「労働者の自己裁量」とはいっても今は「強制された自発性」になってしまうとも指摘されている。テレワークという働き方はそれが働き手を無視した利益や効率性の追求、雇用格差などの社会環境と結びついたとき過酷なものとなる。本書はそうしたテレワークの現実をまずは知ることに重点が置かれている。テレワークに関する入門書として読みたい一冊だ。
最新の画像もっと見る
最近の「culture × posse」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事